アーカイブ - 2021年 5月 27日

Project MUSE、オープンアクセス購読モデルの研究のための助成をメロン財団より獲得

2021年5月24日、人文・社会科学系の電子資料提供サービスProject MUSEは、アンドリュー W.メロン財団から75,000米ドルの助成を獲得したことを発表しました。この助成プロジェクトのタイトルは“MUSE Open: S2O”であり、人文学および社会学におけるオープンジャーナル出版への財政的に持続可能なアプローチの開発に焦点を当てます。

オープンアクセス出版は多くの場合、論文掲載料(Article Processing Charge; APC)に依存しています。資金が不足している人文社会学分野ではうまく機能しておらず、著者の持続可能性と公平性に懸念が生じています。著者支払いモデルに代わって、Subscribe to Open(S2O)は現在の購読者にインセンティブを与えることで、オープンアクセス出版を支援します。このプロジェクトは、図書館、出版者、社会、研究者、助成機関が受容できるジャーナルの持続可能で公平なモデルを設計することを目的として挙げています。

複製可能性のない論文は、複製可能性のある論文よりも引用される(文献紹介)

2021年5月21日付けで、米国科学振興協会(AAAS)が刊行するオープンアクセスジャーナル“Science Advances”に、研究論文“Nonreplicable publications are cited more than replicable ones”が公開されました。著者は、米・カリフォルニア大学サンディエゴ校のMarta Serra-Garcia氏とUri Gneezy氏です。

論文では、心理学、経済学、総合分野におけるトップジャーナル掲載論文を対象として調査した結果、複製可能性(replicability)のない論文は、複製可能性のある論文よりもより多く引用されていることが報告されています。この被引用数の差は、複製に失敗したことが公開された後も、変化しませんでした。複製に失敗したことが公開された後の引用のうち、12%のみが複製可能でないことについて言及していました。

先行研究では、専門家は論文の複製可能性についてうまく予測できることが示されています。それにも関わらず、複製可能性のない論文がトップジャーナルで採択される理由については、複製可能性のない研究は興味深くみえる分、再現性(reproducibility)については低い水準が適用されてしまうトレードオフが存在する可能性を指摘しています。

株式会社写研、「写研アーカイブ」を公開:同社発売の295書体などが閲覧可能

2021年5月26日、書体の制作等を行う株式会社写研が、デジタルアーカイブ「写研アーカイブ」を公開しました。

「写研の書体」「写研の歴史」「写真植字」の3パートで構成されており、同社がこれまでに発売した代表的な295の書体、同社の歴史、写真植字機の変遷等を見ることができます。発表の中では、今後も資料の拡充に努めると述べられています。

株式会社写研 Webサイト(アーカイブサイト)公開(株式会社写研, 2021/5/26)
https://sha-ken.co.jp/news/2021/archivesite-release/

写研アーカイブ
https://archive.sha-ken.co.jp/

『カレントアウェアネス-E』413号を発行

『カレントアウェアネス-E』413号を発行しました。

■E2383■ 番組を生んだ言葉の力:長崎県をビブリオバトルの強豪県に
長崎放送株式会社ラジオ営業部・永石剛

■E2384■ 東京都立中央図書館におけるチャットボット実証実験
東京都立中央図書館・森口歩

■E2385■ 米国NARAでのトランプ前大統領のツイート等の保存について
天理大学人間学部・古賀崇

■E2386■ ラウンドテーブル「デジタル公共文書を考える」<報告>
慶應義塾大学文学部・福島幸宏

■E2387■ 第7回全国史料ネット研究交流集会<報告>
酒田市美術館・井上瑠菜

■E2388■ 大学の図書館と博物館の協力関係構築のポイント:米国の事例
信州大学附属図書館・岩井雅史
信州大学大学史資料センター・坂元英恵

E2387 - 第7回全国史料ネット研究交流集会<報告>

2021年2月20日・21日の2日間にわたり,NPO法人宮城歴史資料保全ネットワークを中心とした実行委員会主催で,第7回全国史料ネット研究交流集会(以下「本集会」)がオンライン開催された。「資料ネット」(CA1995参照)は,大学教員や大学院生・学部生,史料保存機関職員,地域の歴史研究者らが協力し合い,災害から歴史資料を保全し,災害の記録を保存するために立ち上げられたボランティア団体である。1995年の阪神淡路大震災を機に設立された歴史資料ネットワーク(CA1743参照)を皮切りに,この保全活動は全国に広がり,現在では28もの「資料ネット」が各地で立ち上がりネットワークを構築している。この全国史料ネット研究交流集会は2015年から毎年会場を変えて開催され,各地の「資料ネット」が集まり,設定されたテーマについての情報共有と資料保全活動のあり方に関して議論を重ねる貴重な機会となってきた。

