アーカイブ - 2009年 - book

10月 14日

10月 5日

CA1692 - ニューヨーク・タイムズ紙が報ずる「読むことの将来」 / 影浦 峡

1. はじめに ニューヨーク・タイムズ紙は、2008年7月から2009年2月にかけて、電子メディアをめぐる三つの記事を、シリーズ「読むことの将来」(The Future of Reading)として掲載した。「リテラシー論争:オンラインって、本当に読んでいるの?」(“Literacy Debate: Online, R U Really Reading?” 2008年7月27日)(1)、「読者を釣るおとりとしてのテレビゲーム」(“Using Video Games as Bait to Hook Readers” 2008年10月5日)(2)、「ウェブ時代、図書館業務も更新」(“In Web Age, Library Job Gets Update” 2009年2月15日)(3)である。今後もシリーズは続くかもしれないが、現段階(2009年6月末時点)でこれらの記事を紹介しよう。...

CA1696 - 動向レビュー:デジタル情報資源の管理・保存にいくらかかるのか?-ライフサイクルコストを算出する試み“LIFE” / 村上浩介

図書館が電子資料やデジタル形式の録音・映像資料を蔵書とし、また図書館の活動の中に所蔵資料のデジタル化やウェブ上の情報の収集・蓄積などを加えるようになってから、短くはない年月が経過した。この時の経過につれて、このようなデジタル情報資源を長期に保存し、また利用に供していくことに関する、紙の資料とは異質の多くの課題が顕在化してきている。たとえば、多くの図書館が所蔵しているであろうレーザーディスク(LD)の場合、再生装置の生産が2009年に終了した(1)。また、かつてのワープロ専用機で作成された文書の場合、今日の標準的なパソコンの環境ではもはや読むことができない、と言った具合に。...

CA1695 - 動向レビュー:データ分析による『カレントアウェアネス』レビュー / 芳鐘冬樹

はじめに 前号をもって本誌『カレントアウェアネス』(以下、CA)は300号を数え、そして、1979年8月の創刊から30年が経過した。途中、頒布範囲の拡大(1989年6月に国立国会図書館(以下、NDL)外への頒布を開始)や刊行頻度の変更(2002年6月に月刊から季刊に変更)を経て、掲載記事を充実させながら「図書館に関する最新情報の速報による提供」を続けている(1)

CA1694 - 動向レビュー:今日のトップ・ニュース「米国の新聞が絶滅危惧種に指定されました!?」 / 水野剛也

はじめに 本稿の目的は、最近の米国新聞界の動向、とくに現在ある「新聞」という形式の媒体が深刻な危機に直面している現状を、いくつかの具体的事例やデータにもとづき、できるだけ簡素に報告することである。

 現状報告(本稿執筆時は2009年6月末)であるため、普遍性のある学術的知見を示すことはできないが、それでも米国における新聞産業の苦境を本誌で紹介する意義はけっして小さくない。それは、大きく以下の3つの理由による。...

CA1693 - 動向レビュー:オープンアクセスは被引用数を増加させるのか? / 三根慎二

1. オープンアクセス効果は神話か オープンアクセス(以下、OA)を支持・推進する論拠の一つとして、「OA論文は非OA論文よりも頻繁に引用される」というものがある。つまり、インターネットに接続可能であれば誰でも読むことができる論文は、オンライン上に無いあるいは契約上読むことができない論文よりも頻繁に読まれ引用される、という主張である(ここでは、これを「オープンアクセス効果(以下、OA効果)」と呼ぶことにする)。分野に関わらず研究者が電子ジャーナル(以下、EJ)で学術雑誌論文を入手するようになったこと(1)、EJの閲読可能性は所属機関の図書館の契約状況に依存しかつ機関間格差があることを考慮すれば、この主張は一見理にかなっているように思われる。...

CA1691 - 学術情報プラットフォームとしてのCiNii / 大向一輝

1. はじめに 国立情報学研究所(以下、NII)が運営する論文情報ナビゲータCiNii(サイニィ)は、サービス開始から5年目を迎えた2009年4月に新しいシステムの導入を行った(図1)。

 筆者が携わった今回のシステム導入では、学術情報プラットフォームとしてのCiNiiの立脚点を明確にし、それに沿ったCiNiiの再設計・開発を行った。本稿では、システム導入の概要について述べるとともに、その背景にある学術情報流通プラットフォームの考え方について概説する。...

