アーカイブ - 2009年 9月 8日 - book

4.2 アメリカ図書館協会: 2010年に向けて

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Michael Dowling
Director, ALA International Relations Office and Chapter Relations Office
(アメリカ図書館協会 国際関係部および支部関係部 部長  マイケル・ダウリング)

 1876年、カッター(C.A. Cutter)やデューイ(Melvil Dewey)、その他5人がアメリカ図書館協会(ALA)を設立するためにフィラデルフィアに参集した当時は、電報が最速の通信手段であった。今日、その地位はテキストデータでの通信に取って代わられたが、ALAのミッション(使命)は今も当時と変わらない。「図書館と情報サービス、さらに司書職の発展、促進、そして改善のためにリーダーシップを発揮し、全ての人のために学習と情報へのアクセスをよりよいものとする」。

4.1 ALA(アメリカ図書館協会)の動向

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獨協大学 経済学部  井上 靖代(いのうえ やすよ)

ALAの組織と活動概要

 ALAの財源は会費および財団などからの補助金や寄付金で構成され、連邦政府からの資金は受けない独立採算制を取っている。また個人会員が、部会(Division)やラウンドテーブルに所属する場合には別個に会費を支払うことになる。

 なお、アラバマ州、カンザス州、マサチューセッツ州、ニューヨーク州には“Library Support Staff”会員制度があり、専門職ではない図書館員がALA会員になるための補助制度がある。

1) 理事会(Executive Board)

◆会長(president)、◆次期会長(兼副会長)(president-elect)、◆前会長(兼会長補佐)(immediate past president);各3年の任期

◆会計担当(treasurer);財政年度3年間の任期。現任者は2004—2007の任期

◆事務局長(executive director);1名。

3.7 大統領図書館

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筑波大学大学院 図書館情報メディア研究科  山本 順一(やまもと じゅんいち)

(1) 大統領図書館制度の沿革

 アメリカの大統領図書館制度は、1939年、第32代大統領フランクリン・ルーズベルト(Franklin Roosevelt)が、ニューヨーク州ハイドパークの土地とともに、彼の個人的な文書や大統領職務に用いた文書等を連邦政府に寄贈したことにはじまった。ルーズベルトの友人たちは非営利法人を設立し、ルーズベルト大統領に関する図書館と博物館を建設するための寄付を募った。ルーズベルトの意思が生み出したこの最初の大統領図書館は1941年に開館し、その管理運営については彼の意向にそって国立公文書館にゆだねられることになった。

 F.ルーズベルトの後を引き継いだトルーマン(Harry S. Truman)大統領もまたルーズベルトにならって、大統領図書館の建設を決意した。そのような大統領の動きを受けて、1955年、連邦議会は大統領図書館法(Presidential Libraries Act)を可決した。

3.6 米国における政府情報アクセスに関する動向 ~連邦政府刊行物寄託図書館制度を中心に~

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国立情報学研究所 情報社会相関研究系  古賀 崇(こが たかし)

はじめに

 米国においては、図書館と政府情報との間に強いつながりが構築されてきた。その中心となるのは連邦政府刊行物寄託図書館制度(Federal Depository Library Program: FDLP)である。これは、連邦議会傘下の機関である政府印刷局(Government Printing Office: GPO)が、行政府・司法府を含めた連邦政府全体の刊行物をとりまとめて印刷し、その刊行物を全米各地にある大学・公共・専門図書館等に無償で提供する、というしくみである。FDLPのもとで、図書館は政府情報アクセスの場として位置付けられてきたが、近年では電子政府(electronic government)構築の進展により、政府情報アクセスに関する図書館の役割に再考が迫られている。さらに、いわゆる2001年の「9.11」事件の後、政府情報アクセスをめぐる状況も変容したとの声が止まない。

3.5 NAL(国立農学図書館)の動向

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独立行政法人農業環境技術研究所 広報情報室  福田 直美(ふくだ なおみ)

(1) NALの概要

 国立農学図書館(National Agricultural Library:NAL)は1862年に設立、1962年に正式に国立図書館となり、現在は米国農務省(United States Department of Agriculture:USDA)で研究所を束ねる“Agriculture Research Service(ARS)”のもとにあり、主に農業・農学関係の図書資料類の収集・提供、および農学情報(論文情報等)のデータベース(AGRICOLA)の作成・提供を、米国農務省職員・農業者・学生・図書館・一般を対象に行っている。設立当初より、米国において農業が大きな基幹産業と位置づけられている背景を反映しているといえる。なお、所蔵コレクションには図書資料以外にも、過去実施していた遺伝資源に関する資料や、原稿類などのコレクションなどがある。

3.4 NLM(米国国立医学図書館)の動向と「長期計画2006-2016」

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慶應義塾大学信濃町メディアセンター(北里記念医学図書館)  酒井 由紀子(さかい ゆきこ)

はじめに

 米国国立医学図書館(National Library of Medicine: NLM)は、保健社会福祉省(Department of Health and Human Services: HHS)傘下の国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の一機関で、世界最大のヘルスサイエンス分野の図書館である。

3.3 NCLIS(全国図書館情報学委員会)

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筑波大学大学院 図書館情報メディア研究科  山本 順一(やまもと じゅんいち)

