アーカイブ - 2012年 6月

6月 27日

CA1772 - 動向レビュー:ウェブスケールディスカバリの衝撃 / 飯野勝則

 近年、図書館における新しいツールとして、「ウェブスケールディスカバリ」(Web Scale Discovery、以下WSDと呼称)の存在感が大きくなりつつある。WSDは、時に「ウェブスケールディスカバリサービス」、あるいは単に「ディスカバリサービス」などと称される。本稿ではWSDが図書館とステークホルダに与えた「衝撃」を中心に、その動向を紹介する。...

CA1771 - 動向レビュー:EUにおける孤児著作物への対応 / 今村哲也

 「孤児著作物(orphan works)」という用語は厳密な法律用語ではない。欧州委員会の定義によると、著作権者の身元または所在の確認が困難または不可能な状態にある著作権で保護されている作品、とされている(1)。著作権保護のある過去の作品を利用する場合、原則として著作権者の許諾が必要であるから、著作権者が不明の状態にある著作物を適法に利用することは困難となる。そして、このことは著作物のデジタルアーカイブ化や書籍等の復刻版の発行など、過去の著作物を利用する場合に大きな障壁となる。...

CA1770 - 動向レビュー:図書館はデジタルカメラによる複写希望にどう対応すべきか / 鑓水三千男

 図書館資料の複写については、多くの場合、自動複製機器(以下「コピー機」という)が図書館内に設置され、当該コピー機を使用して図書館職員の監視と監督のもとで行われている。しかし、近年、図書館利用者による携帯電話のカメラ機能を利用した図書館資料の無断撮影が行われ、あるいは利用者からデジタルカメラによる撮影を認めてほしい旨の希望が出されているという。...

CA1769 - 近年の英国における図書館のアドヴォカシー / 渡邉太郎

 欧米の図書館界でアドヴォカシー(advocacy)という言葉が頻繁に聞かれるようになって久しい(CA1646参照)。国際図書館連盟(International Federation of Library Associations and Institutions:IFLA)の「戦略計画2010-2015」(1)においてもその重要性が強調されており、各国の代表的な図書館団体のウェブサイトでもアドヴォカシーが主要な項目として取り上げられている(2)。本稿では、その代表的な事例として2010年度以降の英国の緊縮財政に対する図書館界の動向について、アドヴォカシーという観点からその概略を述べる。...

CA1768 - 多元的デジタルアーカイブズのVR-ARインターフェイスデザイン手法 / 渡邉英徳

 本稿では、既存のデジタルアーカイブ群とユーザコミュニティをマッシュアップし、VR-AR(仮想現実-拡張現実)インターフェイス上に表示する「多元的デジタルアーカイブズ」のインターフェイスデザイン手法について述べる。この「多元的デジタルアーカイブズ」のユーザは、複数のデジタルアーカイブを横断的に閲覧しながら、コンテンツ相互の時空間的なつながりや身近な場所との関わりを把握し、アーカイブ群の内容について、より深く知ることができる。...

いかにしてフェアユースは孤児著作物問題の解決に役立つか?(文献紹介)

米国カリフォルニア大学バークレー校ロースクールのJennifer M. Urban准教授による論文“How Fair Use Can Help Solve the Orphan Works Problem”が公開されています。“Berkeley Technology Law Journal”誌の27巻に掲載予定のようです。同論文では、著作権者が不明の状態にあるいわゆる孤児著作物(orphan works)の問題に対して米国著作権法のフェアユース規定が部分的解決になると論じられているようです。

How Fair Use Can Help Solve the Orphan Works Problem(SSRN)
http://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2089526

Berkeley Technology Law Journal
http://btlj.org/

参考:
E1256 - 孤児著作物に関する問題:その定義と規模について
http://current.ndl.go.jp/e1256

米カリフォルニア大学の「バークレー電子図書館著作権プロジェクト」が第3弾の白書を刊行 テーマは孤児著作物問題の原因
http://current.ndl.go.jp/node/20614

ニューヨークをイメージづけるもの、それはランチ ニューヨーク公共図書館が同市100年のランチの歴史を振り返る展示を開催

2012年6月22日から2013年2月17日まで、ニューヨーク公共図書館が、ニューヨーク市100年のランチをテーマとした展示“Lunch Hour NYC”を同館で開催しています。

