アーカイブ - 2009年 - book

9月 8日

はしがき

第2章 米国の一般的な図書館のすがた(はしがき)

 本章では、アメリカの公共図書館・学校図書館・大学図書館の実際のサービスをいくつか事例として紹介しているが、その際、小規模な図書館を中心に選んでいる。今回、小さな図書館をあえて選んだのには、次の理由がある。それは、大規模な図書館の活動については、すでに日本でも紹介されているケースが多いことである。それに対し、小規模な図書館のそれぞれの活動については、あまり知られていない。しかし、日本国内にも、小規模な図書館は多く、大規模な図書館に比べ、予算・スペース・スタッフ・資料、いずれをとっても不足気味であり、たいていが悪戦苦闘している。また、厳しい財政状態や図書館に対する周囲の無理解の中で、図書館の存続そのものが危ぶまれるような状態に追い込まれている自治体や教育機関もある。そのため、米国で工夫を凝らしながら活発に活動している小規模・中規模図書館の事例紹介は、その知恵が、日本国内の図書館にとって、参考になる可能性が高いと考えられる。

 もちろん、米国と日本では、文化的・社会的背景も、財源確保のシステムも、法制度も違うので、単純には比べられない。しかし、図書館の本質的な機能は同じである。現在、日本国内で各館種の図書館がさまざまな課題に直面している。

はしがき

第1章 米国の図書館の概況(はしがき)

 本章においては、アメリカ合衆国の図書館界とそれを構成するALAなどの関係団体、各館種の図書館の沿革と現況、図書館サービスと活動について、その全体像を多面的に描き出そうとした。図書館はいま、図書や雑誌といった伝統的な紙媒体資料を中心とした資料やそこで確認できる情報をライブラリアンを通じて提供する実在的な図書館(physical libraries)から、時空を超えるネットワークを通じてデジタル・コンテンツへのアクセスを提供する仮想的な図書館(virtual libraries)への過渡的な「ハイブリッド・ライブラリー」の姿をとっている。『数値で見る米国の図書館』は、このハイブリッド・ライブラリーの現実を、関係する年鑑やハンドブック、連邦政府のホームページなどを渉猟し、それらを具体的な数字で示すことに努めた。

 図書館にとどまらず、資本主義社会において一定の社会的な機能の発揮を期待される施設は、そこに配置されその職務を遂行する「ヒト」と、その人の日常的業務の展開に不可欠な「モノ」、そしてそれらの人を雇用し物を維持・調達するための「カネ」を必要とする。ヒト、モノ、カネといった資源を合理的に割り当てる役割をになうのが法と制度である。しかし、法と制度を小手先でいじってみても現実が大きく変化するわけではない。

アメリカ図書館の背景

アメリカ図書館の背景

元図書館情報大学 副学長  藤野 幸雄(ふじの ゆきお)

 アメリカの図書館は、イギリスから東部ニュー・イングランドに渡来した建設者たちが信じていた‘ピューリタン(清教徒)思想’によって形作られた。独立以前にイギリスからトマス・ブレイ師がこの地に来て、図書館をメリーランドに設立したのがその創始とみなせる。初期の図書館はボストンを中心に実現した‘アシーニアム’(文芸協会、その発生は19世紀初頭のロンドンにあった)の型であり、博物館や歴史協会を併設したものであった。アメリカの図書館史を創りあげた先駆者たち(ジューエット、プール、ウィンザー、カッター、ビリングス、パトナム)はほぼ全員がボストンかその近郊のニュー・イングランド出身者であって、プロテスタント教徒であった。

 独立後の19世紀前半、開拓が進行するにつれて、アメリカは西部に向かって発展し、フロンティアが消滅したのは1840年代後半であった。1850年にはまだフロリダもテキサスもウィスコンシンも連邦の領土とはなっていなかった。

INTRODUCTION

INTRODUCTION

Junichi Yamamoto
Professor, Graduate School of Library, Information and Media Studies, University of Tsukuba

March 2007

         Among library officials, there appears to be a common and unmistakable awareness that libraries in Japan are currently in a "state of crisis." On one hand, libraries have been forced to confront a wave of "library digitalization," which has been accelerated by widespread use of the Internet since the 1990s.

