アーカイブ - 2022年 6月 10日

リポジトリにおける研究者や研究成果のプライバシーを評価する指標について(文献紹介)

2022年5月10日、オープンアクセスの査読誌“International Journal of Digital Curation”の16巻1号において、“Privacy Impact Assessments for Digital Repositories”が掲載されました。著者は米・ミシガン大学のAbraham Mhaidli氏ら4人です。

システムの情報フローのマッピングをしてユーザーにとってのプライバシーリスクの確認等を行うprivacy impact assessment(PIA)の手法を、デジタルリポジトリのフローに適用させることで、リポジトリによって管理される研究データの中に含まれる研究成果や、リポジトリを利用する研究者のプライバシーについて評価する手法を開発しています。

また、開発した手法を用いて、社会科学の調査データを扱う米国のInter-university Consortium for Political and Social Research(ICPSR)のResearcher Passport systemの評価を試行しています。

Google Scholarの引用データに含まれるエラーについての調査(文献紹介)

2022年5月27日、オープンアクセス(OA)の査読誌“Journal of Medical Internet Research”の24巻5号に“Types of Errors Hiding in Google Scholar Data”が掲載されました。著者はフランスのクレルモン・オーベルニュ大学のRomy Sauvayre氏です。

Google Scholarを利用した科学計量研究の一般的なツールであるPublish or Perish(PoP)ソフトウェアを用いて、ニューロイメージング分野のポスター発表1件と論文1件の引用データを抽出し、その書誌情報の正確性や誤引用の有無等を確認しています。結果、抽出された281件のデータのうち279件が少なくとも1つのエラーを含んでいたこと、非学術文献は学術文献に比べエラーが多かったこと等が分かったと報告されています。

結論部では、Google Scholarのデータを、検証やデータクリーニングを行わずに使用した場合、その研究の信頼性は疑問視されると指摘しつつ、少量のサンプルに綿密な検証を実施できる場合には、特に会議録等論文以外のドキュメントの引用データ取得についてGoogle Scholarが有用であると述べています。

慶應義塾大学、HathiTrustに加盟

2022年6月9日、慶應義塾大学が、2月にHathiTrustへ正式加盟したことを発表しました。発表の中では、アジアからの加盟は同大学が初めてとあります。

加盟により期待されることとして、2014年にHathiTrustに登録した慶應義塾図書館の蔵書約9万冊の利活用の可能性拡大、国内外における日本研究への貢献、加盟機関所属者向けの機能を活用し慶應義塾の研究・教育のためのリソースが得られることが挙げられています。

神戸市立三宮図書館、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)へ7月26日に仮移転

2022年6月8日、神戸市は、神戸市立三宮図書館が、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)へ7月26日に仮移転することを発表しました。

2027年工事完成予定の「雲井通5丁目地区再開発ビル」に移転するまでの間の仮移転であり、「KIITO三宮図書館」の通称を用いるとしています。同市の発表によると、神戸新聞・TRCグループによる指定管理が行われ、少人数での読書用の「ネストブース」や調べものができる「Co Reading」、くつろいで読書ができる「ブックリビング」等、多様な種類の読書スペースがあります。

KIITO三宮図書館(現三宮図書館)が7月26日に仮移転オープンします(神戸市, 2022/6/8)
https://www.city.kobe.lg.jp/a09222/kosodate/lifelong/toshokan/kisyahappyou/192975076577.html

2022年のオープンアクセスウィークのテーマは“Open for Climate Justice”

2022年6月9日、米・SPARCが、2022年のオープンアクセスウィーク(International Open Access Week)のテーマを“Open for Climate Justice”と発表しました。

気候危機への対応には地理・経済・分野的枠を超えた迅速な知識交換が必要であり、“Climate Justice”に焦点を当て、気候変動関連の取組と国際的なオープンコミュニティ間のつながりと協力を促進することを目的としているとあります。

オープンアクセスウィークは毎年10月に、世界各地でオープンアクセスに関連する様々なイベントを開催する取り組みで、今年は10月24日から30日にかけて行われます。

オーストラリア図書館協会(ALIA)ら、オーストラリア放送協会における図書館員・アーキビストの人員削減に対する共同声明を発表

2022年6月9日、オーストラリア図書館協会(ALIA)とオーストラリア・アーキビスト協会(ASA)は、オーストラリア放送協会(ABC)における図書館員・アーキビスト削減に関する共同声明を発表しました。

ABCの代表取締役(Managing Director)のDavid Anderson氏が発表した、ABCの図書館員およびアーキビストの58のポジションを廃止する計画に反対し、同ポジションを維持することを求めています。

加えて、ALIAは、同日付で公開した記事の中で、今回のポスト削減を補うためジャーナリストにこれまで研鑽を積んでいない役割を引き受けさせることは、ジャーナリスト・図書館員・アーキビストのプロ意識への敬意が欠けており、ABCのコレクション維持に打撃を与えるとしています。また、David Anderson氏との対談、ABCのコレクションと専門の図書館員・アーキビストの支援を求めると述べています。

前橋市(群馬県)、「前橋市立図書館新本館基本構想」を策定

2022年6月3日、前橋市(群馬県)が、「前橋市立図書館新本館基本構想」を策定したと発表しました。

前橋市立図書館新本館は中心市街地への新築移転が決まっています。同構想の作成にあたっては、市民ワークショップやアンケート、公募市民や学生、有識者を交えたワーキンググループでの議論などを経てきたことから、同構想が市民が望む図書館のあり方を示すものとなっているとあります。

同館の目指す姿であるビジョンを「対話による多様な学びがある知のひろば」とし、これを実現するために「学び、知力をささえる」「専門性をいかす」「対話をひらく」「文化をつなぐ」の4つの基本方針が掲げられています。

この構想を具体化し、同館が文化教育都市としての前橋市を象徴する存在となるための基本計画を2022年度に作成する予定であるとしています。

カナダ・バンクーバー公共図書館(VPL)、延滞料の廃止を発表

2022年6月1日、カナダのバンクーバー公共図書館(VPL)が、同日から延滞料を廃止することを発表しました。

全てのVPLの資料について延滞料が撤廃され、既存の延滞金は自動的にアカウントから削除されるとあります。返却期限を過ぎた資料については、返却を促す通知(電話またはEメール)が届き、返却期限から23日以内に返却されない場合は、利用カード所有者のアカウントに紛失物料金が加算されますが、資料が返却されると、請求は取り消されるとあります。

延滞料の廃止は、VPLが取り組んでいるバンクーバー市における経済的負担軽減の一環であるとしています。

Overdue Fines? Not Anymore!(VPL,2022/6/1)
https://www.vpl.ca/library/news/2022/overdue-fines-not-anymore

西南学院大学博物館(福岡県)、企画展「印刷文化の黎明―インキュナブラからキリシタン版まで―」を開催中

2022年6月6日から8月8日まで、福岡県の西南学院大学博物館において、2022年度企画展Ⅰ「印刷文化の黎明―インキュナブラからキリシタン版まで―」が開催されています。

15世紀中頃に活版印刷術が完成して以降、その技術はヨーロッパの各地に伝播しました。本展では、かつての面影を残しながらも変化していく「書物のすがた」を通し、西洋印刷文化の黎明期に迫るとあります。関連イベントとして印刷博物館の出前授業や、活版印刷機体験ができるワークショップ等も企画されています。

西南学院大学博物館2022年度企画展Ⅰ「印刷文化の黎明―インキュナブラからキリシタン版まで―」(西南学院大学,2022/6/6)
https://www.seinan-gu.ac.jp/news/2022/13847.html