アーカイブ - 2009年 9月

9月 11日

1.5.1 図書館ファンドレイジングの動向

PDF版はこちら

北海学園大学 経済学部地域経済学科  福田 都代(ふくだ いくよ)

(1) ファンドレイジングの必要性

 米国では図書館において、近年ファンドレイジングはますますその重要性を帯びている。ファンドレイジングとは一般に資金調達活動を意味するが、ドナー(個人や団体)から寄付金を募ることだけでなく、現金化が可能な資産や資機材の形態での寄付も受け入れられている。寄付金の大部分は個人からもたらされ、各州には図書館へ補助金を出資する様々な民間財団が存在する。

 ファンドレイジングは1970年代から取り組まれたが、公立図書館では財源を外部に求める行為が図書館予算の大部分を占める公的資金の削減につながりかねないという懸念があった。しかし1980年代中頃から多様な利用者に対する図書館サービスの拡大、資料費の上昇およびIT機器の導入に対処しなければならず、図書館員の間でファンドレイジングの必要性がさらに認識されるようになった。1990年代には現実の財政問題を克服しつつ、「図書館の発展」を結びつけ、積極的に推進されるようになったといえる。

1.4.2 米国の出版状況・概況・動向(電子)

PDF版はこちら

山形大学学術情報部 学術情報ユニット  加藤 信哉(かとう しんや)

 電子出版(Electronic Publishing)は,「文字・画像情報をデジタルデータに編集加工して、CD-ROMなどの電子メディアやネットワークにより配布する活動」(1)である。ここでは電子書籍と電子ジャーナルを中心に米国の電子出版の状況について触れてみたい。

(1) 電子書籍

 電子書籍(Electronic Book, e-book)は、「コンテンツがインターネット接続により電子的に利用可能で、コンピュータ画面に表示され、ページが印刷でき、手元にダウンロードできるもの」(2)である。

1.4.1 アメリカの出版・書店事情を考察する

PDF版はこちら

出版メディアパル編集長  下村 昭夫(しもむら てるお)

 本項では、日本で一般的に入手可能なアメリカの出版産業データ(主として『出版年鑑』に収録されている統計)を駆使して、非再販制度下で活躍するアメリカの出版産業の現状を把握し、日本の出版産業の現状との相違点を比較研究する。

(1) アメリカの出版概況

 『出版年鑑2006版』によると、2003年の最終売上規模で224億2,357万ドル(前年比4.6%増)、04年の中間予測規模は237億1,541万ドル(前年比1.3%増)となっている(図1参照;出所『出版年鑑2001年~2006年版』(1)

1.3.3 図書館友の会とボランティア活動

 

PDF版はこちら

筑波大学大学院 図書館情報メディア研究科  吉田 右子(よしだ ゆうこ)

(1) 「図書館友の会」とは

 アメリカの公共図書館は、コミュニティの文化の拠点として地域住民と密接に関わりあいながら発展してきた。住民は利用者として図書館を利用するだけでなく、図書館を支えるためにさまざまな活動を行っている。その多くは無償あるいは低報酬のボランティアによって支えられている。図書館ボランティアは図書館と一般住民を結ぶ架け橋として、アメリカの公共図書館において欠かせない存在となっている。

1.3.2 人気ある職業にするには ~How to be popular~

PDF版はこちら

James M. Matarazzo
Dean and Professor Emeritus at the Simmons College Graduate School of Library and Information Science in Boston
(シモンズ・カレッジ図書館情報学大学院 名誉大学院長・名誉教授  ジェームズ・マタラーゾ)
Joseph J. Mika
Director of the Library and Information Science Program at Wayne State University in Detroit
(ウェイン州立大学 図書館情報学プログラム長  ジョゼフ・ミカ)

(※本稿は著者の許諾を得て、Matarazzo, James M. et al. How to be popular. American Libraries, 2006, 37(8), p. 38-40. を翻訳したものである。

1.3.1 司書養成・研修・採用

PDF版はこちら

獨協大学 経済学部  井上 靖代(いのうえ やすよ)

はじめに――現状および将来的な課題

 アメリカでは2004年段階で、librarianが15万9千人、para-professionalとよばれるlibrary technicianが12万2千人、library assistantが10万9千人働いている(1)

1.2.4 障害者サービスに対する法の動向

PDF版はこちら

筑波大学大学院 図書館情報メディア研究科  山本 順一(やまもと じゅんいち)

 アメリカには、現在、約4,300万人の身体や精神に障害を持つ人たちがいる。この数は年々増加している。これら障害をもつ人たちは、教育を受けるうえで、また職業に就く際、そして生活を支える所得を得る場合など、生活の様々な局面で実質的に差別されてきたし、現に差別されている。アメリカ連邦憲法修正14条が保障する「平等原則」に照らせば、障害をもつ人たち自身に帰責できない差別については、基本的人権を守るという観点から、極力是正する努力が払われるべきである。

