アーカイブ - 2012年 12月 25日

英国政府が著作権法の制限規定見直し案を示したレポートを公表、英国図書館が歓迎の意を表明

2012年12月20日、英国政府が、知的財産制度の見直しに関する“Moderninsing Copyright: A modern, robust and flexible framework”というレポートを公表しました。英国政府は、カーディフ大学のハーグリーブズ(Ian Hargreaves)教授が2011年5月に公表したレポートに対して、その回答となる文書を同年8月に発表していました(E1206参照)。今回のレポートもこの流れに位置づけられるものです。

レポートでは、英国における著作物の利用をより自由なものとするために著作権の制限規定の拡大などを行うという案を示しており、主に次の10の領域について述べています。

・私的複製(Private copying)
・教育における利用(Education)
・引用(Quotation and news reporting)
・パロディ(Parody, caricature and pastiche)
・研究および私的学習(Research and private study)
・非商用目的の研究におけるデータ解析(Data analytics for non-commercial research)
・障害者のためのアクセス(Access for people with disabilities)

論文を印刷するように言われたのになぜアブストラクトを印刷してしまうのか?(文献紹介)

College & Research Libraries誌が“Commercial Database Design vs. Library Terminology Comprehension: Why Do Students Print Abstracts Instead of Full-Text Articles?”という論文のプレプリントを公開しました(2012年12月受理、2014年5月出版予定)。著者は、ペンシルベニア州立大学アルトゥーナ校のBonnie Imler氏およびジェネシーコミュニティカレッジのMichelle Eichelberger氏です。

この論文では、論文のフルテキストを印刷するように言われた学部生の多くがアブストラクトを印刷してしまうという“誤解”の原因について、5つの商用データベースを用いた定量的な研究を行い、問題の所在がそれらのユーザビリティにあるのか、図書館用語の無理解にあるのかを探っています。

Commercial Database Design vs. Library Terminology Comprehension: Why Do Students Print Abstracts Instead of Full-Text Articles?(C&RL)

米OverDrive社、“次世代”版電子書籍サービスを一部の図書館で試験導入中

米国のOverDrive社が、“次世代”へとリニューアルした同社の電子書籍サービスの試験的導入の状況についてブログで紹介しています。リニューアルの内容には、ブラウザ上で動作する電子書籍ビューワーの採用や、レスポンシブウェブデザインによるモバイル対応などが挙げられています。現在、この“次世代”バージョンはブルックリン公共図書館などの22の図書館(コンソーシアム)で導入されており、その一部についてアクセス数やサイト滞在時間の増加などの効果があったとブログで述べられています。2013年初めには全ての図書館へと提供範囲が拡大される予定です。

Reader Engagement Soaring at Next Gen Libraries(OverDrive Blog 2012/12/19付け記事)
http://overdriveblogs.com/library/2012/12/19/reader-engagement-soaring-at-next-gen-libraries/

The Next Generation Digital Library Platform(OverDrive)
http://www.overdrive.com/Next-Gen/

参考:

3M社の電子書籍サービスとPolaris Library Systems社の統合図書館システムの連携が完成

米国の3M社が、同社の電子書籍サービスとPolaris Library Systems社の統合図書館システムの連携が完成したと発表しました。図書館システムのオンライン目録上で、3Mの提供する電子書籍の検索・貸出・予約が行えるようになっています(その様子は、ボルチモア郡公共図書館のオンライン目録で試すことができます)。また、図書館側が電子書籍のMARCを手動で登録する必要はなく、購入すると自動的に反映されるようになっているほか、貸出統計には電子書籍の数値も含まれるようになっています。

3M Cloud Library and Polaris Library Systems Announce Industry’s First Fully Integrated eBook Catalog(3M 2012/12/19付けプレスリリース)
http://news.3m.com/press-release/company/3m-cloud-library-and-polaris-library-systems-announce-industrys-first-fully-in

ボルチモア郡公共図書館(Baltimore County Public Library)のオンライン目録
http://catalog.bcpl.lib.md.us/polaris/

参考:

人文学にとってクラウドソーシングとは? 英AHRCが調査レポートを刊行

2012年12月21日、英国芸術・人文研究協議会(AHRC)の助成研究プロジェクト“AHRC Crowd Sourcing Study”が最終報告書“Crowd-Sourcing Scoping Study: Engaging the Crowd with Humanities Research”を刊行しました。このレポートは、人文学におけるクラウドソーシングの定義とその現状について、様々なクラウドソーシングプロジェクトやそれらプロジェクトへの参加者に対し実施した、アンケートやインタビュー等の結果をまとめたものとのことです。

Crowd-Sourcing Scoping Study: Engaging the Crowd with Humanities Research (PDF)
http://crowds.cerch.kcl.ac.uk/wp-uploads/2012/12/Crowdsourcing-connected-communities.pdf

Final report (AHRC Crowd Sourcing Study 2012/12/21付けの記事)
http://crowds.cerch.kcl.ac.uk/2012/12/21/final-report/

参考:
E1321 - 図書館界におけるクラウドソーシングの動きは?

