アーカイブ - 2019年 11月

11月 15日

米・カリフォルニア大学バークレー校教員のオープンアクセス(OA)推進の動きに関する意識調査(記事紹介)

2019年11月12日、米国のITHAKA S+Rは、米・カリフォルニア大学バークレー校図書館と協力して同校教員に対して実施した、オープンアクセス(OA)推進の動きに関する意識調査とその結果を紹介した記事を公開しました。

カリフォルニア大学バークレー校図書館は、情報アクセスに関する障壁を取り除いて研究の影響力を最大限発揮できる出版のエコシステムを促進するため、OAの推進に多大な努力を費やしています。こうした問題に対する同校教員の意見を把握する目的で、2018年10月に同校教員2,748人のうち、全体の30%に当たる811人に対してアンケート調査を実施しています。

記事ではアンケート調査の結果に基づいて、同校教員のOA推進の動きに関する意識として、次のようなことが示されています。

・教員の大多数が従来の購読ベースの出版モデルがOA出版システムに転換することを歓迎している。研究成果を最大限アクセス可能にすることが研究成果の影響力を最大化するために重要な方法であることについて強い同意がある。生命科学・健康科学分野の教員がこの傾向をやや強く示している。

・教員は既存の出版社がOA出版モデルに転換することを望んでいる。多くの教員は研究成果をどの学術出版社で公表するかを重視している。

国際図書館連盟(IFLA)、改正EU著作権指令に関する図書館員の関与の重要性と関与のための手順等を解説した記事を掲載

2019年11月6日、国際図書館連盟(IFLA)は、2019年6月に施行された改正EU著作権指令について、図書館員の関与の重要性と関与のための手順等を解説した記事として、“European Copyright Directive Implementation Advances: How Can You Get Involved?”を掲載しました。

改正EU著作権指令の発効後、オランダ・ドイツでは図書館を含む様々な利害関係者の提言を集めるためにすでに公開協議が開催され、フィンランド・ハンガリー・アイルランドでは、図書館の専門家がそれぞれの政府と協議を開始するなど、実施に向けた準備が進んでいます。IFLAは改正EU著作権指令に含まれる内容と図書館員の関与の重要性、関与のために踏むべき手順等を同記事の中で解説しています。

ProQuest社、2018年9月以来のDRMフリーの電子書籍提供拡大等を経た利用傾向の変化について発表:チャプター単位のダウンロードが大幅に増加

ProQuest社が2019年11月5日付で、2018年9月以来実施しているDRMフリーのタイトルの提供拡大等の効果を報告したブログ記事を投稿しています。

ProQuest社は2018年9月に、ダウンロードや印刷、コピーアンドペースト等に制限のかからないDRMフリーの電子書籍10万点以上を同社の電子書籍プラットフォームEbook Centralで提供することを発表しました。その後も、ブログ記事投稿時点で340出版社の約20万タイトルのDRMフリーの電子書籍を提供し、チャプター単位のダウンロードが可能な電子書籍は約130万タイトルに達するなど、順次拡大を続けています。

こうしたDRMフリーの電子書籍提供拡大等の効果として、Ebook Centralの1年間の利用データに基づいて次のような利用傾向が報告されています。

・DRMフリーへ更新されたタイトルについては、書籍全体のダウンロード数が、前年と比較して93%増加した

・チャプター単位のダウンロード数が、前年と比較して45%増加した

・利用者はチャプター単位のダウンロードと書籍全体のダウンロードを選択できる場合、チャプター単位のダウンロードを書籍全体のダウンロードの3倍の頻度で行っている

ProQuest社、同社の選書・発注システムOASISでCairn.infoが提供するフランス語電子書籍約7,000点の発注が可能になったことを発表

2019年11月4日、ProQuest社は同社の学術図書館向け選書・発注システムOASISで、Cairn.infoが提供するフランス語電子書籍約7,000点の発注が可能になったことを発表しました。

Cairn.infoは2005年にベルギーとフランスの学術出版社4社によって設立された、人文社会科学分野のフランス語出版物の包括的なオンラインコレクションを提供するデータベースです。学術電子書籍については著名なフランス語系出版社の新刊タイトル・既刊タイトルを提供しています。

French Publisher Cairn.info Joins OASIS® Publisher-Direct Program(ProQuest,2019/11/4)
https://www.proquest.com/about/news/2019/French-Publisher-Cairninfo-Joins-OASIS-Publisher-Direct-Program.html

閲覧スペースに工夫を凝らした北京・中国農業大学の新図書館(記事紹介)

2019年11月13日付けの京報網の記事で、2019年8月21日から試験開館している北京・中国農業大学の新図書館が、様々な閲覧スペースを有していることからインターネット上で注目を集めていることが紹介されています。