はじめに

はじめに

 日本の図書館の現状については、関係者の間では、‘危機的状況’にあるとの認識が確実に共有されているように思われる。1990年代以来のインターネットの普及が急速に推し進めている‘デジタル・ライブラリー’化の趨勢に立ち向かわなければならない一方で、国・地方の財政破綻を背景に資料費は見事なまでに減少し、民間委託やPFI(Private Finance Initiative)、指定管理者制度が浸潤しつつあり、人員削減の圧力により、図書館の正規職員のポストは図書館サービスにまったく無縁の首長部局等や法人本部等からの機械的人事異動のたんなる受け皿となり、従前通り図書館に踏みとどまる図書館職員は高齢化が進行し、若い世代の多くはせいぜい‘非常勤専門職員’というきわめて不安定な待遇に甘んじている。

 高度情報通信化への対応の必要性、財政窮乏、組織と業務の合理化、関係職員の高齢化・世代交代の問題などは、日本の図書館だけが遭遇している課題ではなく、すべての先進諸国の図書館が効果的な解決を迫られているものである。

 日本の図書館は、とくに第二次世界大戦後、アメリカをモデルに発展してきた。

はしがき

はしがき

 情報技術の進展を基盤とした新しいサービスの導入はもとより、指定管理者制度の導入や業務の民間委託の伸長、定年退職者の増加など、我が国の図書館を取り巻く環境の変貌は著しく、また課題が多い状況である。このような中、他国の図書館ではどのような計画を立案し、どのようなプロジェクトを遂行して環境の変貌や課題に対応しようとしているのかを知ることは、当館及び我が国の図書館の将来にとって必要不可欠である。しかしながら、各国の政策、財政、法制度や社会基盤、また図書館界全体の方向性などを踏まえた鳥瞰的・基礎的な調査研究は未だ行われておらず、個々の図書館の事例を散発的に紹介する論文・記事が見られる程度である。そこで、当館では平成18年度の「図書館及び図書館情報学に関する調査研究」として、世界の図書館活動を牽引する存在である米国の図書館事情について調査を行った。今回刊行する『図書館研究シリーズ』第40号は、その調査成果を、論集の形で取りまとめたものである。

 この調査は、社団法人システム科学研究所に委託し、以下のメンバーによる研究会が企画・構成を担当した。

9月 2日

E972 - NDL,PORTAをリニューアルし,サービスも拡充

 国立国会図書館(NDL)は,2009年7月7日に国立国会図書館デジタルアーカイブポータル(PORTA;E706参照)をリニューアル公開した。また8月12日には,CiNii,JAIROといった検索先を新たに追加し,8月19日に携帯端末用サイトの試験公開も開始した。...

E971 - NDL-OPAC,リンクリゾルバによる外部データベースとの連携開始

 国立国会図書館(NDL)は,2009年9月1日,リンクリゾルバ(CA1482参照)を使用したNDL-OPAC(国立国会図書館蔵書検索・申込システム)と外部データベースとの連携を開始した。...

E970 - 韓国で2回にわたる著作権法改正

2009年春,韓国の著作権法が2回にわたり改正された。3月25日に公布された改正法(3月改正)と,4月22日に公布された改正法(4月改正)である。...

E969 - フランス国立図書館とGoogleの連携をめぐる動向

フランス国立図書館(BNF)は,Googleブック検索プロジェクト(現在は「Goolgeブックス」としてサービスを提供)に以前は懐疑的であった。ジャンヌネー(Jean-Noel Jeanneney)BNF前館長は,『Googleとの闘い』という書籍を著し,Googleという米国の一企業による書籍文化の独占に対し異議を申し立てていた。しかし,2009年8月,BNFが,Googleと書籍のデジタル化の領域での提携交渉を進めていることが明らかとなった。...

E968 - 図書館はコミュニティ再生の核―2009年「学習へのアクセス賞」

情報への自由で平等なアクセスを実現するために革新的な活動を行っている図書館などにビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団が授与している「学習へのアクセス賞」(E245,E374,E559,E691,E827参照)を,2009年はコロンビアの都市メデジンにある非営利組織“Fundacion Empresas Publicas de Medellin”(メデジン公社基金)が受賞した。...

E967 - 福井県立図書館「覚え違いタイトル集」ができるまで

2009年8月,福井県立図書館のウェブサイトに掲載されている「覚え違いタイトル集」がインターネット上を中心に話題を集めた。「散歩する漱石」(正しくは『闊歩する漱石』),「もたれない」(正しくは『倚りかからず』)など,思わず頬が緩むような覚え違い事例が数多く紹介されたこのページには多数のソーシャルブックマークが付けられ,ニュースサイトでも紹介されるなど,多くの注目を集めた。このページについて,福井県立図書館の担当者に話を聞いた。...

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