9月 29日

4.6 研究調査を終えて

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 「電子書籍」の概念はあいまいである。したがって本研究調査にあたってはその産業的実態の把握に努めることとし、インタビュー調査、アンケート調査に重点を置いた。文献を中心とした研究とは異なり、実態にもとづいた日本における電子書籍の流通・利用・保存の現状を多面的に分析・検討しようとしたのである。

 今回の調査を通じて明らかにできた事項は、以下の3点である。

4.5 対策が必要な電子書籍の保存

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■印刷資料だけの保存では不十分

現在では紙の資料だけでは、時代の実相を知ることはできなくなっていることは明らかである。今日の図書館は印刷資料だけではなく、膨大な電子資料の収集を視野に入れる必要がある。

 

■CD-ROM等パッケージ系電子出版物の保存

 紙媒体の出版物の付属物としてのフロッピーディスクやCD-ROMなどや、電子媒体を主とするパッケージ系電子出版物の増加に伴い、2000年10月に国立国会図書館法の一部改正法によって従来の紙媒体などの出版物のほかに国内で発行されたパッケージ系電子出版物についても、納本制度により網羅的に収集することとなった。

 

■電子書籍の保存の現状

4.4 増加する電子書籍の利用

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■個人利用

 電子書籍の個人利用の悉皆的なデータはない。『電子書籍ビジネス調査報告書 2008』では、「ケータイを用いてインターネットを行っている11歳以上の個人」を対象に「ケータイ電子書籍」について調査を行っている。(2008年6月13日~7月2日調査、利用率調査11,632サンプル、利用者実態調査1,172サンプル)

4.3 デバイスと電子書籍の流通

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■携帯電話

 電子書籍の流通については、携帯電話、PC、モバイル情報端末という主要な媒体がある。

 携帯電話のコンテンツ配信に関しては携帯電話キャリアが公認する「公式サイト」があり、キャリアが定める基準にしたがってコンテンツの流通と課金が行われる仕組みとなっているこの公式サイトからの提供が、携帯電話向け電子書籍の主流である。携帯電話キャリアとしては、エヌ・ティ・ティ・ドコモ(DoCoMo)、KDDI(au)、ソフトバンクモバイル(SoftBank)、ウィルコム(WILLCOM)、 イー・モバイル(EMOBILE)の5社が、総務省の認可を受けた事業者である。萩野によると、2008年12月現在の電子書籍の公式サイト数は、600サイト以上になっている。

 

4.2 把握することが困難な非出版社系コンテンツの電子書籍サイトの実態

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 国内で提供されている電子書籍のコンテンツは出版社系だけではない。例えばインタビュー調査を行った「魔法のiらんど」が運営する「魔法の図書館」のように無料でコンテンツを提供しているサイトが存在する。

 

■魔法のiらんど

 「魔法のiらんど」は、携帯電話やPCから無料でホームページが作成できるサービスであり、このサービスによってブログ、掲示板、プロフィール、そしてケータイ小説が生まれるきっかけとなったBOOK(小説執筆機能)が提供される。

 

4.1 出版社系電子書籍の刊行実態

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 今回実施した、日本書籍出版協会および出版流通対策協議会加盟出版社へのアンケート調査「日本における電子書籍の流通・利用・保存に関する実態・意識調査」によって、電子書籍の刊行について次のような実態が明らかになった。

 

■電子書籍の刊行状況

 現在、何らかの電子書籍を刊行している出版社が27.1%、かつて刊行していたが現在は手がけていない出版社が1.2%、刊行していない出版社が71.8%と、刊行していない出版社の方が圧倒的に多い。そして電子書籍の刊行状況と出版社が扱っている書籍の分野には相関関係があまりなく、刊行規模が影響していると考えられる。

 つまり年間新刊図書刊行規模が大きな出版社ほど電子書籍を刊行している。

 

3.3.4 国会図書館におけるパッケージ系電子出版物の法定納本

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3.3.4.1 はじめに

 

 2008(平成20)年は、1948(昭和23)年の国立国会図書館(以下、NDL)創立から60周年に当たる年であった。そして、国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)に基づくわが国の納本制度発足から60年が経過した。