スペイン国立図書館、ダ・ヴィンチの『マドリード手稿』のiPadアプリをリリース

2012年12月19日、スペイン国立図書館は、レオナルド・ダ・ヴィンチが機械構造等を記述した手稿資料『マドリード手稿』(IとII)のiPad用アプリをリリースしました。同館は既に『マドリード手稿』のデジタル化提供のためのウェブサイトを10月30日に公開しており、公開1か月で530万アクセスがあったとのことです。

iPadアプリでは、資料の高精細画像、原文であるイタリア語とスペイン語翻訳テキスト、機械構造に関連した動画、フルテキスト検索等が可能のようです。

Leonardo Interactivo - Co'dices Madrid de la BNE (iTunes)
https://itunes.apple.com/app/id586881603

阪神・淡路大震災資料の公開に関する課題、経験を伝える語り部への要望の高まり(記事紹介)

1995年の阪神・淡路大震災の資料を収集・保存している兵庫県神戸市の「人と防災未来センター」に関して2本の新聞記事が掲載されています。

ひとつは、同センターで約18万点の所蔵資料のうち約5万点が公開できないままになっているというものです。その理由のひとつとして、公開の際は事前に連絡するという条件で寄贈された資料について、寄贈者への確認ができていないという事情が挙げられています。

もうひとつは、阪神・淡路大震災の経験を伝える“語り部”の話が聞きたいという要望が増えているというものです。2011年度には前年度の約1.5倍の約9万人(1,562団体)が話を聞いたそうです。2002年のセンター開設時には18人の語り部でスタートし、現在は45人が登録しているとされています。

阪神大震災の資料5万点未公開…確認取れぬまま(Yahoo!ニュース 2012/12/21付け記事)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121220-00000747-yom-soci

阪神大震災18年:心の痛み風化させぬ 神戸の防災センター、語り部依頼1.5倍−−昨年度(毎日新聞 2012/12/21付け記事)
http://mainichi.jp/area/news/20121221ddf041040020000c.html

NDL書誌情報ニュースレター2012年4号が刊行

国立国会図書館(NDL)が、2012年12月25日付けでウェブサイトに『NDL書誌情報ニュースレター』2012年4号(通号23号)を掲載しました。以下の記事等が掲載されています。

・日韓業務交流報告「国立中央図書館の人名典拠コントロールの現況及び課題」
・典拠の国際流通―バーチャル国際典拠ファイル(VIAF)への参加(1)
・世界図書館情報会議―第78回IFLA大会(ヘルシンキ)報告
・第37回ISSNナショナルセンター長会議参加報告―CJK言語の改題条件と「偽」刊行物
・書誌情報提供サービス アンケート結果報告
・おしらせ:平成24年度書誌調整連絡会議を開催しました
・おしらせ:ISSNのJIS規格が改正されました
・おしらせ:「国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述(DC-NDL)」の解説および実例集を掲載
・おしらせ:NDL-OPACで新着書誌情報のリストを提供します
・コラム:書誌データ探検 地図資料編 ―地図にしかない書誌事項が、そこにある―

NDL書誌情報ニュースレター2012年4号(通号23号)
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/bib_newsletter/2012_4/index.html

参考:
E1368 - NDL,新方針をテーマに書誌調整連絡会議を開催<報告>

神奈川県立川崎図書館はどのように社史を集めているか?

神奈川県立川崎図書館が、社史コレクションの使い方や楽しさなどを知らせる情報誌「社楽」の第11号のなかで、同館が社史をどのように集めているかを紹介しています。5つの方法を挙げ、「社史は多少ずうずうしくないと集まらない」と述べています。

社楽第11号(2012/12)
http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/kawasaki/materials/sharaku11.pdf

社楽(神奈川県立川崎図書館)
http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/kawasaki/materials/sharaku.htm

楽天、福島県内を巡回する移動図書館「楽天いどうとしょかん」を開始

2012年12月21日、楽天株式会社が、福島県内を巡回する移動図書館「楽天いどうとしょかん」を開始しました。楽天のユーザからの寄付で購入した絵本、図鑑、まんがなどの約500冊の書籍に加え、同社子会社のKobo Inc.の販売する電子書籍リーダー“kobo Touch”の貸出も行います。「移動型の娯楽スペース」として毎月子ども向けのイベントも実施する予定ということです。

楽天いどうとしょかん:楽天ブックス×楽天たすけ愛
http://corp.rakuten.co.jp/csr/mobile-library/

楽天、福島を走る移動図書館「楽天いどうとしょかん」を開始(楽天株式会社 2012/12/21付けニュース)
http://corp.rakuten.co.jp/news/press/2012/1221_03.html

楽天が県内の子どもたちを支援(KFB福島放送 2012/12/21付け記事)
http://www.kfb.co.jp/news/index.cgi?n=2012122112