同館は、この開催趣旨について、ランチタイムとその喧騒が、どのように変化してニューヨークという街をイメージづけることになったのかを、資料を通じて伝えるものにしたいとしており、また、同館の所蔵するあまり知られていない資料であるレシピのパンフレット等を広める機会にしたいとしています。

展示では、ニューヨーク市の過去100年以上のランチについて、ビジネスランチである「パワーランチ」や学校給食、自動販売式のランチであるAutomat等について紹介しているとのことです。

Lunch Hour NYC
http://exhibitions.nypl.org/lunchhour/exhibits/show/lunchhour

NYPL's Lunch Hour NYC (Tumblr上での展示関連サイト)
http://lunchhournyc.tumblr.com/

2012年ウィキメディア国際カンファレンスに先駆けて“Wikipedia Loves Libraries”関連イベントが開催(米国)

2012年7月11日に米国ワシントンD.C.でウィキメディア財団の取組“Wikipedia Loves Libraries”に関連したイベントが開催されます。これは、現在OCLC Researchに「ウィキペディアン・イン・レジデンス」として採用されているMax Klein氏が企画したもので、ウィキペディアと図書館・文書館の関係を深めることを目的としたもののようです。翌12日からは、同じくワシントンD.C.のジョージワシントン大学において、2005年より毎年開催されているウィキメディア国際カンファレンス“Wikimania”が始まります。

Wikipedia Loves Libraries
http://www.oclc.org/research/events/2012-07-11.htm

Wikipedia Loves Libraries - Wikimania 2012 in Washington, D.C.
http://wikimania2012.wikimedia.org/wiki/Wikipedia_Loves_Libraries

Wikimania 2012 in Washington, D.C.
http://wikimania2012.wikimedia.org/wiki/Main_Page

宮城県考古学会の『宮城考古学』第14号が、「東日本大震災の記録(1)-文化財の被害とレスキュー-」特集

宮城県考古学会が刊行している『宮城考古学』第14号で、「東日本大震災の記録(1)-文化財の被害とレスキュー-」という特集が組まれており、特集には以下の21本の論文が掲載されています。

・特集によせて  辻 秀人
・宮城県考古学会東日本大震災対策特別委員会の活動  藤沢 敦
・宮城県における文化財の被災状況と被災文化財の救済活動  小谷 竜介
・東日本大震災における歴史資料保全活動-大震災から1年間の宮城資料ネットの活動- 蝦名 裕一
・気仙沼市における文化財の被害と復興  幡野 寛治
・石巻市における収蔵施設等被災状況と文化財レスキューについて  芳賀 英実
・東日本大震災と文化財行政の対応~東松島市の事例~ 佐藤 敏幸
・内陸部における東日本大震災の文化財被害状況と対応~栗原市の場合~  安達 訓仁
・大崎市の被災状況と復旧・復興への取り組み  高橋 誠明
・東日本大震災による七ヶ浜町の被災文化財  田村 正樹
・多賀城市の文化財被害状況とレスキュー活動の記録  高倉 敏明・村松  稔
・仙台城跡における東日本大震災の被害と対応の現状  工藤 哲司
・2011年3月11日の東北大学考古学研究室とその後  鹿又 喜隆
・東日本大震災における岩沼市の文化財等被害状況報告  川又 隆央
・「東日本大震災の記録」~亘理町の事例~  菅野 達雄

山口大学図書館の林家文書目録データベース作成事業が2012年度国立大学図書館協会賞を受賞

2012年6月21日に開催された第59回国立大学図書館協会総会において、山口大学図書館の林家文書目録データベース作成事業に対して2012年度国立大学図書館協会賞が授与されました。このデータベースは、約10年間かけて作成された、同館所蔵の地域史料「林家文書」(全4,965点)の目録データベースです。図書館職員・OB・学内外教員・ボランティアが参加する研究会を作り、古文書目録作成スキルの向上を図るだけでなく、スキルを継承させる体制を業務に組み込んだことが評価されたとしています。

近世・近代庶民史料データベース(林家文書)
http://rar.lib.yamaguchi-u.ac.jp/ar/ListByField.e?fieldName=Collection_Name

地域史料の情報公開に向けた近世文書目録のデータベース化について : 山口大学図書館所蔵林家文書を事例として
http://ci.nii.ac.jp/naid/110008719824