(1) NCLISの沿革

 NCLIS(U.S. National Commission on Libraries and Information Science)は、1970年に設置された連邦政府に属する独立行政機関(independent federal agency)である。「図書館情報学国家委員会」「図書館情報学全国委員会」などの訳語があてられているが、ここでは「全国図書館情報学委員会」と訳しておきたい。1970年の設置法(Public Law 91-345:20 U.S.C. 1501 et seq.)には、「アメリカ合衆国国民のニーズを満たすに十分な図書館情報サービスは、国家目標を達成するために不可欠である」との民主主義社会における図書館サービスの意義について言及されている。

3.2 IMLS(博物館図書館サービス振興機構)の動向

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愛知淑徳大学文学部 図書館情報学科  菅野 育子(すがの いくこ)

(1) IMLSの概要

1) IMLSの沿革

 Institute of Museum and Library Services(博物館図書館サービス振興機構、以下IMLS)は、米国の博物館・図書館サービス法(Museum and Library Services Act,以下MLSA)によって制定された連邦行政府内の独立行政機関としての地位を有しており、全米人文科学基金の下に設置された助成機関である。

3.1 アメリカ議会図書館

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元図書館情報大学 副学長  藤野 幸雄(ふじの ゆきお)

(1) 概要

 アメリカ合衆国議会図書館(Library of Congress: LC, 以下「議会図書館」という)は、アメリカの独立とともにフィラデルフィアに成立した。当初は、連邦議会議員の教養に資するためのコレクションとして、トマス・ジェファーソンが自分の蔵書を買い取らせて作らせたものであり、それまでは連邦議会はベンジャミン・フランクリンの会員制図書館組織「フィラデルフィア図書館会社」を利用させてもらっていた。ジェファーソン文庫はその後火災にあって焼失し、ほとんどもとの姿をとどめていない。1800年に首都がワシントンD.C.に移転し、議会図書館も同時にそこに移転したが、1814年のイギリス軍の侵略により蔵書は蹂躙された。

 この図書館が発展を遂げたのは、南北戦争の後であった。戦争当時の議会図書館長は従軍医師でもあり、図書館の業務を折からインタビューにやってきた新聞記者のスパッフォードに託して、自分は戦場に出て行った。

3. 図書館における教育・リテラシーサービスの位置づけ

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京都ノートルダム女子大学 人間文化学科・人間文化研究科  岩崎 れい(いわさき れい)

はじめに

 図書館における教育・リテラシーサービスは、館種による相違と目的による相違の両方の側面からとらえることができる。本稿では、米国図書館における教育・情報リテラシーサービスに関する1990年代以降の日本国内の研究動向を概観した。

(1) 利用(者)教育から情報リテラシーの育成へ

 1990年代に入るまで、このサービスは主に利用者教育または利用教育の一環として位置づけられることが多かった。1980年代の半ばごろから、図書館内の利用教育にとどまらず、1970年代に概念が生まれたとされる情報リテラシーの育成と結びつけて論じられることが増えてくる。

2. 米国における電子的学術情報サービスの動向

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京都大学附属図書館  筑木 一郎(つづき いちろう)

はじめに

 本稿は、米国の大学図書館界における学術情報サービス、特に電子的なサービスについての近年の動向を紹介・分析した文献をレビューするものである。

 前提となる学術情報流通の本質とこの10年あまりの緊迫した展開について理解するには土屋の論述をみるのがよいだろう。土屋(1)は、学術情報の量的増大およびその商業化に伴うシリアルズ・クライシスと、社会全体の電子化・ネットワーク化を背景とした学術雑誌の電子ジャーナル化とが複雑に絡み合う学術情報流通の展開を描き出している。

(1) 電子ジャーナルをめぐる動向

 この10年あまりで研究者の情報行動は劇的に変わったと誰しもが思うところだが、それを裏付けるのが三根の研究である。

1. 米国の図書館史に関する研究動向

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東京大学大学院 教育学研究科  三浦 太郎(みうら たろう)

 米国図書館史研究の第一人者ウィーガンド(Wayne A. Wiegand)フロリダ州立大学教授は、1999年、19世紀末以降の米国図書館学研究の動向をまとめたうえで、この分野の弱点として、研究範囲が図書館という「自分たちにだけ通用する土俵」に閉じており、権力と知識の結びつきに切りこむ批判理論や、図書を読む人びとの視座に立つ読書研究など理論的・学際的研究と隔絶している点を批判した(1)

 日本で米国図書館思想研究をリードする川崎良孝・京都大学教授も2005年、ヴァンスリック(Abigail A.

はしがき

第4章 米国の図書館に関する研究動向(はしがき)

 本章では、米国の図書館に関する日本国内の研究動向を見ていく。米国の図書館を実践モデルとして掲げてきたわが国では、館種やテーマを問わず米国図書館にかかわる多くの研究が行われてきた。本章では文献レビューの形で、日本におけるアメリカ図書館に関する研究動向を紹介する。

 実践に焦点を当てた研究が多くを占めるなかにあって、図書館史に関しては、米国の図書館の理念的基盤を扱う基本文献の翻訳が精力的に行われてきた。「図書館史に関する研究文献レビュー」では、翻訳された研究業績を中心に、米国における図書館史研究の動向が示されている。米国ではマイノリティ、メディア史、文化の政治的側面を視野に入れた図書館史研究が活発に行われており、図書館史は過ぎ去った過去を記述するものではなく、現在の実践と対峙しつつ参照すべき拠り所として捉えられている。

 「図書館における電子情報に関する研究文献レビュー」では、米国の大学図書館における電子的学術情報サービスの動向を紹介している。実践に直結するこの領域についてはタイムラグをおかず、米国の様々な動向が我が国に伝えられている。

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