アーカイブ - 2021年 10月 14日

『カレントアウェアネス-E』422号を発行

『カレントアウェアネス-E』422号を発行しました。

■E2431■ コロナ禍における米国の図書館支援政策
図書館情報学研究者・橋本麿美

■E2432■ 米国の公共図書館電子化プロジェクト“The Palace Project”
電子情報部電子情報企画課・藏所和輝

■E2433■ IAによる地域ウェブ情報収集支援の取組Community Webs
関西館収集整理課・遠山泰啓

■E2434■ ニュージーランド国立図書館の外国資料の除籍とIAへの寄贈
収集書誌部外国資料課・西村葉純

■E2435■ 大学図書館の来館利用を促す要因を探るSCONULの報告書
神戸大学附属図書館・花崎佳代子

E2435 - 大学図書館の来館利用を促す要因を探るSCONULの報告書

   2021年7月,英国国立・大学図書館協会(SCONUL)が,大学図書館の来館利用に関する報告書を公開した。SCONUL会員館では,多くの資料が電子媒体で入手できる中でも来館者数が増加または維持の傾向にあり,本報告書はその要因を分析している。以下,その内容を紹介する。

E2434 - ニュージーランド国立図書館の外国資料の除籍とIAへの寄贈

   2021年7月13日,ニュージーランド国立図書館(NLNZ)は,同館の外国刊行資料コレクション(Overseas Published Collections:OPC)のうち除籍予定の書籍の大部分を,国際的なデジタル・ライブラリーを運営する米国の非営利団体Internet Archive(IA)に寄贈すると発表し,賛否の声が上がっている。

E2433 - IAによる地域ウェブ情報収集支援の取組Community Webs

  国立国会図書館では国内のウェブサイトを定期的に収集し,保存,公開する国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)を行っている。国内では,このような取り組みはまだ一般的ではなく,ウェブ上でのみ公開された行政資料を電子的に保存している取り組みを含め,ウェブアーカイブを行っている公共図書館はほとんどない(E2044参照)。一方,米国では世界中のウェブサイトを収集,保存,公開しているInternet Archive(IA)と連携し,近年ウェブアーカイブのプロジェクトを始動した地方の公共図書館がある。本稿では,IAとそれらの図書館の取り組みについて紹介する。

沖縄県立図書館、「第1回日本十進分類総選挙」を実施中

2021年10月13日から11月3日まで、沖縄県立図書館が、「第1回日本十進分類総選挙」を実施しています。

図書館で排架に利用されている分類と選挙への興味を喚起することを目的に企画したとあります。日本十進分類の0類から9類の選挙ポスターの掲示や投票箱の設置が行われており、好きな分類に一人1票投票できます。

@OkinawaPrefLib(Twitter, 2021/10/13)
https://twitter.com/OkinawaPrefLib/status/1448053616070299658

@okinawapreflibrary(Facebook, 2021/10/13)
https://www.facebook.com/okinawapreflibrary/posts/4334739319950120

教科書費用の自動請求モデル“Inclusive Access”に関するイニシアチブ“InclusiveAccess.org”(記事紹介)

2021年10月5日、米・SPARCが、教科書費用の自動請求モデル“Inclusive Access”に関するイニシアチブ“InclusiveAccess.org”に関する記事を掲載しました。

記事の中では、大学で使われる教科書の価格は高騰しており、90%の学生は教科書がないことで学習に影響が出ることを不安に感じている一方、3分の2の学生は教科書の購入を遅らせていることを述べています。また、80%の教職員は教材費が深刻な問題であると認識しているとあります。

この状況を踏まえて始まったモデルとして、“Inclusive Access”を挙げています。同モデルは、教科書費用を学生の学費に含めて自動的に請求するもので、過去5年間で教科書業界において主要となったものの、選択肢の縮小・複雑な手続き等についての懸念が示されてきたと述べられています。

“InclusiveAccess.org”は、コミュニティ主導のイニシアチブで、SPARCにより開始されました。パートナー機関としてクリエイティブ・コモンズ等が参加しており、“Inclusive Access”に関する認識を向上する取組を行うとしています。“InclusiveAccess.org”のウェブサイトでは、管理職、教職員、学生、意思決定者向けの情報・ツール等を提供するとあります。

フランス・サント=ジュヌヴィエーヴ図書館、新たな電子図書館を公開:同館のデジタル化資料6,500件以上を提供

2021年10月11日、フランスのサント=ジュヌヴィエーヴ図書館が、新たな電子図書館“Genovefa”の公開を発表しました。

手稿や印刷物、地図を含む6,500件以上のデジタル化資料の閲覧・検索等が行えます。発表時点ではベータ版が公開されており、IIIFに関するサポートサービスを提供するIIIF360の支援のもと、デジタルコレクションのウェブ公開用オープンソースソフトウェアOmeka Sを使用して構築されました。

また、今後、全文検索や高精細画像、PDFでのダウンロード、書誌のエクスポート等の新たな機能を追加する予定であると述べています。

Genovefa est ouverte !(GENOVEFA, 2021/10/11)
https://genovefa.bsg.univ-paris3.fr/s/genovefa/page/actualite

ケニアにおけるオープンアクセスに関するEIFLの取組(記事紹介)