楽天/福島で移動図書館を開始(流通ニュース 2012/12/21付け記事)
http://ryutsuu.biz/strategy/e122113.html

参考:
楽天、東日本大震災被災各県の図書館等65箇所へ調べ学習用図書を寄贈

文化庁、建築図面や模型の収集・保管・展示を行う国立近現代建築資料館を設置

文化庁が、東京都文京区の湯島地方合同庁舎内に、日本の著名な近現代建築家による図面や建築模型等の収集・保管・展示を行うための施設として「国立近現代建築資料館」を設置しました。2013年1月にオープンと報じられています。また、文化庁によると5月に開館記念特別展示を行う予定ということです。

国立近現代建築資料館(文化庁トップページの「その他のお知らせ」に2012/12/19付けでリンクされています)
http://www.bunka.go.jp/bijutsukan_hakubutsukan/shiryokan/index.html

国立の建築資料館、13年1月開設 合同庁舎を利用(goo ニュース)
http://t.news.goo.ne.jp/news/329658

総務省の東日本大震災アーカイブ事業に関し、凸版印刷らが実証実験協議会を設立

総務省の東日本大震災アーカイブ基盤構築事業における「デジタルアーカイブ構築・運用に関する実証調査」に関して、凸版印刷が、東日本大震災アーカイブ実証実験協議会を設立して調査に取り組んでいると発表しました。

この実証調査は、凸版印刷が請負先として選ばれ、インフォコム、日本総合研究所と共に進めているもので、東日本大震災アーカイブの構築と運用に係る課題の抽出や検討などを行うということです。同協議会の設立の目的は、被災地の一部で既に開始されているアーカイブ事業との連携を図るためとのことです。また、各地域での調査のために実証実験協議会を設立するとし、現在、青森震災関連アーカイブ実証実験協議会などの4組織が存在すると発表しています。

総務省「『東日本大震災アーカイブ』基盤構築事業 デジタルアーカイブ構築・運用に関する実証調査」において、東日本大震災アーカイブ実証実験協議会を設立(凸版印刷 2012/12/20付けニュース)
http://www.toppan.co.jp/news/newsrelease1454.html

総務省「東日本大震災アーカイブ」基盤構築プロジェクト(PDF:7ページ)

米国国立公文書館(NARA)、奴隷解放宣言150周年を記念して電子書籍を刊行

2012年12月21日、米国国立公文書館(NARA)が、1862年の奴隷解放宣言150周年を記念して電子書籍を刊行しました。刊行された“The Meaning and Making of Emancipation”は、NARAの所蔵する資料を用いて、奴隷解放宣言を当時の社会的・政治的文脈の中で理解できるようになっているとのことです。電子書籍は、EPUB版、iPhone/iPod/iPad版、iPad専用版、PDF版が用意されています。また、NARAはこれまでにも合衆国憲法225周年記念の電子書籍を刊行しています。

eBooks (NARAのページ)
http://www.archives.gov/publications/ebooks/

【イベント】2012年度児童サービス協力フォーラム「ウェブを活用した情報発信~子どもの読書活動の推進に向けて~」(3/4・東京)

2013年3月4日に、国立国会図書館国際子ども図書館で、2012年度「児童サービス協力フォーラム」が開催されます。テーマは「ウェブを活用した情報発信~子どもの読書活動の推進に向けて~」です。第一部では、東京都立図書館、島根県立図書館、岡山県立図書館、国際子ども図書館から事例報告がなされ、第二部では、青山学院女子短期大学教授の堀川照代氏をコーディネーターとして、参加者によるグループディスカッションを行います。定員は80名で、1月12日まで参加申込が受付られています。

「平成24年度児童サービス協力フォーラム」のご案内(国際子ども図書館)
http://www.kodomo.go.jp/study/cooperation/forum/2013.html

児童サービス協力フォーラム(国際子ども図書館)
http://www.kodomo.go.jp/study/cooperation/forum/index.html

日本の社史をテーマにしたオープンアクセス誌“Shashi: the Journal of Japanese Business and Company History”が創刊

日本の社史をテーマとした査読付き英文オープンアクセス誌“Shashi: the Journal of Japanese Business and Company History”が創刊されました。年1回の刊行です。創刊号では、日本通運、中国新聞社の社史を扱った2本の記事が掲載されています。また、研究ノートとして、渋沢栄一記念財団実業史研究情報センターの小出いずみ氏が同センターの活動を、同じく門倉百合子氏が社史における関東大震災の描かれ方を紹介しています。

なお、同誌のエディターのひとりであるピッツバーグ大学のグッド・長橋広行氏を中心として、北米の日本研究ライブラリアンたちが「社史グループ」を結成しています。

Shashi: the Journal of Japanese Business and Company History
http://shashi.pitt.edu/ojs/index.php/shashi/index

Now Publication of Open Access & Peer Revew e-Journal on Japanese Company Histories(eastlib 2012/12/24付けメール)
http://lists.unc.edu/read/messages?id=6453228