本学図書館が「平成24年度国立大学図書館協会賞」を受賞(山口大学 2012/6/26付けニュース)
http://www.yamaguchi-u.ac.jp/page.php/index/page/id/2331

6月 26日

【イベント】saveMLAK報告会2012~社会教育・文化施設の救援・復興支援~(7/1・東京&大阪)

2012年7月1日午後、東京および大阪において「saveMLAK報告会2012 ~社会教育・文化施設の救援・復興支援~」が開催されます。東京会場は東京国立近代美術館、大阪会場はエル・おおさか(大阪府立労働センター)で、それぞれプログラムが異なっています。現在、参加申込が受け付けられています(当日参加も可能とのこと)。

saveMLAK報告会2012 ~社会教育・文化施設の救援・復興支援~
http://savemlak.jp/wiki/saveMLAK:Event/20120701

震災後のイタリア北部エミリア・ロマーニャ州モデナ県の図書館の状況

2012年5月20日、29日にイタリア北部で起こった地震で被害を受けたエミリア・ロマーニャ州モデナ県の図書館の状況について、モデナ県のCEDOC(Centro di Documentazione Istituzione della Provincia di Modena)が、現状報告の記事を掲載しています。

5月21日付けの記事によると、封鎖されている図書館はフィナーレ・エミーリア(Finale Emilia)等の6館、建物の補強工事のため閉館している図書館はソリエーラ(Soliera)等の5館、被害はないものの閉館中の図書館がカンポサント(Camposanto)等の5館、部分開館している館はモデナ(Modena)等の4館とのことです。

また、6月25日付けで、被害を受け封鎖されているカヴェッツォ(Cavezzo)の図書館内の様子を写した動画を公開しています。

そのほか、イタリア図書館協会の記事によると、先ほどのカヴェッツォに、6月24日、児童向けの「テント図書館」(Bibliotenda)が開設したとのことです。この「テント図書館」は、イタリア南部のコペルティーノ(Copertino)から移動図書館を使って現地に運ばれたもので、テントだけでなく、図書や棚等も用意されました。

ニューヨークの地下鉄での読書風景を捉えたポートレートサイト“Underground New York Public Library”(記事紹介)

2012年6月22日付けのWall Street Journalのブログ記事“For This Photographer, Subway Is an Open Book”が、ニューヨークの地下鉄駅構内・車内での読書風景を撮影し、ウェブサイトで公開している写真家について紹介しています。

“Underground New York Public Library”という名前のそのウェブサイトは、2011年12月に始められたもので、現在700人を超える「読書家」の写真が公開されています。公開されている写真には、写っている人が読んでいる本のタイトルも添えられています。

なお、ウェブサイトのタイトルに“New York Public Library”とありますが、実際のニューヨーク公共図書館とはかかわりがないものとのことです。

Underground New York Public Library
http://undergroundnewyorkpubliclibrary.com/

For This Photographer, Subway Is an Open Book (Metropolis 2012/6/22付けの記事)

岡山県立図書館、県内読書グループの調査結果の概要を公表

2012年6月26日に、岡山県立図書館が、2012年1月に県内の公共図書館、教育委員会、及び大学等を通じて実施した「岡山県内読書グループ調査」の結果を公開しました。

調査結果は、4月末までに回答のあった234件のうち、公表を承諾した213件についてその概要をまとめており、「岡山県内読書グループ・読書関係ボランティア調査自治体別一覧」と「岡山県内子どもの読書に関わるグループ・研究者調査大学別一覧」の2つに分けて公開されています。

岡山県内読書グループ調査 (岡山県立図書館)
http://www.libnet.pref.okayama.jp/libnet/dokusyo/group.htm

EBSCO社、コミュニティカレッジ向けの電子書籍パッケージ“Community College eBook Collection”を発表

EBSCO社が、2年制のコミュニティカレッジを対象とした電子書籍パッケージ“Community College eBook Collection”を発表しました。現在4万タイトルの電子書籍を収録しています。既存の学術機関向けパッケージ“eBook Academic Subscription Collection”に加えて新たにリリースする理由として、学術的なものから職業関連のものまで幅広いコンテンツが求められるコミュニティカレッジ特有のニーズに対応することを挙げています。