(1) アメリカ議会図書館

 アメリカ議会図書館の中に全国盲人・身体障害者図書館サービス局(National Library Services for the Blind and physically Handicapped:NLS)が設置されている。

文化庁、平成20年度「国語に関する世論調査」の結果を公表

文化庁が、平成20年度「国語に関する世論調査」の結果を公表しました。読書に関する問いでは、1か月の読書冊数を尋ねる設問に「読まない」と回答した人が5割弱であること(平成14年度の調査では4割弱)、読書量が減っていると感じている人が回答者の6割以上を占めること、といったことが分かりました。

平成20年度「国語に関する世論調査」の結果について
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/yoronchousa/h20/kekka.html

参考:
文化庁、「国語に関する世論調査」を実施
http://current.ndl.go.jp/node/12283

英国国立公文書館、UFOに関する文書を追加公開

英国国立公文書館は国防省との協同プロジェクトとして、UFO(未確認飛行物体)に関する文書を2008年5月からウェブサイトで公開していますが、3回目の文書の追加が2009年8月に行われました。今回追加されたのは、1981年から1996年の期間のもので、公開2日で45万回ダウンロードされるほど注目を集めているとのことです。UFOの専門家であるDavid Clarke博士による解説動画も掲載されています。

Online files captivate UFO enthusiasts
http://www.nationalarchives.gov.uk/news/stories/358.htm

Newly released UFO files from the UK government
http://ufos.nationalarchives.gov.uk/

1.2.3 知的自由に関する法の動向 ~ 愛国者法、CIPA、COPA、DOPA ~

PDF版はこちら

大阪教育大学 生涯教育計画論講座  高鍬 裕樹(たかくわ ひろき)

(1) 愛国者法の成立とその改正

 愛国者法(Uniting and Strengthening America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism: USA PATRIOT Act)は2001年10月26日の成立である(1)。いうまでもなく2001年9月11日の同時多発テロを受けたものであるが、わずか6週間で成立したこともあって、成立時にその是非についてほとんど議論はなかったといってよい。そのため、社会が冷静さを取り戻すにつれて愛国者法の危険性が叫ばれるようになってきている。

1.2.2 近年の米国の著作権法の動向

PDF版はこちら

 

早稲田大学大学院法学研究科 博士後期課程・研究助手  張 睿暎(ちゃん いぇよん)

(1) 米国著作権法の沿革(1)

 米国連邦議会は、米国憲法第1条第8節第8項(2)で委任された権限を行使して、1790年に著作権法を制定した。その後1909年、1971年の改正を経て成立した1976年の著作権法(3)が現行の著作権法(1976年法)である。

1.2.1 公共図書館の設置・運営に関する法的基盤

PDF版はこちら

立正大学 文学部 平野 美惠子(ひらの みえこ)

(1) 連邦、州、地方の権限

 米国では、公共図書館の設置・運営に関わる法律は、州ごとに制定されている。連邦レベルで制定されない理由は、合衆国憲法に文化・教育に関わる明文規定がなく、さらに1791年に成立した合衆国憲法修正第10条で「合衆国に委任されず、州に対して禁止されていない権限は、それぞれ州又は人民に留保される」と規定したことにある。連邦政府はこの規定を狭く解釈して、文化・教育への積極的な関与を極力控えてきたが、1956年成立の「図書館サービス法(Library Services Act:LSA)」に基づき農村図書館の振興を助成するモデル事業に成功してから、州権を乗り越えて連邦政策を遂行する方向に大きく転換を図った。この背景には、連邦資金の投入を求める州との利害一致があった。

1.1.2 図書館における「民営化」

PDF版はこちら

 

獨協大学 経済学部 井上 靖代(いのうえ やすよ)

(1) 背景

 1990年代は、アメリカで全国的に公立公共図書館の運営財源の大幅な削減がおこなわれた。これは全米の景気後退を受け、図書館運営資金、特に地域の不動産(固定資産)の税割合にもとづく図書館税収入や地域で決定する直接税としての図書館税収入の減少の影響である。図書館の設立時期が古く、図書館運営歴の長いウースター図書館(マサチューセッツ州、市の人口17万人)が、1990年に6つの地域館すべてを閉鎖して以降、全米で閉鎖される図書館が急増した。ネヴァダ州では州立図書館の資料費が1992年に15万3千ドルから1993年にはゼロとなるなど、各地で閉鎖ないしは資料費などの運営費が大幅削減を迫られた時期にあたる。

1.1.1 図書館の運営形態

PDF版はこちら

筑波大学大学院 図書館情報メディア研究科 山本 順一(やまもと じゅんいち)

