アーカイブ - 2011年 9月

9月 27日

『カレントアウェアネス』309号掲載

CA1755 - 研究文献レビュー:学校図書館をめぐる連携と支援:その現状と意義 / 岩崎 れい

本稿は、学校図書館と公共図書館の連携および公共図書館による学校図書館への支援についての文献レビューを目的とするものであり、初めに、行政施策の流れを概観することによって、文献の動向が整理できるものと考えている。本来は、連携と支援の両者について十分なレビューを行いたいところであるが、実際には連携に関する研究や事例報告は非常に少なく、支援に重点を置く結果となったことをおことわりしておく。...

CA1754 - 動向レビュー:英国における公貸権制度の最新動向―「デジタル経済法2010」との関連で / カオリ・リチャーズ

近年、英国の図書館界では、公共図書館における電子書籍の提供について、盛んに議論が行われている。これは主に、大手のオンライン書店アマゾン社によるキンドル(Kindle)を始めとして様々な読書端末が市場に出回るようになった結果、電子書籍が急激に人々の間に浸透しつつあるためである(1)。最近の同国の調査では、約650万人(成人人口の約13%)が読書端末を所持していると推定されている(2)。...

CA1753 - 動向レビュー:大学キャンパスの中のオープンアクセス / 森 いづみ

大学キャンパスの中で、オープンアクセス(Open Access:OA)はどれくらい浸透しているのだろうか。どのような実践があり、いかなる成果が上がっているのだろうか。本稿では、研究者や大学の戦略、学術情報流通の新しいビジネスモデル構築に大学図書館がどう貢献していくかという観点から、大学キャンパスの中で取り組まれている代表的なOA活動を紹介し、今後の展望を考える。...

CA1752 - 動向レビュー:学校・学校図書館を取り巻く新しい読書活動-集団的・戦略的読書の視点から- / 桑田てるみ

近年の学校教育における読書活動を考えるためには、新学習指導要領(1)を押さえておく必要がある。新学習指導要領には、「思考力・判断力・表現力等」を育むことを目的とした言語活動の充実が盛り込まれ、それを支える条件として、読書活動の推進、学校図書館の活用や学校における言語環境の整備の必要性が示された(2)。言語活動の充実が設定された理由の一つには、経済協力開発機構(OECD)による学習到達度調査(PISA)によって、日本の子どもたちには「思考力・判断力・表現力等」を問う読解力問題に課題があると判明したことが挙げられる。いわゆるPISA型読解力(3)CA1671CA1703CA1722参照)に課題があったことの影響は大きい。そのため、学校現場ではPISA型読解力の育成への関心が高い。...

CA1751 - 動向レビュー:「エンベディッド・ライブラリアン」:図書館サービスモデルの米国における動向 / 鎌田 均

あるものをなにかに埋め込む、という意味を持つ“embed”という語を用いた、エンベディッド・ライブラリアン(embedded librarians)と呼ばれる図書館司書、またはエンベディッド・ライブラリーサービスというサービス提供の形態が、近年米国の図書館界で一つの潮流となっている。このテーマについては論文に加え、米国カトリック大学(Catholic University of America)図書館情報学准教授のシュメイカー(David Shumaker)氏といった人物がブログでも積極的に発信している(1)。この呼称は、2003年のイラク戦争で広く知られるようになった、エンベディッド・ジャーナリスト(embedded journalists)に由来している(2)。これらのジャーナリストは、戦闘部隊と行動をともにし、進行中の事件の内部から取材活動を行い、自らをこのように呼ぶようになったとされている(3)。彼らは自らを部隊に「埋め込んだ」ことによって、事件のストーリーに直接アクセスできることができた(4)。このことから、エンベディッド・ライブラリアンとは、日常の業務において、図書館を離れ、利用者が活動している場から、利用者と活動をともにしつつ情報サービスを提供している図書館司書を指す。...