EBSCO Publishing Releases Community College eBook Collection(EBSCO 2012/6/22付けニュース)
http://www2.ebsco.com/EN-US/NEWSCENTER/Pages/ViewArticle.aspx?QSID=580

WorldCatのレコードを体現形ごとにまとめるOCLCの“GLIMIR”プロジェクトの詳細(文献紹介)

2012年6月1日付けで刊行された“Code4Lib Journal”第17号に、OCLCのJanifer Gatenby氏らによる“GLIMIR: Manifestation and Content Clustering within WorldCat”という記事が掲載されています。

この記事で概要と進捗状況が紹介されている“GLIMIR”(Global Library Manifestation Identifier)プロジェクトは、OCLCによるWorldCatの改善に向けた試みのひとつで、WorldCatの書誌レコードをFRBRの「体現形」(manifestation)ごとにクラスタリングしてそれぞれのまとまりに対して識別子を与えるというものです。プロジェクトの進行につれ、レコードの重複検出・解消(DDR)プログラムや、「著作」(Work)レベルのクラスタリングを行うアルゴリズムの改善がなされたとしています。予定では、WorldCatへのGLIMIRの導入は2012年第三四半期に行われるということです。

GLIMIR: Manifestation and Content Clustering within WorldCat
http://journal.code4lib.org/articles/6812

参考:

茨城県図書館協会、県内公共・大学・私立図書館や公民館等の被災状況をまとめた記録集を公開

2012年6月12日に、茨城県図書館協会が、茨城県内の公共図書館・公民館・大学等図書館・私立図書館等の被災状況をまとめた「東日本大震災茨城県内図書館被災記録集」を公開しました。あとがきでは「茨城県の被害状況については,東北地方に比べて,情報が少ない傾向にあったと言えます。実際には,地震の揺れ自体はかなり激しく,図書館建物への被害は甚大なものがありました。本書によって,被害の実態が初めて明らかにされる部分も多いのではないでしょうか。」とされています。

東日本大震災茨城県内図書館被災記録集(PDF:162ページ)
http://www.lib.pref.ibaraki.jp/home/ila/shinsai/geukou/shinsaikirokusyu.pdf

東日本大震災茨城県内図書館被災記録集
http://www.lib.pref.ibaraki.jp/home/ila/shinsai/ibaraki_lib_kiroku.html

茨城県図書館協会(「お知らせ」欄に2012/6/12付けで「「東日本大震災 茨城県内図書館被災記録集」について」とあり)
http://www.lib.pref.ibaraki.jp/home/ila/index.htm

参考:
E1283 - NDL,調査研究リポート「東日本大震災と図書館」を刊行

慶應義塾大学、論文の書き方に関するセミナーや推薦図書紹介等と連動した学部生向け「学生論文コンテスト」を開催

2012年6月20日に、慶應義塾大学教養研究センターが、設立10年を記念して、同大学の学部1・2年生を対象にした「学生論文コンテスト」を開催すると発表しました。

教育研究センターは、このコンテストの特徴として、単に論文を募集、審査するだけでなく、募集期間中に「論文の書き方のセミナーの開催」「論文の書き方の推薦図書の紹介」「学習相談員による論文の書き方の相談」を立体的に行い、書くことの大切さや学ぶことの面白さを啓蒙するためのキャンペーンとして実施するところにあるとしています。

論文のテーマは「変/不変」で、「社会」部門と「文化」部門の2つが設定されています。結果は、2013年1月中旬に発表予定とのことです。

学生論文コンテスト
http://lib-arts.hc.keio.ac.jp/ronbun/

6月 25日

米国公共図書館における電子書籍サービスの今後の戦略を探る、OCLCの研究プロジェクトにIMLSが約10万ドルを助成

2012年6月22日、米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)が、OCLCの研究プロジェクト“The Big Shift: Advancing Public Library Participation in Our Digital Future”に9万9,957ドルの助成を行うと発表しました。同プロジェクトの目的は、米国の公共図書館が電子書籍サービスの提供に際して面しているチャンスや挑戦等の現状を理解し、今後の戦略を探ることとされています。

IMLS Announces Grant to Identify Library E-Book Strategies(IMLS 2012/6/22付けプレスリリース)
http://www.imls.gov/imls_announces_grant_to_identify_library_e-book_strategies.aspx

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