2012年2月14日に、米国の非営利団体ITHAKAの戦略・研究部門であるITHAKA S+Rが実施している調査プログラム“Research Support Services for Scholars”(RSS4S)が、歴史学研究の支援に携わる関係者のインタビュー調査結果をまとめた中間報告書を発表しています。この研究は、デジタル人文学等の登場によって、米国の歴史研究者の情報支援のニーズや研究環境がどのように変化しているのかを明らかにし、それをもとに研究者支援に役立ようというもののようです。この度公開された資料は、第1フェーズとして、歴史研究者の支援を担当している図書館や学協会、高等教育機関等の職員14名に対して行なわれたインタビュー結果がまとめているとのことです。RSS4Sは、この調査結果をもとに図書館員やアーキビスト、歴史研究者等のコミュニティでの議論に役立ててほしいとし、RSS4Sへのフィードバックも求めているようです。
Interim Report: Interviews with Research Support Professionals (PDF)
OCLCが、所蔵数2万点以下の小規模図書館を対象とした“Website for Small Libraries”というサービスのベータ版を開始したそうです。同サービスの導入館は、用意されたテンプレート等を利用して簡単に自館のウェブサイト(モバイル機器やタブレット端末にも対応)を作成することができ、所蔵資料や利用者のデータをインポートすることで所蔵検索、貸出、更新、予約、延滞料管理等を行うことも可能とされています。同サービスでは、統合図書館システムを導入していない、職員が1~2人しかいないような図書館等をターゲットとしているようです。利用料金は年間500ドルで、90日間のトライアルが可能とのことです。
2012年2月15日、スペインのプラド美術館(Museo Nacional del Prado)が電子図書館を公開しました。この電子図書館では、第一弾として、プラド美術館が設立された1819年から1996年までの、同館の所蔵絵画コレクションカタログ36巻がデジタル化され提供されているようです。デジタル化資料は画面上で閲覧できるほか、PDFでダウンロードすることもできるようです。プラド美術館は、今後も所蔵している貴重な手稿資料のコレクションや、コレクションカタログ等をデジタル化して提供する予定とのことです。
2012年2月9日、米国の上院・下院に“Federal Research Public Access Act”(FRPAA)法案が提出されました。同法案はこれまで、2006年(上院)、2009年(上院)、2010年(下院)にも提出されています。FRPAAの内容は、外部委託研究の予算が年間1億ドルを超える連邦政府機関(現時点で農務省等11機関が該当)に対して、パブリックアクセス方針を策定して、助成を受けた研究者が査読論文をオープンアクセスで公開すること等を求めるというものです。このFRPAAに対して賛同の意を示す文書が、2012年2月14日付けで、米国法学図書館協会(AALL)、米国図書館協会(ALA)、大学・研究図書館協会(ACRL)、北米研究図書館協会(ARL)、クリエイティブコモンズ、Greater Western Library Alliance、Public Knowldge、Public Library of Science(PLoS)、SPARCの以上9団体から発表されました。