今日、ウェブはごく身近な情報源として一般的に利用されている。印刷された本や雑誌の形での発行が停止され、ウェブ上でのみ公開されるようになった刊行物も多い。今後、インターネットを利用しないと得られない情報は増加していくだろう。しかし、その速報性と更新のしやすさから、ウェブ上の情報は増加していくと同時に消失している。情報が載っていたページ自体が消失してしまうこともあるし、新しい情報が上書きされて古い情報が消失していることもある。ウェブ上のページにアクセスしようとして、「404 Not Found」というエラー画面を目にしたことも少なくないはずである。...
英国情報システム合同委員会(Joint Information Systems Committee:JISC)は、大学などの高等教育機関を中心とした学術情報基盤として1993年に設立された非営利組織である(CA1501参照)。情報通信技術を活用することによって、継続・高等教育機関における研究・教育・学習を促進することを目的とした組織であり、英国の学術情報政策を把握する上で、最も重要な組織のひとつであるといえる(CA1620参照)。JISCは毎年、活動報告書を発行するとともに、数年毎に戦略書を発表している。...
2010年11月,英国研究情報ネットワーク(RIN)は,「電子媒体のみの学術雑誌:課題を乗り越えて」(E-only scholarly journals: overcoming the barriers)と題するレポートを公開した。これは,RINや情報システム合同委員会(JISC),出版社協会等,英国の学術情報流通に関わる13を超える機関・団体が合同で行っている「学術コミュニケーションにおける変化」(Transitions in scholarly communications)をテーマとした研究プロジェクトの成果の一つである。このプロジェクトは,学術コミュニケーションにおける様々な技術的変化の本質とその意味,そしてそれぞれの変化の間の関係について明らかにすることを目的に掲げている。...
2010年11月1日,米国ワシントン大学情報学部のプロジェクト“Project Information Literacy”が,大学生の情報リテラシーを調査したレポート“Truth Be Told : How College Students Evaluate and Use Information in the Digital Age”を公開した。執筆者は,同大学のヘッド(Alison J. Head)氏とアイゼンバーグ(Michael B. Eisenberg)氏である。レポートは,2010年春に全米25大学に在籍する学部学生8,353名に対して行ったアンケート結果と,その後のフォローアップインタビューでの回答に基づいて作成されている。主な調査結果は以下の通りである。...
2010年11月16日付けのNew York Times紙に,「人文学の豊かな可能性の扉を開くデジタルのカギ」(Digital Keys for Unlocking the Humanities’ Riches)と題された記事が掲載された。ここでは,同記事と,記事執筆者であるコーエン(Particia Cohen)氏が16日と17日に同紙のブログに書いた関連記事を基に,主に米国でのデジタル人文学の進展やプロジェクトについて紹介する。...