アーカイブ - 2010年 2月

2月 5日

論文の収集とウェブ提供の無料サービス“Open Thesis. org”がスタート(米国)

研究者や大学から収集した論文をウェブ上でアクセス、共有可能にする新しいサービス“Open Thesis. org”が米国でスタートしました。研究者が自分で論文を登録することができるほか、大学が“Open Thesis. org”内に大学のマイクロサイトを作って、PRに役立たてること等ができるということです。研究者に対して、紙の論文のスキャニングガイダンスも行う予定です。集めた論文のデータは、消失防止のためのデータの複製と、データフォーマットのマイグレーションという2つのやり方で、将来の利用に備えて保存されます。なお、このサービスは無料で利用可能です。

プレスリリース
http://www.prweb.com/releases/2010/01/prweb3523094.htm

Open Thesis. org
http://www.openthesis.org/

米国司法省、Googleブックス修正和解案についての見解を表明

米国司法省が、2010年2月4日に、Googleブックスをめぐる訴訟の修正和解案についての見解を表明しています。当初の和解案からの改善は見られるとしながらも、クラスアクション(集団訴訟)、著作権、独占禁止法に関する課題が残っているとしています。その一方、適切に組み立てられた和解案であれば重要な社会的利益が得られる見込みがあるとし、関係者との協議を続けるとしています。裁判所による、修正和解案の成否を決める審理は2月18日に予定されています。

Justice Department Submits Views on Amended Google Book Search Settlement
http://www.justice.gov/opa/pr/2010/February/10-opa-128.html

DOJ still troubled by Google's digital book deal(2010/2/5付けAPの記事(Yahoo!News))
http://news.yahoo.com/s/ap/20100205/ap_on_hi_te/us_tec_google_book_battle_3

2月 4日

逐次刊行物コンテンツ提供の独占を巡り、EBSCO社とGale社が対立

2大データベース企業、EBSCO社とGale社の対立が議論を呼んでいます。発端は、Gale社が逐次刊行物のフルテキスト提供におけるEBSCO社の独占的立場を糾弾する、図書館関係者に宛てたの公開書簡です。この書簡で同社は、「1つの情報プロバイダが逐次刊行物コンテンツを囲い込むやり方は、ライセンス料の高騰に繋がりかねず、正しくない。情報へのアクセスを制限することは図書館の理念に反する」というように、EBSCO社の姿勢を批判しました。一方EBSCO社は、「1つのデータベースに重要な刊行物を集約することは、ベンダーとの複数契約を回避し、図書館が費用を節約することに繋がる。私たちは、図書館を支援するというGale社の主張に同意する」と反論しています。この両者の対立に対し、米国図書館協会の機関誌“American Libraries”は、「1つ確かなことは、ライブラリアンは、EBSCO社の独占権がどのように図書館の予算に影響するのかを注視することである」としています。

EBSCO, Gale Spar Over Exclusivity
- American Libraries 2010/1/26付けの記事
http://americanlibrariesmagazine.org/news/01262010/ebsco-gale-spar-over-exclusivity

米国スコット郡図書館、YouTubeコンテストを実施

米国アイオワ州のスコット郡図書館(Scott County Library)は、同郡の文化機関“Putnam Museum and IMAX Theatre”と共同で、13歳から19歳までの若者を対象に「YouTube動画コンテスト」を2010年3月に実施すると発表しています。テーマに沿った5分以内の動画をYouTubeにアップロードして応募するコンテストで、2010年で3回目を迎えるとのことです。図書館スタッフ等によって選ばれる優秀作品には賞金100ドルが送られ、前回2009年は“What's Up Holmes?”と“Lots of Character”という2作品が優秀作品に選ばれています。

YouTube Contests and Scribe 2010(Bettendorf Public Libraryのニュースリリース)
http://www.bettendorflibrary.com/teen-services/2010/02/youtube-contests-and-scribe-2010/