CA1750 - 英国とオランダの国立図書館にみる新聞資料デジタル化プロジェクト / 佐々木美穂

新聞は発行当時の情報を調査するのに有効なツールであるが、新聞紙は劣化しやすく、長期保存が難しい。また、記事を探すにも掲載日等の詳細な情報が無い場合、情報へのアクセスが難しい資料である。しかし近年、古い時代の新聞資料についてもデジタル化が進み、キーワードによる記事の検索や、該当部分の紙面画像閲覧も可能となり始めている。新聞記事へのアクセスを容易にするツールとして利用者のニーズは高まっており、新聞資料のデジタル化を進める国が増えてきている(CA1577参照)。...

フランスがSpringer社の電子リソースバックファイルをナショナルサイトライセンスで導入

2011年7月11日、フランス高等教育研究省が、Springer社と、STM分野の電子リソースに関するナショナルサイトライセンスを結んだそうです。対象となっているのは、1,000タイトル以上の電子ジャーナルの1996年以前の号(合計35,000号、2,230万ページ)と、2004年以前に出版された電子ブック8,500タイトル以上(合計294万ページ)とのことです。

Springer and the French Ministry of Higher Education and Research sign license agreement (Springer 2011/9/20付け記事)
http://www.springer.com/about+springer/media/pressreleases?SGWID=0-11002-6-1254821-0

参考:
CA1524 - 電子資料の共同購入―ニュージーランドのナショナルサイトライセンスEPIC― / 柴田容子
http://current.ndl.go.jp/ca1524

CA1516 - インドにおけるナショナルサイトライセンスの実践−国家的プロジェクトINDESTコンソーシアム− / 松井祐次郎
http://current.ndl.go.jp/ca1516

米国国立公文書館(NARA)、“iTunes U”で文書・ポッドキャストなどを提供開始

米国国立公文書館(NARA)が、アップル社の提供する大学の講義などを無料でダウンロードできるサービス“iTunes U”に参加したそうです。現在は、アーカイブ文書、教案資料、大統領図書館のポッドキャスト、“Inside the Vaults”シリーズなどの映像、などのコンテンツが提供されているようです。なお、日本では、東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学、中央大学、関西大学などがiTunes Uに参加しています。

iTunes UのNARAのページ
http://itunes.apple.com/us/institution/national-archives-and-records/id438983411

Connect with Us on iTunes U (NARA 2011/9/26付け記事)
http://blogs.archives.gov/online-public-access/?p=6012

参考:
LC、“iTunes U”で映像・音楽資料を無料提供
http://current.ndl.go.jp/node/13462

ハーバード大学、“iTunes U”での講義資料等の提供開始
http://current.ndl.go.jp/node/16002

あまりコストのかからない図書館の内装の見直しのヒント(記事紹介)

Library Journalに、あまりコストのかからない図書館の内装の見直しのヒントについての記事が掲載されています。以下の10のポイントが、写真付きの実例とともに紹介されています。

1.利用者の目線で見てみる
2.利用の邪魔になるものをどける
3.インパクトを強めるため、色や素材等の種類を少なくする
4.散らかさない(案内表示等を出しすぎない)
5.全体を考え、統一感をもたせる
6.自然光や眺めや囲まれた感じなど、人間の空間利用方法にそったものとする
7.音の発生源を考慮し、目的別にゾーンを区切る
8.一人からグループまで、利用者が人との関わり方を選択できるようにする
9.光を適切に使う
10.スペースの区切りや行動の仕方を暗示できるよう、色を戦略的に使う

イスラエル博物館とGoogle、デジタル化死海文書を公開

2011年9月26日、かねてよりGoogleとイスラエル博物館とが共同で進めてきた死海文書のデジタル化プロジェクトが完成し、“Digital Dead Sea Scrolls”としてインターネット公開されたようです。デジタル化されたのは、イザヤ全書(Great Isaiah Scroll)等の5つの写本とのことで、ウェブサイトでは写本の内容を検索できるほか、英文対訳を参照することも可能となっているようです。

