アーカイブ - 2022年 9月 15日

E2534 - すべての人に情報を:アジア・オセアニアの図書館とSDGs

 

●図書館とSDGs

  持続可能な開発目標(SDGs;CA1964参照)とは,2015年に国際連合(UN)サミットで採択された,持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標で,17の目標と169のターゲットから構成されている。SDGsの達成に向けて,図書館はどのように貢献できるだろうか。図書館と最も関係する課題は,目標16(平和と公正をすべての人に)のうち,ターゲット16.10「国内法規及び国際協定に従い,情報への公共アクセスを確保し,基本的自由を保障する。」であろう。つまり,「すべての人に情報を」提供するために,図書館は主導的な役割を担うことができる。

全国学校図書館協議会による2022年度学校図書館セミナー、オンライン配信により開催:テーマは「お悩み解決! 著作権 ~ GIGAスクール時代の学校図書館」

2022年11月1日から30日の間、全国学校図書館協議会の主催による学校図書館セミナー2022「お悩み解決! 著作権 ~ GIGAスクール時代の学校図書館」がオンラインで配信されます。

図書館総合展2022のプログラムの一部としてオンライン開催するとあります。本セミナーでは、著作権法第35条や一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)についての基礎知識を学び、学校現場での具体的な悩み・質問に対して解説し、著作権教育についての理解を深めるとあります。

主なプログラムは以下の通りです。

・講義:「GIGAスクール時代の著作権<基礎知識>」
原口直氏(東京学芸大こども未来研究所教育支援フェロー)

・対談:「お悩み解決! 著作権 ~ GIGAスクール時代の学校図書館」 
原口直氏
森田盛行氏(全国学校図書館協議会顧問)

参加費は1,000円で、事前の申し込みが必要です。期間中は何度でも視聴可能とあります。

より強力で透明性の高い国際図書館連盟(IFLA)に向けて:運営理事会の計画(記事紹介)

国際図書館連盟(IFLA)が、2022年9月1日付で、運営理事会(Governing Board)がまとめた来年度の運営計画についての記事を掲載しました。

記事では、2022年IFLA総会でBarbara Lison会長が連盟の運営方法をさらに強化するための運営委員会の具体的な計画を示したことを挙げ、新しい次期会長と会計担当が加わった運営理事会がまとめた計画について述べています。この計画は、会員から提起された重要な問題と、運営理事会自身がすでに特定した優先事項の両方に取り組むものであるとしています。

計画の要点としては以下などが挙げられています。

・事務局長に関する件も含めたIFLAが現在直面している状況や、理事会、会員、ボランティアから提起された問題の明確な認識。
・2025年から2029年までの戦略の包括的な作成前の、現在の取組の優先順位付けと計画の強化、および2019年から24年までの戦略の見直し。
・コミュニケーションの強化、より適切な構造、新事務局長の採用のための明確な計画など、IFLA本部の職場環境を改善するためのステップ。

また、総会での決議に基づき、IFLAをより親しみやすく透明性の高い組織とするためのロードマップを作成する予定であるとしています。

障害者に対する研究データのアクセシビリティ保障(記事紹介)

米国で健康・医学・生命科学に関するニュースを提供するSTAT Newsのウェブサイトに、2022年9月6日付で、記事“Open access to research can close gaps for people with disabilities”が掲載されました。

記事では、2022年8月25日に発表された、米国大統領府科学技術政策局(OSTP)による、連邦政府から助成を受けた研究の成果の即時公開を求める政策指針に従うにあたり、障害者の科学情報へのアクセスも保障する必要性を指摘しています。研究データや査読前論文のほか、オンライン上のソフトウェア、インタラクティブなウェブサイトや地図、ウェビナーやカンファレンスなどへのアクセスが保障されないと、科学的な研究結果が得られないとしています。

また、アクセシビリティを保障するための方法として、「アクセシビリティの原則とユニバーサルデザインに対する更なる教育」「説明責任と持続可能性を組織に組み込む」「検討プロセスへの障害者コミュニティの参加」を挙げています。

IEEE、イタリアの大学のコンソーシアムCRUIと3年間の転換契約を締結

2022年9月13日、IEEEは、イタリアの大学のコンソーシアムConferenza dei Rettori delle Università Italiane(CRUI)と3年間の転換契約を締結したことを発表しました。

発表によると、無制限のRead & Publish契約であり、54機関の研究者は、IEEEの発行する約200の主要雑誌等にオープンアクセス(OA)で論文を掲載できるようになり、また、毎年新しく追加される約25万件を含めた合計500万件以上の論文にアクセスできるようになります。

また、掲載されるOA論文には著者からの要望が無い限りはクリエイティブ・コモンズ・ライセンスCC BYが付与されること、購読料と論文処理費用(APC)の両方がコンソーシアムメンバーの支払うライセンス料によって賄われること等が説明されています。

『カレントアウェアネス-E』443号を発行

『カレントアウェアネス-E』443号を発行しました。

■E2534■ すべての人に情報を:アジア・オセアニアの図書館とSDGs
アジア経済研究所学術情報センター・小林磨理恵

■E2535■ 英国公共図書館における延滞料廃止に関する議論
筑波大学大学院人間総合科学学術院・土屋深優

■E2536■ 欧州連合理事会採択のオープンサイエンスに関する政策指針
国立情報学研究所・池田貴儀

■E2537■ 欧州における文化遺産3Dの動向:欧州委員会の報告書をもとに
ROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センター・小川潤