Third Annual Teen YouTube Video Contest and Premiere Party(Libraries Together のブログの記事)
http://blog.librariestogether.org/?p=57

福井県に「TVゲーム図書館」がオープン

福井県のJR福井駅前の商業施設「えきまえKOOCAN」内に「まちなかTVゲーム図書館」が、2010年2月3日にオープンしたと報じられています。福井市役所の中心市街地振興課が市職員からの提供を基に集めた、1980年代から90年代のゲームソフト約130本とゲーム機5種が、館内でのみ無料で利用できるとのことです。

往年のTVゲーム無料体験空間 福井駅西に「図書館」オープン(福井新聞 2010/2/3付けの記事)
http://www.fukuishimbun.co.jp/modules/news2/article.php?storyid=9786

図書館利用データをビジュアル化して利用行動を分析(英国)

英国のレスターシャー・カウンティは、シティ・ユニバーシティ・ロンドンの研究者と共同で、同カウンティ内の図書館の利用データをビジュアル化し、利用行動の分析や政策決定に役立てようという取組みをしているとのことです。“vizLib”と名づけられたプロジェクトでは、54の図書館の45万件の貸出記録データを基に、利用者の居住地域、図書館の規模、地理条件などが図書館利用にどのような影響を与えるかを分析したとのことです。ビジュアル化することでデータを理解しやすくすることを狙いとしているようで、データのビジュアル化の例として、利用頻度ごとに色や大きさを変えたブロックが並んだものや、利用者の移動距離が分かる地図状のものなどが紹介されています。

vizLib pioneers data visualisation of library users(2010/1/29付けLibrary and Information Update blogの記事)
http://communities.cilip.org.uk/blogs/update/archive/2010/01/29/vizlib-s-pioneering-data-visualisation-of-library-users.aspx

英ウェルカム図書館のデジタル化対象資料の選び方

英国のウェルカム図書館が、所蔵資料のデジタル化プロジェクトにおける同館のアプローチ方法を表明しています。資料デジタル化に当たっては、何をデジタル化すべきかという大きな課題があり、「人気のあるコレクションから始める」「商業的な資金援助が得られるものから始める」といった選択肢があります。そのようななか、ウェルカム図書館では、「テーマに関するアプローチ」を選んだということです。あるテーマを設定し、そのテーマに合う資料をデジタル化することに加え、そのテーマの研究を支援するために、様々なオンラインリソースを統合して提供するサービスにまで繋げていく予定です。最初のテーマは、「現代の遺伝学とその基礎」になりました。

Digitising the archives: the Wellcome Library approach
- ウェルカム図書館のブログ 2010/2/2付けの記事
http://wellcomelibrary.blogspot.com/2010/02/digitising-archives-wellcome-library.html

米国ボルチモア市の図書館、ソーシャルネットワーキングサービス“foursquare”を活用

米国ボルチモア市のEnoch Pratt Free図書館は、ソーシャルネットワーキングサービス“foursquare”を図書館利用促進に活用しているとのことです。foursquareは、位置情報機能付きの携帯端末を用いて自分の実際にいる場所を登録(check-in)し、その場所の情報を他人と共有したり、訪問場所・回数に応じて得られるポイント等を競ったりするというもので、同図書館では、図書館に来館しfoursquareに登録した回数の多い人に対し記念品を贈るなどしているようです。

Baltimore's Enoch Pratt library on Foursquare(2010/2/3付けBaltimore Sunの記事)
http://weblogs.baltimoresun.com/news/technology/2010/02/foursquare_and_libraries.html

foursquare
http://foursquare.com/

Social Web: Baltimore’s Enoch Pratt Library Starts Using Foursquare(2010/2/3付けResourceShelfの記事)

2月 3日

米国RedBox社、図書館にDVDレンタル機を試験的に配置

米国のDVDレンタル企業RedBox社が、米国の各地の公共図書館と提携を結び、図書館内にDVDレンタル機(Kiosk)を配置する試みを行っています。提携館には収入の3%が支払われるとのことで、ネバダ州のヘンダーソン市の図書館やノースカロライナ州のシャーロット市の図書館などが協力しているようです。