途上国において図書館を通じたデジタル情報へのアクセスを推進しているEIFLは、2021年10月1日付で、ケニアのオープンアクセス(OA)に関する取組についての記事をウェブサイトで公開しました。

EIFLは、2010年からケニア図書館情報サービスコンソーシアム(KLISC)と協力し、ケニアにおけるOAを推進する取組を行っています。記事によると、これまでに60大学のリポジトリ構築とOA方針策定を支援し、そのうち45がOAリポジトリのレジストリOpenDOARに掲載されているとあります。その他、EIFLの支援により、21大学でOA方針が策定され、そのほかの多くの大学で草案が作成されたとしています。

Googleブックスプロジェクトの歴史と学術界への影響(文献紹介)

2021年9月21日付で、米・プリンストン大学出版局から単行書“Along Came Google: A History of Library Digitization”が出版されています。著者は、米国の非営利団体Ithakaの調査部門Ithaka S+Rに所属するDeanna Marcum氏とRoger C. Schonfeld氏です。

同書の概要(Overview)によれば、Googleブックスプロジェクトの歴史と、同プロジェクトが学術界に与えた影響に光を当て、知識のデジタル利用の可能性拡大のため、想像力を働かせ共に考え続けるにはどうすればよいかを論じています。図書館員や技術者、大学の指導者、ハイテク企業幹部、大手出版社社長などGoogleの計画を受け入れた側・抵抗した側双方へのインタビュー、Googleブックスプロジェクト実現の経緯、図書館員や学者がGoogleへの法的対応をどう組織したか、といった内容が扱われています。

学術情報流通に関連した多様な話題を提供する学術出版協会(Society for Scholarly Publishing:SSP)運営のブログ“The Scholarly Kitchen”には、2021年10月11日付けでNISO(米国情報標準化機構)のJill O'Neill氏による本書の書評も掲載されています。

CDL Co-op、図書館間相互貸出への“Controlled Digital Lending”導入に関する声明を発表

米・ボストン図書館コンソーシアム(BLC)のウェブサイト上に掲載された2021年10月6日付け記事で、2021年9月にCDL Co-opが声明“Statement on Using Controlled Digital Lending as a Mechanism for Interlibrary Loan”を発表したことが紹介されています。

CDL Co-opは、リソース共有、図書館間相互貸出(ILL)、“Controlled Digital Lending”(CDL)の問題に取り組む図書館員や情報専門家のグループです。なお、CDLとは、図書館が蔵書をデジタル化し、電子的な複製物を「1部1ユーザー」の制限のもと貸し出す方式です。

今回の声明は、ILLの仕組みとしてCDLを導入することに関するものであり、次の章立てからなります。

・ILLの価値
・CDLの定義
・リソース共有のためのCDLに関する共通理解の構築
・ILLでのCDL利用についての10の声明
・参考文献

声明本文の記載によれば、リソース共有の文脈におけるCDLの適用方法に関し図書館やコンソーシアム側では十分に確信が持てていない状況にあるとし、作成の目的として次の3点を挙げています。

IIIFマニフェストを用いたオンライン展示作成ツール“Exhibit”(記事紹介)

英国図書館(BL)による2021年10月7日付けブログ記事で、スコットランドのセント・アンドルーズ大学が新型コロナウイルス感染症のパンデミックに際し作成したツール“Exhibit”と同ツールを用いた展示例が紹介されています。

Exhibitは、IIIFマニフェストを用いたオンライン展示作成ツールです。IIIF規格に沿ったデジタルコンテンツを用いて、各コンテンツに説明を付与した上でオンライン展示を作成することができます。なお、Exhibitは無料・ログイン不要で利用できます。

記事では、BLがデジタルコンテンツや新興技術に関する館内スタッフ向け研修プログラム“Digital Scholarship Training Programme”を実施しており、その一環として毎月開催している“Hack & Yack”というイベントでExhibitを取り上げたことが紹介されています。

“Hack & Yack”は、オンラインのチュートリアルを自分のペースで、同僚のサポートを受けつつ体験するセッションです。2021年4月の開催では「IIIFマニフェストを用いてインタラクティブなオンライン展示や教材を作ろう!」をテーマとし、その中でExhibitを用いたオンライン展示作成が行われました。

研究機関情報のレジストリから集約したデータの曖昧さに対処するOpenAIREの新ツール“OpenOrgs”(記事紹介)

OpenAIREの2021年10月8日付け記事で、新たに開発を進めているツール“OpenOrgs”が紹介されています。

同一研究機関の情報であっても、データソースによって名称表記、機関識別に用いているPIDスキーマ(ROR、ISNIなど)、その他メタデータが異なる場合があります。このような曖昧さは各データソースからのデータ集約時に大きな影響をもたらすことになります。

研究機関情報のレジストリから“OpenAIRE Research Graph”へのデータ集約においてもこの問題が発生するとし、その対処のためにOpenOrgsが開発されました。OpenOrgsは、アルゴリズムによってメタデータに類似性がある機関を重複分としてグループ化した後、キュレーターの確認によって同一機関かどうか判定するという二つのステップで機能します。また、アルゴリズムでは検出できなかった重複分の手動追加や、メタデータの追記等も可能とあります。

なお、2021年9月のOpen Science FAIRでOpenOrgsとその機能に関するデモセッションが開催されており、YouTube上で記録動画が公開されています。