2008年に国際図書館連盟(IFLA)の政府機関図書館分科会及び政府情報・官庁出版物分科会がまとめた『政府機関図書館のためのガイドライン』(Guidelines for Libraries of Government Departments)を、国立国会図書館が日本語に翻訳し、ウェブサイトで公開しています。行政・司法・立法各部門に属する世界中の政府機関図書館のために、総合的なマネジメント、利用者ニーズの把握とそれに沿ったサービスの提供、蔵書構築、紙媒体・電子媒体の資料の扱い方、人材の育成などについて、17章にわたり、アドバイスや実例、モデルとなる活動やサービス、ベストプラクティスが紹介されています。
英国図書館(BL)が、科学の躍進に貢献した英国の科学者に対し、10~15時間に及ぶインタビューを実施し、彼らのオーラルヒストリーを収集するプロジェクト“Oral History of British Science”を開始するということです。世界の科学に貢献した英国の偉大な科学者の音声資料はほとんど存在しておらず、健在の著名な科学者に対するインタビューもほとんど行われたことがありません。そこでBLでは、将来に渡って、科学者たちの個人的な記憶や経験を保存していくため、今回のプロジェクトを開始することにしたということです。インタビューの対象となるのは、著名な科学者だけでなく、これまであまり注目されてこなかった技術者や女性の科学者も含まれます。
英国とアイルランドでは、4月23日のユネスコの“World Book and Copyright Day(世界図書・著作権の日)”に先駆けて、3月に“World Book Day”が祝われます。2010年は3月4日が“World Book Day”に設定され、各種イベントが実施されます。今年初お目見えのイベントとしては、学校教育向けのソフト販売などを手がけるRenaissance Learning社がスポンサーを務める“Read to a Million Kids”などがあります。“Read to a Million Kids”は、本の作者や俳優による朗読を、学校や児童向けにオンライン放送するというものです。また、今年はTwitterを使った情報提供が試みられています。
Library Journal誌は、専門職でない(図書館情報学修士号(MLIS)を持たない)図書館員の最も優れた人を表彰する“Paraprofessional of the Year”の2010年の受賞者として、マサチューセッツ州のレディング公共図書館のスローン(Allison Sloan)氏を選んだと発表しています。
また、同誌の論説記事(Editorial)では、非専門職の図書館員についての論考が掲載されています。MLISを持つ専門職の採用が減っていること、経費節減のためにかつては専門職の仕事だったことでも非専門職の仕事となっていることなどを指摘し、非専門職の賃金等をすぐに改善するのは困難としても、彼らの仕事に対する敬意を持つことが必要だとしています。
2009年に英国のケンブリッジ大学の近辺にあるパブ“Panton Arms”で、同大学の関係者らによって初稿が練られ、その後、非営利団体Open Knowledge Foundationのオープンデータ・ワーキンググループも参加して内容を修正してきた、科学におけるオープンデータの原則が発表されました。この原則は、“Panton Principles for Open Data in Science”(科学におけるオープンデータのためのPanton原則)と名付けられ、現在支持者を募集中です。