OCLCが、所蔵数2万点以下の小規模図書館を対象とした“Website for Small Libraries”というサービスのベータ版を開始したそうです。同サービスの導入館は、用意されたテンプレート等を利用して簡単に自館のウェブサイト(モバイル機器やタブレット端末にも対応)を作成することができ、所蔵資料や利用者のデータをインポートすることで所蔵検索、貸出、更新、予約、延滞料管理等を行うことも可能とされています。同サービスでは、統合図書館システムを導入していない、職員が1~2人しかいないような図書館等をターゲットとしているようです。利用料金は年間500ドルで、90日間のトライアルが可能とのことです。
2012年2月15日、スペインのプラド美術館(Museo Nacional del Prado)が電子図書館を公開しました。この電子図書館では、第一弾として、プラド美術館が設立された1819年から1996年までの、同館の所蔵絵画コレクションカタログ36巻がデジタル化され提供されているようです。デジタル化資料は画面上で閲覧できるほか、PDFでダウンロードすることもできるようです。プラド美術館は、今後も所蔵している貴重な手稿資料のコレクションや、コレクションカタログ等をデジタル化して提供する予定とのことです。
2012年2月9日、米国の上院・下院に“Federal Research Public Access Act”(FRPAA)法案が提出されました。同法案はこれまで、2006年(上院)、2009年(上院)、2010年(下院)にも提出されています。FRPAAの内容は、外部委託研究の予算が年間1億ドルを超える連邦政府機関(現時点で農務省等11機関が該当)に対して、パブリックアクセス方針を策定して、助成を受けた研究者が査読論文をオープンアクセスで公開すること等を求めるというものです。このFRPAAに対して賛同の意を示す文書が、2012年2月14日付けで、米国法学図書館協会(AALL)、米国図書館協会(ALA)、大学・研究図書館協会(ACRL)、北米研究図書館協会(ARL)、クリエイティブコモンズ、Greater Western Library Alliance、Public Knowldge、Public Library of Science(PLoS)、SPARCの以上9団体から発表されました。
デジタル人文学の研究コミュニティの最新動向を紹介するポータルサイトDigital Humanities Nowが、2012年3月に“Journal of Digital Humanities”という新たな学術雑誌を刊行すると発表しています。論文は、Digital Humanities Nowのウェブサイトの“Editors' Choice”というカテゴリーに掲載されている記事の中から選ばれており、その形式はテキストのみではなく音声や動画などを含むものも掲載されるようです。査読はオープンピアレビュー形式で行なわれ、2月29日まで創刊号である第1巻第1号の論文8本が公開されているようです。
2012年2月13日、OCLCが、総合目録WorldCatでRDA(Resource Description and Access)を採用した後の運用方針等についてまとめたディスカッションペーパーを公表し、4月15日までコメントを募集しています。RDA適用以前のレコード(legacy record)をどうするかが一つの焦点になっているようです。
米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)が2011年末に発表した“MITx”という新しいeラーニングプログラムのプロトタイプ版ウェブサイトが公開されたようです。まずは、2012年3月5日から6月8日にかけて、電気工学等を専攻する学部生向けの基本的な講義である「電子回路と電子工学」(6.002x: Circuits and Electronics)がオンラインで無料提供されるとのことです。現在、受講者を募集しているようです。MITxのサイトにログインすると、講義スケジュールやデジタル教科書、掲示板などが用意されており、受講生は毎週提供される講義映像を見て、課題をこなしたり試験を受けたりすることになるようです(それらを合わせると1週間につき10時間程度が必要とされています)。2012年秋には更なる講義が追加されるとのことです。
2002年2月14日にブダペスト・オープンアクセス運動(Budapest Open Access Initiative:BOAI)によってブダペスト宣言が提唱されてから、2012年2月14日で丸10年を迎えたそうです。同宣言は、オープンアクセス(OA)の定義を述べ、それを実現する手段として研究者によるセルフアーカイビングとOAジャーナルという2つの戦略を推奨しており、その後のOA運動の方向性を示したと位置づけられているようです。BOAIのウェブサイトによると、現在、5,568人の個人及び604の機関が同宣言に署名しています。