2011年9月12日、ワールド・ワイド・ウェブ財団(World Wide Web Foundation)が“World Wide Web Index”というプロジェクトを発表しました。Google社から100万米ドルの助成を受けているそうです。プレスリリース文によると、これは、ウェブと、その世界中の人々への影響を測る、世界で初めての多元的な評価指標であり、政治的、経済的、社会的、開発指標、Webへの接続やインフラ、といった様々な観点から構成されているとのことです。最初のバージョンは2012年初めにリリースされる予定で、以後、最低5年間は毎年発表されるそうです。
D-Lib Magazineの2011年9/10月号に掲載された論文“MapRank: Geographical Search for Cartographic Materials in Libraries”で、スイスの大学図書館・国立図書館の総合目録“SwissBib”に収録された地図資料を、地図・年代・縮尺によって検索する“Kartenportal”というウェブサイトが紹介されていました。地図上をドラッグして探したい範囲を選び、年代と縮尺を設定すると、サイト右側に検索結果が表示されます。論文によると、これは、スイスの電子図書館プロジェクトe-lib.chの下で、SwissBibに含まれる13万点の地図資料(2011年7月時点)を直感的なユーザインタフェース検索するために開発されたシステムで、SwissBibの書誌レコードをOAI-PMHでハーベストした後に書誌レコード(MARC21フォーマット)の034及び255フィールドを利用して検索インデクスを作成しているようです。また、地図による検索のためにMapRankというアルゴリズムも使用されているようです。
国立国会図書館は、2011年10月18日に、フランス国立視聴覚研究所(L'Institut national de l'audiovisuel: INA)の調査研究部長のダニエル・テルッジ氏による講演会を東京本館で開催します。INAはラジオ、テレビなどの視聴覚資料のアーカイブであり、コンテンツの収集、保存、利用を推進するとともに、調査研究活動や研修教育プログラムの提供も行っています。講演に引き続き、テルッジ氏、大路幹生氏(株式会社 NHKエンタープライズ)、長尾真国立国会図書館長による鼎談を予定しています。
Internet Archiveのサイトから無料でダウンロードできる電子書籍の数が300万点を突破したそうです。300万点目はカナダのトロント大学の貴重書コレクションに含まれているガリレオの小冊子だったそうです。Internet Archiveは、2005年のデジタル化スタート以降約200万点をデジタル化してきており、その他の100万点はProject Gutenbergといったデジタル化プロジェクトによってアップロードされたものなどだそうです。発表記事には以下の統計も紹介されています。
JSTORやPorticoを運営する米国の非営利団体ITHAKAの戦略・研究部門であるITHAKA S+Rが、研究者の行動の実状や今後の変化の方向性などを探ることを目的とした“Research Support Services for Scholars”というプログラムの開始を発表しました。研究者が、どのようにして、情報の発見や管理、コラボレーション、図書館利用、執筆、出版、などの活動を行っているかを調査し、それによって判明した研究者に求められているサポートを実施するための提言を発表する予定とのことです。現在は、英国情報システム合同委員会(JISC)と全米人文科学基金(NEH)の助成を受けて、化学と歴史学の研究者が対象になっているようです。
2003年にスタートしたオープンアクセス・ジャーナルのディレクトリであるDOAJ(Directory of Open Access Journals)の収録雑誌数が7,000誌を超えたそうです。そのうち45%のジャーナルは論文単位での検索が可能で、その数は60万件にのぼるそうです。また、DOAJのウェブサイトを英語以外の言語に翻訳する作業を行っており、フランス語とトルコ語でも表示できるようになったとのことです。
2011年9月15日、英国図書館が、孤児作品(Orphan Works)の著作権情報の明確化と大規模デジタル化をテーマにした研究レポート“Seeking New Landscapes: A rights clearance study in the context of mass digitisation of 140 books published between 1870 and 2010”を刊行しました。これは、欧州の孤児作品に関する著作権情報を明らかにするプロジェクト“Arrow Project”の一部として行われたもののようです。レポートは、著作権情報を明確にするプロセスを検証することを目的に行なわれ、1870年から2010年までに出版されたBL所蔵の140点の資料を用いて、資料の著作権状況の確認とそれが孤児作品であるかどうかの調査等が行われたようです。レポートでは、Arrowのシステムを使うことで著作権情報の確認に費やす時間を劇的に減らすことが可能であったこと、著作権保護対象と考えられる全作品のうち43%が孤児作品であったこと、孤児作品であるかどうかは出版社のタイプによって大きく左右されること、著作権保護対象の孤児作品が最も多かったのは1980年代であったこと等が明らかになったようです。