 これまでNDLは、国内で刊行される出版物について、国政審議等の利用や国民共有の文化的財産の保存を目的として、この納本制度の安定的、実効的な運用を図ることにより、網羅的な収集に努めてきた。納本制度60周年を記念し、1948年の納本受付を実際に開始した日である5月25日を「納本制度の日」と定めて各種の広報活動を行うなど、納本制度の普及に積極的に取り組んでいる。

9月 25日

3.3.3 まとめに代えて

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 現在の電子書籍の発行者の多くは、その長期保存について、その必要性も重要性もあまり理解されていないように思われる。電子媒体は紙媒体の本よりさらに散逸・滅失する危険性が高いのにも関わらず、発行者にそれが永続的価値のあるものであるという認識が薄い。図書館員はその保存の重要性に気がついているものの、紙のようにとにかく書庫という場所をさえ用意すれば保存できるものではなく、有効な対策はとられていない。媒体変換や長期保存の体制の確立などの問題点はまだ、充分に認識されているとはいえない。

 全般に、本調査にあっては保存という観点での質問がごく少なく、定量的な分析は困難である。本調査自体「現状把握」が主であり、過去の集積や未来への伝達といったことがあまり意識されていない。これは電子書籍の蓄積がまだ始まったばかりであり、文化的資産としての認識がまだ市民や研究者自身にも薄いことに起因すると思われる。

3.3.2 電子書籍の保存の社会的意義

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 図書館に収集されている資料は、ランガナタン(Shiyali R. Ranganathan)の「図書館学の五法則」のひとつ「図書は利用するためのものである」に示されるよう(1)に、利用されるために存在している。たとえ現時点において、利用者に利用されていない資料であっても、未来に重要な意味をもつことになる可能性がある。過去、歴史研究において、図書館の果たした役割はきわめて大きい。明治以後、書籍が図書館で収集・保存されていればこそ、今に生きる我々も、明治、大正時代の実相を知ることができる。そして我々、現在に生きる者には、現在の資料を未来に残す責務があるといえる。

3.3.1 電子書籍保存の現状と展望

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 残念ながら、電子書籍の保存については本調査でもあまり体系的に把握できているとはいえない。これは、調査の問題というより電子書籍の保存そのものについてステークホルダー間に相互理解が深まっていないことに起因すると思われる。

 日本国語大辞典によると、保存とは「そのままの状態でたもっておくこと。原状のままに維持すること」(1)とされている。また図書館情報学用語辞典(第3版)では、資料保存を「図書館資料や文書館資料の現在と将来の利用を保証するため、元の形態のまま、あるいは利用可能性を高めるためにメディアの変換などを行うなどして、維持を図ること」(2)と定義する。後者は図書館あるいは文書館資料を射程としているが、すでに紹介したように、千代田区立図書館ではWebを通じた電子書籍の「帯出」サービスがスタートし、構築支援を行ったiNEOには、問い合わせが寄せられていることが、本研究のインタビュー調査からも明らかになった。

3.2.4 国立国会図書館職員の電子書籍に対する意識

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 本調査の一つとして、国立国会図書館職員を対象に「電子書籍の利用の実態・意識に関するアンケート」を実施した。詳細は巻末の参考資料2「電子書籍の利用の実態・意識に関するアンケート調査結果」を参照されたい。ここではアンケート結果の概要と若干の考察を記すのみとする。

 なおこの調査はあくまで国立国会図書館職員を対象としたものであるため、館種の異なる大学図書館職員や公共図書館職員を代表するものではない。いわば「ラストリゾートとしての図書館の職員」の現在における電子書籍に対する意見分布として見る必要がある。

 

 調査対象:国立国会図書館職員 923名
 調査期間:2008年10月22日~11月5日
 調査方法:国立国会図書館内、Webアンケート方式による調査
 回答数:373名 (40.4%)

 

3.2.3 リンク集

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 リンク集やメタリンク集も多くの図書館で提供されている。例示で取り上げておこう。例えば琉球大学附属図書館「電子化資料を提供しているサーバー」(15)や埼玉大学図書館の「電子ジャーナルリンク集」(実態はメタリンク集)(16)などや、Sun-Inet「電子図書館」(17)などがある。リンク集やメタリンク集の探索には、検索エンジンの使用が有効である。

 

(15) 琉球大学附属図書館. “電子化資料を提供しているサーバー”.
http://www.lib.u-ryukyu.ac.jp/erwg/denshika.html, (参照 2009-01-15).

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