記事中には、館内の様子や、他の利用者を気にせず電話や音読ができるボックス、階段各段の横に設けられた寝転んでの読書も可能な閲覧スペース等の写真が掲載されています。

新館建設チームの副リーダーを務めた韓明傑氏は、設計に当たっては学生への調査により利用者の行動10種類をリストアップし、多様な閲覧スタイルを考慮して20種類の異なる閲覧風景を設計したとコメントしています。

配齐20种不同的阅读场景,中国农大新图书馆成网红(京報網, 2019/11/13)
http://www.bjd.com.cn/a/201911/13/WS5dcb79ede4b079efdcd32bc7.html

Internet Archive(IA)はどのようにLPレコードをデジタル化しているのか(記事紹介)

Internet Archive(IA)の2019年10月23日付けブログ記事で、IAが進めているLPのデジタル化作業が紹介されています。著者は米・ニューヨークを拠点とするフリーランスのライター・Faye Lessler氏です。

IAでは、米・ボストン公共図書館との協力により、同館が所蔵する10万を超える音源のデジタル化を2019年に開始しました。音源は、蝋管、SPレコード、LPレコードなど様々な媒体に記録されています。

LPレコードのデジタル化作業では、最初にカバーアート、ディスク本体、付属資料の高精細画像の撮影と、レコードラベル、記録年、トラックリスト等のメタデータが作成されます。メタデータは様々な外部データベースとの照合によるクロスチェックが行われます。

続いて、IAが提携しているInnodata Knowledge Services社によって、フィリピン・セブ島にある同社の施設で音源のデジタル化作業が実施されます。12のターンテーブルで一枚ずつ、等倍速での再生によりデジタル化しており、作業量としては1時間あたり10枚程度となっています。

ゲームで学ぶデジタル保存(記事紹介)

英・電子情報保存連合(DPC)の2019年11月4日付けブログ記事“Digital Preservation and Games”において、デジタル保存をテーマとしたゲームへの言及がなされています。筆者は米・マサチューセッツ工科大学図書館でデジタル保存のディレクターを務めるNance McGovern氏です。

2018年に米・ハーバード大学で開催された第15回電子情報保存に関する国際会議(iPRES2018)では、デジタル保存に関するゲームが体験できるゲームルームが初めて設けられました。McGovern氏は、そこで紹介されたボードゲーム“Save my Bits”、“Criteria Game”、“Preservia”とカードゲーム“Obsolescence”の計4種類が、iPRES2018の予稿集のウェブページ等からダウンロードできることが紹介するとともに、これらのゲームがデジタル保存の複雑さを知る上で有用であることや、ゲームの重要な要素である人を引き付けるストーリーテリングが、デジタル保存の効果的な説明に役立つ可能性を指摘しています。

北米研究図書館協会(ARL)、学術成果をオープンに利用できるようにするための学術出版社との交渉の原則を定めた“MIT Framework for Publisher Contracts”への支持を表明

2019年11月7日、北米研究図書館協会(ARL)、“MIT Framework for Publisher Contracts”を支持することが11月6日付の理事会で承認されたと発表しています。

“MIT Framework for Publisher Contracts”は、学術成果をオープンに利用できるようにするための学術出版社との交渉の原則を定めたもので、マサチューセッツ工科大学(MIT)図書館により策定されました。

著者の著作権保持、著者稿の機関リポジトリへの自動投入、追加のライセンスなしでの包括的なテキストデータマイニングの権利といった、図書館の出版者との交渉に係る6つの基本原則を定めたものです。また、出版サービスの持続可能で公正なコストベースの価格設定を求めています。

イスラエル国立図書館、Googleと連携し、12万冊の蔵書をデジタル化へ

2019年11月7日、イスラエル国立図書館が、Googleと連携し、12万冊の蔵書をデジタル化すると発表しました。

著作権保護期間が満了した未デジタル化の蔵書が対象で、約45%がヘブライ語・イデッシュ語・ラディーノ語で、残りはラテン語・英語・ドイツ語・フランス語・アラビア語・ロシア語で書かれた資料です。

現在進行中のデジタル化作業は、厳密な温度・安全管理の要件を満たす最先端のコンテナを用い、同館からオランダ・ロッテルダム経由で、ドイツにあるGoogleのデジタル化センターに運ばれて実施されており、デジタル化作業後同館に戻されます。同作業は、2年間で完了する計画で、その間、毎月1,000冊のペースで実施されます。

デジタル化された蔵書は、Google Booksから閲覧することができます。

@NationalLibraryofIsrael(Facebook,2019/11/7)
https://www.facebook.com/NationalLibraryofIsrael/posts/3026465837368620