Digital Dead Sea Scrolls
http://dss.collections.imj.org.il/

From the desert to the web: bringing the Dead Sea Scrolls online (The Official Google Blog2011/9/26付けの記事)
http://googleblog.blogspot.com/2011/09/from-desert-to-web-bringing-dead-sea.html

死海文書5巻をネットに公開、拡大も可能 (AFPBB News 2011/9/27付けの記事)
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2830879/7837217

9月 26日

日本の3機関がSCOAP3に参加 参加国は28に、必要経費の8割をカバー(※訂正あり)

高エネルギー加速器研究機構(KEK)、国立情報学研究所(NII)、国公私立大学図書館協力委員会(CCJUL)が、欧州原子力研究開発機構(CERN)が中心となって進めているオープンアクセスプロジェクト“SCOAP3”へ参加したと発表されました。SCOAP3は、図書館等が学術雑誌の購読費に使っていた資金を転用することで国ごとに分担金を集め、高エネルギー物理学分野のコアジャーナルをオープンアクセスにするというものです。日本の参加によって、SCOAP3参加国は28になり、必要な予算枠である年間1,000万ユーロのうち80.5%が確保できたとされています。

Partnership of Japanese institutions join SCOAP3 (SCOAP3 2011/9/21付けニュース)
http://scoap3.org/news/news87.html

※記事の訂正について(2011/9/27追記)

たったいま引用された参考文献がリアルタイムに表示される“EasyBib Realtime Feed”

米国のEasyBib社が、同社の参考文献リスト作成ツールを使って引用情報が作成された文献をリアルタイムに表示する“EasyBib Realtime Feed”という機能を公開しています。この機能はEasyBib.comのウェブサイトの右上にも埋め込まれています。Library Technology Guideの記事によると、EasyBibのユーザは2,800万人以上で、ピークタイムには1秒間に30件もの引用情報が作成されるそうです。記事では、同社創業者の「この機能をTwitterの研究版だと考えたい。これによって人々がいま何を研究しているかを知ることができる。特定のキーワードでフィルタをかける機能を近いうちに追加する予定だ」との発言も紹介されています。

EasyBib Realtime Feed
http://realtime.easybib.com/

EasyBib
http://www.easybib.com/

「『デジタル・ネットワーク社会における図書館と公共サービスの在り方に関する事項』に係るまとめ」に関するパブリックコメントが募集中

電子政府の総合窓口e-Govで、電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議が2011年9月1日に決定した「『デジタル・ネットワーク社会における図書館と公共サービスの在り方に関する事項』に係るまとめ」に関するパブリックコメントが、10月14日まで募集されています。同まとめでは、国立国会図書館(NDL)が、デジタル化した資料を公共・大学図書館や各家庭へ送信するサービスや、その本文検索サービスを実施するに当たっての課題などについてまとめられています。

「デジタル・ネットワーク社会における図書館と公共サービスの在り方に関する事項」に係るまとめ(PDF文書:9ページ)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000079296

「いわてを走る移動図書館プロジェクト」に対するブックオフオンラインの支援活動のレポート

公益社団法人シャンティ国際ボランティア会の「いわてを走る移動図書館プロジェクト」への支援を行っているブックオフオンライン株式会社が、同社のブログで支援活動レポートを掲載しています。仮設住宅に設置された移動図書館を訪れた方々が求めている本の種類や、移動図書館がコミュニティになっている様子について紹介されています。

「被災地の移動図書館を応援しよう」現地レポート ~第1回~(ブックオフオンラインスタッフブログ 2011/9/9付け記事)
http://www.bookoff-online.jp/blog/archives/13380

「被災地の移動図書館を応援しよう」現地レポート ~第2回~(ブックオフオンラインスタッフブログ 2011/9/9付け記事)
http://www.bookoff-online.jp/blog/archives/13524