E2385 - 米国NARAでのトランプ前大統領のツイート等の保存について

米国のトランプ前大統領は,2017年1月から4年間の任期において,自身の信条や活動について頻繁にTwitterでの発信を行ってきた一方,その内容の誤りや偏りも度々批判されてきた。トランプ氏は2020年11月の大統領選挙での敗北についても,根拠を示さず選挙の不正を自身のTwitterアカウントから訴え続けた。最終的に,2021年1月6日に生じた自身の支持者らによる米国連邦議会への集団襲撃事件を契機として,規約違反を理由にトランプ氏の個人Twitterアカウントは永久停止に至った。同年1月11日,トランプ政権における大統領関連の公式ソーシャルメディアのすべてのコンテンツにつき,ツイートとして削除されたものや閲覧不可能になったものを含め,米国国立公文書館(NARA)が収集・保存しアクセス可能とする旨,告知が成された。対象は,トランプ氏の個人アカウント(@realdonaldtrump),および,トランプ政権期の米国大統領の公式アカウント(@POTUS。現在はバイデン現大統領の公式アカウント)等である。この点の概要や背景についてはNARAのウェブページに集約されているが,以下,簡単に解説してみたい。なお,本稿の内容は2021年5月5日時点のものである。

E2383 - 番組を生んだ言葉の力:長崎県をビブリオバトルの強豪県に

2020年11月,長崎放送株式会社(NBC)のラジオ番組「ラジオDEビブリオバトル」が,ビブリオバトル(CA1830参照)に関する草の根レベルの取組や波及効果が評価され,Bibliobattle of the Year 2020大賞の栄誉にあずかった。テレビやラジオ作品の受賞機会は数多くあったが,今回の受賞は,取組自体が評価されたと感じ,嬉しさもひとしおである。

E2386 - ラウンドテーブル「デジタル公共文書を考える」<報告>

●はじめに

   2021年1月12日,東京大学大学院情報学環DNP学術電子コンテンツ研究寄付講座の主催により,ラウンドテーブル「デジタル公共文書を考える-公文書・団体文書を真に公共財にするために-」がオンラインで開催された。

E2388 - 大学の図書館と博物館の協力関係構築のポイント:米国の事例

  2020年11月,米国の非営利団体Ithakaの調査部門Ithaka S+Rは,大学の図書館と博物館との連携促進に関する調査報告書“Structuring Collaborations:The Opportunities and Challenges of Building Relationships Between Academic Museums and Libraries”を公開した。この報告書では,米国の30の大学の図書館長と博物館長等に,大学内での両者の連携に関するインタビューを行い,その結果として連携促進に重要な側面をまとめるとともに,効果的な連携が見られた3つの事例を取り上げている。

国立情報学研究所(NII)、広報誌『NII Today』第91号を刊行:「NII Research Data Cloud 本格始動へ:オープンサイエンスを支える研究データ基盤」が特集テーマ

2021年5月6日、国立情報学研究所(NII)は、広報誌『NII Today』第91号(2021年3月)の刊行を発表しました。

「NII Research Data Cloud 本格始動へ:オープンサイエンスを支える研究データ基盤」のテーマの下で、以下の記事を掲載しています。なお、同紙は無料で全文PDFを公開しています。

・次世代研究データ基盤「NII RDC」への期待:オープンサイエンスを推進し、イノベーションを促すために
・NII研究データ基盤「NII RDC」がいよいよ始まる!:NII×名古屋大学 見えてきた研究データ管理の課題と展望
・研究データ管理基盤「GakuNin RDM」の本運用がスタート:先進的な研究データ管理を支援する
・日本の学術機関のデータ公開を支える「WEKO3」:JAIRO Cloudの基盤ソフトウエアWEKO3が始動
・知の検索基盤として新たな役割を担う「CiNii Research」:サイテーションからリレーションへ、オープンサイエンスへの道を拓く
・国内初の研究データ管理のためのトレーニングコース:体制づくりから支援人材の育成まで
・大学間ネットワークのあけぼの

クラウドソーシングにより視聴覚資料に字幕を付与するプロジェクト“Europeana XX: subtitle-a-thon”(記事紹介)