韓国・ソウル特別市、「全員が共存する図書館づくり」をメインテーマにアイデアソンとフォーラムを開催

韓国・ソウル特別市が、ソウル図書館及びソウル市庁において、「全員が共存する図書館づくり」をメインテーマにアイデアソンとフォーラムを開催します。

同市が昨年まで開催していたソウルブックフェスティバルを、市民の参加を高める方向に変更したもので、2019年11月23日と24日に開催されるアイデアソンは、図書館の問題を参加者自身が発見・解決し、優れたアイデアを表彰する企画です。

参加者は20チーム(1チーム6人)に分かれ、参加者が他のチームに得点を与える参加者投票の得点に図書館関係者の評価を加算し受賞チームが決定され、大賞(1チーム)150万ウォン、優秀賞(2チーム)各50万ウォン、奨励賞(5チーム)各10万ウォンが「文化商品券」で授与されます。

また、「未来のための図書館、次の10年後の私たちの生活のための指針」をテーマに、「今日を楽しみ明日を夢見る市民の知識文化の発電所」としての公共図書館の革新と社会的役割を議論するフォーラムも11月21日から11月23日にかけて実施されます。

フォーラムは以下の3つのテーマ・5つのセッションで構成されています。

(1)民主主義のプラットフォームとしての図書館
1.誰のための「小さな図書館」か?
2.地域住民がつくっていく図書館とは?

総務省、同省保有データのオープン化についての意見を募集中

総務省が、2019年11月13日から12月12日まで、同省が保有するデータのオープン化について意見を募集しています。

民間ニーズに即したデータの公開を推進し、データを活用したイノベーションや新ビジネス創出を促進することを目的とした官民ラウンドテーブルの開催に向けた議論の参考とすることが目的です。

総務省保有のデータのオープン化についての意見募集(総務省, 2019/11/12)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kanbo05_02000127.html

11月 14日

英・電子情報保存連合(DPC)、電子メールの保存に関するレポート“Preserving Email”の第2版を公開

2019年11月7日、英・電子情報保存連合(DPC)は、2019年の世界デジタル保存デーにあわせ、電子メールの保存に関するレポート“Preserving Email”の第2版の公開を発表しました。

著者は2011年刊行の初版と同じく米・イリノイ大学アーバナシャンペーン校図書館のChristopher J Prom氏であり、電子メール保存の現状と課題、関連の標準とベストプラクティス、保存のための技術とワークフロー、ケーススタディー、個人や機関等に向けた推奨事項等がまとめられています。

SPARC Europe、欧州連合(EU)のオープンデータ指令の概要と国内法への導入のためのガイダンスからなる資料を公開

2019年10月31日、SPARC Europeは、改正を経て2019年7月16日に発効した欧州連合(EU)の“Directive on open data and the re-use of public sector information”(オープンデータ指令)の概要等をまとめた資料を公開しました。

EU加盟国では、2021年7月16日までに同指令の内容を国内法化することが求められています。今回公開された資料では、同指令の概要、公的助成を受けた研究データに関する第10条をはじめとした研究機関・図書館・研究助成機関に関わる条項の紹介、国内法への効果的な導入のためのガイダンスが掲載されています。

台湾・故宮博物院、Google Arts & Cultureにコンテンツを追加:所蔵品の高精細画像、オンライン展示など

2019年11月12日、台湾・故宮博物院は、Google Arts & Culture上の同館のページにコンテンツを追加したことを発表しました。

4つのオンライン展示と、2015年12月に開館した同館南部院区のバーチャルツアーが追加されているほか、所蔵品200点余りの高精細画像を追加することも発表されています。

故宮深化與Google Cultural Institute合作,與全球共享數位典藏資源(故宮博物院, 2019/11/12)
https://www.npm.gov.tw/zh-TW/Article.aspx?sNo=04011020

National Palace Museum(Google Arts & Culture)
https://artsandculture.google.com/partner/national-palace-museum-taiwan

中津市歴史博物館(大分県)所蔵の医学関係古典籍が「新日本古典籍総合データベース」で公開

2019年11月13日、国文学研究資料館は、大分県中津市・中津市教育委員会と覚書を締結し、中津市歴史博物館が所蔵する古典籍のデジタル公開を進めていくことを発表しました。

第一弾として、同館所蔵の医学関係古典籍のうち44点が同日「新日本古典籍総合データベース」で公開されました。国文学研究資料館のプレスリリースでは、江戸時代の中津藩が蘭学を奨励しており、『解体新書』の編著者である前野良沢らを輩出したこと等が紹介されています。

『解体新書』の編著者 前野良沢を輩出した中津藩医学古典籍 デジタル公開へ:国文研が中津市・中津市教育委員会と覚書締結(国文学研究資料館, 2019/11/13)[PDF:4ページ]
https://www.nijl.ac.jp/pages/cijproject/images/20191113_release.pdf