「被災地の移動図書館を応援しよう」現地レポート ~第3回~(ブックオフオンラインスタッフブログ 2011/9/9付け記事)
http://www.bookoff-online.jp/blog/archives/13701

本を売って被災地の移動図書館を応援しよう(ブックオフオンライン)

2012年1月、新しくなる国立国会図書館(NDL)のサービス

2012年1月、国立国会図書館(NDL)では、デジタル情報のさらなる活用、多様な資料・情報・サービスの一元的な利用、外部の情報・サービスに対する統合的なアクセスの3点を重視して、サービスを以下のように更新します。

・国立国会図書館サーチ(NDL内外の情報に対する統合的な検索サービス)が様々なサービスの出発点になります。
・NDL-OPAC(蔵書検索・申込システム)が新しくなり、アジア言語資料、雑誌記事、電子ジャーナル等をまとめて検索できるようになります。
・館内サービスが変わります(登録利用者制度の変更、館内閲覧用PCの一新、等)

サービス更新に伴い、一部のサービスの終了やシステム入替による一時休止を予定しています。

平成24年1月、新しくなる国立国会図書館のサービス
http://www.ndl.go.jp/jp/news/newservice.html

英国図書館(BL)、コナン・ドイル幻の第1作を出版

英国図書館(BL)が、コナン・ドイル(Arthur Conan Doyle)の第1作目の作品でありながらこれまで出版されてこなかった、“The Narrative of John Smith”を2011年9月26日に出版するようです。小説“The Narrative of John Smith”は、1883年から1884年にかけて書かれたものの、出版社に原稿が送られる際に紛失されたもので、BLはシャーロック・ホームズシリーズを執筆する以前の、初期のコナン・ドイルの創作活動を知る上で重要なものとしているようです。なお、小説の出版とともに、俳優のRobert Lindsay氏による朗読を収録したオーディオブックも出版されるようです。

The Narrative of John Smith, Arthur Conan Doyle’s lost first novel, to be published by the British Library for the first time (British Library 2011/9/25付けのプレスリリース)
http://pressandpolicy.bl.uk/content/Detail.aspx?ReleaseID=1320&NewsAreaID=2

文部科学省、国民の読書推進に関する協力者会議の第6-8回配付資料を公開

2011年9月21日に、文部科学省は、2010年7月に設置した「国民の読書推進に関する協力者会議」の第6回~第8回会議配付資料を公開しました。なお、同会議の報告書はすでに9月2日付けで公開されています。

国民の読書推進に関する協力者会議(第6回) 配付資料 (文部科学省のウェブサイト)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/024/shiryo/1310753.htm

国民の読書推進に関する協力者会議(第7回) 配付資料 (文部科学省のウェブサイト)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/024/shiryo/1310755.htm

日本の“Library of the Year”、2011年の大賞候補となる優秀賞の4つの機関・活動が発表される

NPO法人知的資源イニシアティブ(IRI)が授与する“Library of the Year”の2011年の大賞候補となる優秀賞の4つの機関・活動が発表されています。大賞は、2011年11月に横浜で開催される第13回図書館総合展での最終選考で決定されます。なお、「住み開き」とは、大阪と東京で行われている、自宅や事務所などのプライベートな生活空間を、個人図書館や博物館などセミパブリックとして開放する活動とのことです。
<優秀賞>
・小布施町立図書館
・住み開き
・東近江市立図書館
・森ビルによるライブラリー事業

Library of the Year 2011優秀賞の決定および最終選考について(IRI 2011/9/22付けプレスリリース)
http://www.iri-net.org/loy/loy11-prel.pdf

Library of the Year 2011
http://www.iri-net.org/loy/loy2011.html

参考:
2011年の日本の“Library of the Year”の候補の推薦の募集開始
http://current.ndl.go.jp/node/17832

2010年の日本の“Library of the Year”の大賞は「カーリル」に

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