■E2538■ 国際学術会議Digital Humanities 2022<報告>
電子情報部電子情報企画課次世代システム開発研究室・大沼太兵衛

E2536 - 欧州連合理事会採択のオープンサイエンスに関する政策指針

  2022年6月,欧州連合(EU)理事会は,オープンサイエンス政策の推進を目的とした指針“Research assessment and implementation of Open Science”(以下「本指針」)を採択した。本指針は32の項目からなり,1)研究評価システムの改革,2)学術出版および科学コミュニケーションに対するアプローチとキャパシティ,3)学術出版の多言語主義の推進,の3つの柱で構成される。そしてこれらについて欧州研究領域(European Research Area:ERA)全体で共同行動を取ることが提案されている。本稿では,ERAについて概説した後,本指針について紹介する。

E2535 - 英国の公共図書館における延滞料廃止に関する議論

  2022年6月に英国の図書館関連チャリティ団体であるLibraries Connectedが,英国の公共図書館における延滞料の廃止に関する調査レポートを公開した。同レポートは2022年3月に行われたワークショップでの議論とオンラインでのアンケート調査をもとに,現在の英国における延滞料の動向と現場からの意見をまとめたものである。

E2537 - 欧州における文化遺産3Dの動向:欧州委員会の報告書をもとに

  2022年4月,欧州委員会は『有形文化遺産3Dデジタル化における質に関する研究』(Study on Quality in 3D Digitisation of Tangible Cultural Heritage: Mapping Parameters, Formats, Standards, Benchmarks, Methodologies, and Guidelines,以下「報告書」)と題する報告書を公開した。この報告書は,キプロス技術大学・デジタル遺産研究所(Digital Heritage Research Lab, Cyprus University of Technology)を中心に進められた研究プロジェクトの最終報告書であり,多様な観点と膨大な調査に基づく研究である。

凸版印刷株式会社、古文書を解読するスマホアプリを開発:資料館や大学等と連携し実証実験を開始

2022年9月13日、凸版印刷株式会社が、古文書を解読するスマホアプリを開発したことを発表しました。

木版を用いて印刷されたくずし字資料に対応したAI-OCRと手書きの古文書に対応したAI-OCRを用いており、一般利用者でも、スマートフォンで撮影したくずし字資料をその場で解読できるサービスであると述べられています。

発表によると、2022年9月から、公益財団法人三井文庫や京都市歴史資料館、和洋女子大学等との連携のもと実証実験を開始しており、2023年1月にベータ版公開、3月に正式版の販売が予定されています。

凸版印刷、AI-OCRで古文書を解読するスマホアプリを開発( 凸版印刷株式会社, 2022/9/13)
https://www.toppan.co.jp/news/2022/09/newsrelease220913_1.html

全日本教職員組合、文部科学省宛に事務連絡「拉致問題に関する図書等の充実に係る協力要請」の撤回を求める要請書を提出

2022年9月8日、全日本教職員組合が、文部科学省宛に事務連絡「拉致問題に関する図書等の充実に係る協力要請」の撤回を求める要請書を提出したことを発表しました。

同事務連絡は、文部科学省が内閣官房拉致問題対策本部事務局からの協力依頼を受けて、8月30日付で都道府県教育委員会等に発出したものです。

「拉致問題に関する図書等の充実に係る協力要請」の撤回を求める文科省要請(全日本教職員組合, 2022/9/8)
https://www.zenkyo.jp/news/7720/

参考:
拉致問題対策本部、電子図書館を開設
Posted 2022年6月14日
https://current.ndl.go.jp/node/46312

Coalition for Diversity and Inclusion in Scholarly Communications(C4DISC)、学術出版における反人種差別のためのツールキットを公開

2022年9月12日、学術コミュニケーションにおける公平性・包括性・多様性・アクセシビリティに取り組むCoalition for Diversity and Inclusion in Scholarly Communications(C4DISC)が、学術出版における反人種差別のためのツールキットを公開したと発表しました。

今回公開されたツールキット“Antiracism Toolkit for Black, Indigenous, and People of Color”は、会話の始まりとなること、現在・将来の学術出版業界におけるBIPOCの労働者のためのリソースとなること等を目的としています。主に、BIPOCが業界に参入する際の障壁、BIPOCのグループとのコミュニティ形成の重要性、学術出版業界の3つのパートで構成されているとあります。

E2538 - 国際学術会議Digital Humanities 2022<報告>

  人文学研究にデジタル技術を応用する実践領域であるデジタル人文学の国際学術会議「Digital Humanities 2022」(以下「DH2022」)が,2022年7月25日から29日まで,東京をホスト都市としてオンラインで開催された。DH2022は,各国のデジタル人文学関係団体の連合組織として2005年に結成されたAlliance of Digital Humanities Organizations(ADHO)の年次大会であり,ADHO結成以前の前身の会議から数えると32回目の大会にあたる。今大会はもともと2021年に実施が予定されていたが,コロナ禍により1年延期され,オンラインで開催されることとなった。ADHOの年次大会がアジアをホスト国とするのは今回が初めてであり,大会テーマとして“Responding to Asian Diversity”(アジアの多様性へ)が掲げられた。