第21回図書館総合展で第8回ゲスナー賞授賞式が開催:「デジタルによる知の組織化」部門でCiNii、SAT大正新脩大藏經テキストデータベースが金賞受賞

2019年11月13日、第21回図書館総合展において、第8回ゲスナー賞の授賞式が開催されました。同賞は丸善雄松堂株式会社が主催しており、目録・書誌に関する作品を対象としています。

第8回では「デジタルによる知の組織化」部門が新設され、CiNiiとSAT大正新脩大藏經テキストデータベースが金賞を、佐賀大学地域学歴史文化研究センターの小城藩日記データベースが銀賞を受賞しています。

「第8回ゲスナー賞」受賞作品決定のお知らせ(丸善雄松堂株式会社, 2019/10/1)[PDF:2ページ]
https://yushodo.maruzen.co.jp/ir/news/2019/release20191001.pdf

第8回ゲスナー賞授賞式のご案内(丸善雄松堂ゲスナー賞公式サイト)
https://sites.google.com/view/gesneraward/home/about/08

米国議会図書館(LC)、女性参政権・南北戦争・造園・金融政策に関する7つのデジタルコレクションを公開

2019年11月4日、米国議会図書館(LC)は、女性参政権・南北戦争・造園・金融政策に関する7つのデジタルコレクションとして46万5,000点の画像を新たに公開したと発表しています。

「女性参政権」では全米婦人参政権協会の記録、「南北戦争」ではリンカーン大統領の秘書ジョン・G・ニコレイの文書及び南軍の将軍ジュバル・アンダーソン・アーリーの文書、「造園」ではオルムステッドアソシエイツ造園設計事務所の記録、「金融政策」ではネルソン・W・オルドリッチの国家金融委員会に関する文書及び、連邦準備制度理事会の議長を務めたチャールズ・S・ハムリン、ユージン・メイアーの文書の7件です。

Newly Digitized Collections Now Online Include History of Women's Suffrage, Civil War, Landscape Architecture and Monetary Policy(LC,2019/11/4)
https://www.loc.gov/item/prn-19-106/

閲覧室を「文化サロン」に改修した韓国・ソウル特別市の道谷情報文化図書館

韓国・ソウル特別市江南区が、最近5階の閲覧室を、勉強に加え、映画を見たり公演も楽しめる「文化サロン」として改修した、同区の道谷(ドコク)情報文化図書館を紹介しています。

仕切られた空間であった既存の閲覧室をオープンスペースに変え、円形のテーブルと黄色く温かみのある照明を設置し、リラックスできる雰囲気にしたとしています。メインの空間には、植物を植え、テーブルごとに照明やコンセントが備えられています。

その他、6人で利用できる小規模会議室4部屋や、窓際には外を見ながら思索を深められるように1人用のテーブルが用意されています。また、移動式の舞台と、音響設備、プロジェクタ、スクリーンも設置され、小規模な講演・公演も行なうことができます。

“Library of the Year 2019”の大賞・オーディエンス賞は札幌市図書・情報館

“Library of the Year 2019”の最終選考会が、2019年11月13日に第21回図書館総合展内で開催され、札幌市図書・情報館が、審査員の討論・投票による大賞、来場者の投票によるオーディエンス賞、を共に受賞しました。

@libraryfair(Facebook, 2019/11/14)
https://www.facebook.com/libraryfair/posts/2883985964969555

参考:
CA1953 - 「常識のカバーをはずそう」~札幌市図書・情報館が変えたこと、変えなかったこと~ / 淺野隆夫
カレントアウェアネス No.340 2019年6月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1953

韓国・忠南図書館、「2019ユニバーサルデザイン・補助機器アイデア公募展」の2部門で受賞:障害・年齢・性別・言語にかかわらず多様な空間を利用できるように設計した点等が評価

2019年11月6日、韓国・忠清南道は、忠南図書館が「2019ユニバーサルデザイン・補助機器アイデア公募展」において、「障害物のない生活環境認証部門」「ユニバーサル建築設計デザイン部門」の2部門で受賞したと発表しています。

同館が、設計段階から、障害物のない生活環境及びユニバーサルデザインの概念を導入し、開館以降も継続的に施設を改善するなど、図書館内の障害物をなくし、移動が容易で、障害・年齢・性別・言語に関係なくすべての利用者が多様な空間を利用できるように設計した点が評価されたものです。

また、文化施設が不足している地域特性を考慮し、多彩な教育・文化イベントや公演・展示会を開催するなど地域の文化の中心としての役割を果たしたことも評価されました。

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