Redbox Partners with Libraries in Nationwide Trial(Inside Redboxのニュースリリース)
http://www.insideredbox.com/redbox-partners-with-libraries-in-nationwide-trial/

米国議会図書館、内部で開発したオープンソースソフトの公開方法を検討

米国議会図書館(LC)は、館内でのオープンソースソフト開発の際の内部プロセスを定めたとのことです。LC内の開発者が開発したソフト(あるいはLCが権利を持つソフト)を、館外の人に自由に再利用してもらうためのもので、それらのソフトにはコードのコメント欄にパブリックドメインであることを記入することなどが定められているようです。LCはこれまでにデジタル資料の保存に関するソフトなどを作成しているとのことです。

Library Explores Ways to Release Open Source Software(2010/1/14付けLCのNews)
http://www.digitalpreservation.gov/news/2010/20100114news_article_open_source.html

バンクーバー冬季五輪開催で地元図書館は?

バンクーバー冬季五輪の開幕を2010年2月12日に控え、地元の図書館でも各種の対応が取られています。バンクーバー公共図書館のマーケティング及び広報担当部長は2009年春に早くも、図書館でオリンピックに関連するイベントを企画するときは、オリンピックのスポンサー企業に十分注意を払うよう促すメモを、分館の責任者に送付しました。これに対して図書館のスタッフからは、「誰がプログラムのスポンサーかを監視することが私たちの仕事なのではない。」といった声も挙がっているということです。また、ノルディック競技などが開催される街、ウィスラーの公共図書館は、オリンピック期間中とその前後も含め、併せて5週間を休館することになったということです。オリンピック期間中図書館は、アスリートの休憩所などとして使用されるほか、毎土曜日には、オープンハウスも開催されます。こうした一連の対応には、ウィスラー公共図書館の建築が環境評価制度LEEDの認定を受けた新しい建物であり、このことを世界中に広報したいという自治体の意図もあるということです。

Olympic Sponsorship Rules at Library Raise Vancouver’s Eyebrows
- American Libraries 2010/1/27付けの記事

E1018 - デジタル時代の政府刊行物の永続提供に向けて(米国)

電子ジャーナルのアーカイブ事業等を行っている非営利団体Ithakaの研究調査部門であるIthaka S+Rは,北米研究図書館協会(ARL)と全米各州の州立図書館機構長の会(Chief Officers of State Library Agencies;COSLA)から委託を受け,「連邦政府刊行物寄託図書館制度」(FDLP)についての調査研究を実施した。その調査結果をまとめた報 告書“Documents for a Digital Democracy”が2009年12月に公表された。FDLPは,米国政府印刷局(GPO)が連邦政府の刊行物をとりまとめて印刷し,全米の寄託図書館 に無償で配布する制度で,19世紀初頭にその原型が確立したとされている。この調査では,デジタル時代となった21世紀において,政府情報への無償アクセ スを永続的に提供するというFDLPの掲げる目的を実現するために必要な活動についての考察が行われている。...

E1017 - オランダ王立図書館,2010‐2013年の戦略計画を発表

オランダ王立図書館(KB)はこのほど,2010年から2013年までの戦略計画(E549参照)を作成し,公表した。KBは,「人と情報を結びつける (bring people and information together)」をミッションとする。このミッションの下,デジタル化の影響を受けて情報提供のあり方が激変する中でKBが影響力を持つために,「オ ランダの全ての出版物及びオランダについて書かれた全ての資料に,誰でも,どこからでもアクセスできるようにする」「オランダの(学術)情報インフラにお いて中心的な役割を担う」「国内的,国際的に,デジタル情報への永続アクセスを促進する」というビジョンを掲げている。さらにこのビジョンを達成するた め,5つの戦略的優先事項を挙げている。...

