アーカイブ - 2009年 - book

9月 8日

3. 図書館における教育・リテラシーサービスの位置づけ

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京都ノートルダム女子大学 人間文化学科・人間文化研究科  岩崎 れい(いわさき れい)

はじめに

 図書館における教育・リテラシーサービスは、館種による相違と目的による相違の両方の側面からとらえることができる。本稿では、米国図書館における教育・情報リテラシーサービスに関する1990年代以降の日本国内の研究動向を概観した。

(1) 利用(者)教育から情報リテラシーの育成へ

 1990年代に入るまで、このサービスは主に利用者教育または利用教育の一環として位置づけられることが多かった。1980年代の半ばごろから、図書館内の利用教育にとどまらず、1970年代に概念が生まれたとされる情報リテラシーの育成と結びつけて論じられることが増えてくる。

2. 米国における電子的学術情報サービスの動向

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京都大学附属図書館  筑木 一郎(つづき いちろう)

はじめに

 本稿は、米国の大学図書館界における学術情報サービス、特に電子的なサービスについての近年の動向を紹介・分析した文献をレビューするものである。

 前提となる学術情報流通の本質とこの10年あまりの緊迫した展開について理解するには土屋の論述をみるのがよいだろう。土屋(1)は、学術情報の量的増大およびその商業化に伴うシリアルズ・クライシスと、社会全体の電子化・ネットワーク化を背景とした学術雑誌の電子ジャーナル化とが複雑に絡み合う学術情報流通の展開を描き出している。

(1) 電子ジャーナルをめぐる動向

 この10年あまりで研究者の情報行動は劇的に変わったと誰しもが思うところだが、それを裏付けるのが三根の研究である。

1. 米国の図書館史に関する研究動向

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東京大学大学院 教育学研究科  三浦 太郎(みうら たろう)

 米国図書館史研究の第一人者ウィーガンド(Wayne A. Wiegand)フロリダ州立大学教授は、1999年、19世紀末以降の米国図書館学研究の動向をまとめたうえで、この分野の弱点として、研究範囲が図書館という「自分たちにだけ通用する土俵」に閉じており、権力と知識の結びつきに切りこむ批判理論や、図書を読む人びとの視座に立つ読書研究など理論的・学際的研究と隔絶している点を批判した(1)

 日本で米国図書館思想研究をリードする川崎良孝・京都大学教授も2005年、ヴァンスリック(Abigail A.

はしがき

第4章 米国の図書館に関する研究動向(はしがき)

 本章では、米国の図書館に関する日本国内の研究動向を見ていく。米国の図書館を実践モデルとして掲げてきたわが国では、館種やテーマを問わず米国図書館にかかわる多くの研究が行われてきた。本章では文献レビューの形で、日本におけるアメリカ図書館に関する研究動向を紹介する。

 実践に焦点を当てた研究が多くを占めるなかにあって、図書館史に関しては、米国の図書館の理念的基盤を扱う基本文献の翻訳が精力的に行われてきた。「図書館史に関する研究文献レビュー」では、翻訳された研究業績を中心に、米国における図書館史研究の動向が示されている。米国ではマイノリティ、メディア史、文化の政治的側面を視野に入れた図書館史研究が活発に行われており、図書館史は過ぎ去った過去を記述するものではなく、現在の実践と対峙しつつ参照すべき拠り所として捉えられている。

 「図書館における電子情報に関する研究文献レビュー」では、米国の大学図書館における電子的学術情報サービスの動向を紹介している。実践に直結するこの領域についてはタイムラグをおかず、米国の様々な動向が我が国に伝えられている。

はしがき

第3章 社会的な論点と図書館(はしがき)

 図書館は民主主義社会の基盤であるとの認識は図書館界のみならず、アメリカ社会にも深く浸透している。したがって、アメリカ社会で議論の対象となるテーマは、すなわち図書館活動のテーマとなる。

 移民の国アメリカには、現在でも多くの人々が流入し続けている。言語、文化の多様性はアメリカという国を発展させる原動力であり、同時にアキレス腱でもある。連邦政府が医療保険や年金制度を法律により保障していない状況を見ると、自分の生活は自分で守るという個人中心の社会であることがよくわかる。したがって、自分で生活情報を入手し、判断し暮らしていく社会となる。そこに図書館の情報提供源としての意義が見出せる。

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