欧州のテレビ放送アーカイブを提供する“EUscreen”の2021年5月20日付けブログ記事で、クラウドソーシングにより視聴覚資料に字幕を付与するプロジェクト“Europeana XX: subtitle-a-thon”が紹介されています。

“Europeana XX: subtitle-a-thon”はEuropeanaの関連プロジェクト“Europeana XX: Century of Change”により企画されました。オランダ視聴覚研究所(Netherlands Institute for Sound and Vision)など、独・イタリア・ポーランド・オランダの4機関による主催の下、2021年6月から7月にかけてこの4か国でオンラインイベントとして開催されます。

オンラインイベントは、視聴覚遺産や言語に関心がある人、特に翻訳者や言語教師、言語学科の学生などを対象としており、参加者は字幕編集機能付きの特別なメディアプレーヤーを利用して字幕付与作業を行います。

“Europeana XX: subtitle-a-thon”のプロジェクトページ上の記載によれば、プロジェクト実施の目的として、視聴覚資料を多言語で利用できるようにし、現在あまり利用されていない視聴覚遺産をより広く利用可能とすることを挙げています。

英・ケンブリッジ大学図書館、英国の物理学者スティーヴン・ホーキング氏のアーカイブを保存へ

2021年5月26日、英・ケンブリッジ大学は、英国の物理学者であり同大学の教授を務めたスティーヴン・ホーキング氏(1942-2018)のアーカイブに関し、同大学図書館がその保存を担うことを発表しました。アーカイブには同氏の論文や手紙等が含まれています。

発表では、同大学図書館はアイザック・ニュートン、チャールズ・ダーウィンのアーカイブに加え新たにホーキング氏のアーカイブも保存することになり、科学に関する最も重要なアーカイブのうち3つが同館に揃うと述べています。

なお、ホーキング氏が使用していた車椅子や音声合成装置等は英・ロンドンの科学博物館(Science Museum)で保存され、同館において、ケンブリッジ大学におけるホーキング氏のオフィスを再現した展示が行われる予定になっています。

Latest news(University of Cambridge)
https://www.cam.ac.uk/news
※2021年5月26日付けで本件に関するお知らせ“Hawking Archive saved for the nation”が掲載されています。

中国共産党・中国政府に属する9部門が連名で「博物館の改革発展の推進に関する指導意見」を公表:2035年までに「博物館強国」を目指す

中国国務院が運営する中国政府のポータルサイト「中国政府網」に、「博物館の改革発展の推進に関する指導意見」(「関于推進博物館改革発展的指導意見」、2021年5月24日付け)が掲載されています。中国共産党中央宣伝部と、中国政府の国家発展改革委員会、教育部、科学技術部、民政部、財政部、人力資源社会保障部、文化・観光部、国家文物局の連名による指導意見です。

指導意見は5つの章と21の項目からなります。全体目標として、2025年までに博物館事業発展の枠組み形成を、2035年までに「博物館強国」を目指すことが示されています。

指導意見の各項目では、世界トップクラスの博物館を10館から15館重点的に育成すること、博物館の地域・規模・タイプ別に支援を実施すること等に触れています。また、所蔵資料デジタル化の推進・科学技術の活用・展示の質向上・教育機能や情報発信の強化・国際協力の進展など、博物館業務の各方面にわたる言及がなされています。

韓国において国家知識情報の連係および活用の促進に関する法律(デジタル集賢殿法)が成立:国家の知識情報を1か所で検索・アクセス・活用できるプラットフォームの構築

2021年5月26日、韓国国会は、国家知識情報の連係および活用の促進に関する法律(デジタル集賢殿法)が5月21日に可決成立したと発表しています。

韓国国会図書館(NAL)、政府、公共機関等の国家の知識情報を1か所で検索・アクセス・活用できるプラットフォームの構築を目指すものです。また、コロナ禍以降、非対面教育環境へと転換するなかで、教育コンテンツの生産・流通や、教育・学習支援のためのインフラとなることも想定されています。

NALにおいても、韓国版ニューディール政策の政策課題の1つとして2020年から2025年までの6年間に、国会政策資料・学術資料・国会刊行物・立法懸案資料といった「立法・政策・学術資料」コンテンツを拡充して大規模な知識インフラを構築し、「国会電子図書館」を通じて「デジタル集賢殿」と連携するとしています。また、「国会電子図書館」は、国家学術情報統合データや、ビックデータ分析・主題用語メタデータ管理のためのシソーラス・著者典拠DB、地方議会の議政情報とも連携する計画であるとしています。