E1016 - ホームレス支援のため図書館がソーシャルワーカーを雇用(米)

公共図書館におけるホームレスの来館者による問題は,以前から議論の対象となっている(CA1479,E437参照)。誰にでも開かれているということが 図書館の原則であるが,快適で安全な環境を提供するという観点からは,においや言動などについての他の来館者からの苦情も考慮しなければならない。米国サ ンフランシスコ市の中央図書館では,この問題に取り組むため,2009年からソーシャルワーカーを雇用している。サンフランシスコ・クロニクル紙の記事を もとに,その取組みを紹介する。...

SCOAP3、必要経費の3分の2を確保

図書館・研究所・助成機関がこれまで学術雑誌の予約購読費に使っていた資金を転用する形で国単位の分担金を集め、高エネルギー物理学分野の全ての文献をオープンアクセス化することを目指しているSCOAP3に対し、9つの米国の大学が新たに支援を表明しました。これによりSCOAP3は、目的達成に必要な経費の3分の2をカバーする総額6,800万ユーロの資金を確保したことになりました。

02/02/2010, SCOAP3 support crosses the two-thirds mark: U.S. libraries lead the way
http://scoap3.org/news/news73.html

参照:
E812 高エネルギー物理学は再び学術情報流通に革新をもたらすか?
http://current.ndl.go.jp/e812

E1015 - スペインの国立電子図書館,著作権保護期間中資料の提供開始

スペイン国立図書館(Biblioteca Nacional de Espana)の電子図書館「ビブリオテカ・デジタル・イスパニカ」(Biblioteca Digital Hispanica:BDH)は2008年に開始され,コンテンツ数は約17,500件である。これまでは著作権の切れた資料のみを扱っていたが,今回初 めて,著作権保護期間中の資料の提供を開始した。...

E1014 - 「日本版フェアユース」についてのワーキングチーム報告書

著作権制度におけるフェアユースとは,利用目的や著作物の性格等からその利用が公正であると判断される場合には,無許諾であっても著作権侵害とはならない とするもので,米国等の著作権法で導入されている。日本の著作権法における権利制限は個別事例に沿って規定されているが,技術革新への対応等のため「日本 版フェアユース」とされる「権利制限の一般規定」(以下,「一般規定」とする)の導入を求める意見がある(E895参照)。この問題について議論している 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会では,2009年9月に一般規定に関するワーキングチームを設置し,その報告書が2010年1月20日の小委員会 に提出された。報告書は今後の議論のためのたたき台と位置づけられており,結論が示されているものではないが,その概要を紹介する。...

E1013 - 子どもたちの読書を楽しくするセラピー犬

全米でベストセラーとなり,日本語にも翻訳された『図書館ねこデューイ: 町を幸せにしたトラねこの物語』(E881参照)の主人公,デューイの影響もあって,「図書館の動物と言えば,猫」というイメージが定着しつつある。しかし実は,米国を中心に,犬も活躍している。・・・

スタンフォード大学、修正和解案に基づきGoogleとの提携を拡張

スタンフォード大学が、2009年11月に示されたGoogleブックス訴訟の修正和解案に基づき、Googleとの提携を拡張すると発表しています。Googleはこれまでに同大学図書館が所蔵する170万冊の資料をデジタル化しており、さらに多くの資料がデジタル化されるとのことです。

Stanford signs Google Book Search agreement, endorses court settlement(スタンフォード大学のニュースリリース)
http://news.stanford.edu/news/2010/february1/google-book-agreement-020210.html

Stanford expands Google Books agreement(Google Public Policy Blog 2010/2/2付けの記事)
http://googlepublicpolicy.blogspot.com/2010/02/stanford-expands-google-books-agreement.html

参照:
CA1702 - 動向レビュー:Google Book Searchクラスアクション(集合代表訴訟)和解の動向とわが国の著作権制度の課題 / 鳥澤孝之

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