 図書館は、公共図書館であれ、大学図書館、学校図書館、専門図書館であっても、それぞれ地域社会、キャンパス・コミュニティ、校内の児童生徒・教職員、当該専門主題に関心をもつ社会層といった、ある種の「コミュニティ」の抱える情報ニーズを満たすためにサービスを提供することを任務としている。それだけではなくて、そもそもその図書館自体が当該コミュニティによって産み出され、日常的な維持・管理に必要な多様な諸資源をそこから調達していることが一般的である。ここでは、アメリカの公共図書館を念頭におきつつ、図書館の運営形態について論じることにしたい。

5.2 米国におけるオープンアクセスの動向

PDF版はこちら

慶應義塾大学大学院 図書館・情報学専攻  三根 慎二(みね しんじ)

(1) オープンアクセス運動の世界的展開

 世紀をまたぐころから、学術情報流通においては電子化とオープンアクセスが一大テーマとなっている。それは、これら2つの現象が、学術情報流通を根本的に変革させる可能性を持つからである。これまで研究者、図書館、学協会・出版社を主な利害関係者として成立していたが、ここに大学、政府、研究助成機関が新たに加わることにより、既存の利害関係者が果たしてきた機能や役割が改めて問われる事態になっている。オープンアクセスとは、学術情報への制限のない無料でのアクセスをオンライン上で提供する理念であり運動であるが、オープンアクセスを巡って百家争鳴の時代を迎えている。本稿では、米国の最近の動向に関して、パブリックアクセス方針や図書館の活動を中心に述べる。

5.1 Googleの動向 ~Scholar、Book Searchを中心に~


PDF版はこちら

国立国会図書館関西館 事業部図書館協力課  村上 浩介(むらかみ こうすけ)

(1) はじめに

 2004年、優れた検索エンジンを擁してインターネットビジネスを主導してきたGoogleが、2つのサービスを発表し、米国の図書館界に大きな衝撃を与えた。学術文献専用の検索サービス“Google Scholar”と、図書館蔵書や出版社の販売書籍をデジタル化して提供する“Google Print”(後の“Google Book Search”)である。

 実のところ、これらのサービスは、Googleが新規に創出したものではない。学術文献の検索サービスとしては、EBSCOの“Academic Search Premier”やThomson Scientificの“Web of Science”など、すでに商用のものが存在しており、研究図書館を中心にサービスの重要な一翼を担っていた。

4.2 生涯学習機関としての図書館 ~高齢者サービス~

PDF版はこちら

北陸学院短期大学 コミュニティ文化学科  髙島 涼子(たかしま りょうこ)

 公立図書館は他の施設と並んで生涯学習の重要な機関として認識されており、高齢者向けの学習プログラムも大学、美術館、博物館、教会、シニアセンター、病院、退職者コミュニティ、高齢者デイケアセンターなどと共に図書館でも開催されている。現在、全米の動向を知る際に、高齢者への図書館サービスについては「アメリカ図書館協会高齢者に対する図書館サービス委員会(American Library Association Library Services to an Aging Population)」や「アメリカ合衆国全国図書館情報学委員会(U.S. National Commission on Libraries and Information Science:NCLIS)」が主要な情報提供源となっている。

4.1 公共図書館における地域情報の提供

PDF版はこちら

筑波大学大学院 図書館情報メディア研究科  吉田 右子(よしだ ゆうこ)

(1) 地域情報サービスとは

 米国の公共図書館は地域社会と密接な関係を保って発展してきた。個々の図書館はコミュニティに根ざしており、利用者にコミュニティの情報を提供することが、図書館の重要な役割の1つとなっている。図書館はコミュニティに関する情報をコミュニティ・インフォメーション・ファイルとして用意するとともに、利用者のニーズに応じて他機関への照会サービスを行ってきた。公共図書館におけるこうしたコミュニティ情報源に関する情報提供サービスを、米国ではコミュニティ情報・照会サービス(community information and referral service)と呼ぶ。

 地域情報サービスは、すでに1920年代には米国の公共図書館で実施されていた。

3.4 読書プログラムの現状と課題

PDF版はこちら

京都ノートルダム女子大学 人間文化学科・人間文化研究科  岩崎 れい(いわさき れい)

はじめに

 図書館の中では、公共図書館の成立した早い時期から、読み聞かせやストーリーテリングなどの読書プログラムが行われてきたが、現在注目されているのは、むしろ、全米規模・各州規模で実施されている、より幅広い概念の読書プログラムである。本稿では、米国連邦教育省が推進している計画の全体像を概観し、また、各団体や図書館が具体的に取り組んでいるプログラムを紹介する。

(1) 米国連邦教育省の計画

 米国連邦教育省のコミュニケーション・アウトリーチ局では、高等教育、成人教育、遠隔教育など、多様な分野にわたって、教育支援プログラムを設けている(1)。この中で、読書プログラムと位置づけられているのは5種類である。

3.3 公共図書館が教育やリテラシーに果たす役割

PDF版はこちら

金城学院大学 文学部  薬師院 はるみ(やくしいん はるみ)

 今日の米国において、公共図書館は、教育やリテラシーに貢献すべき機関だとみなされている。例えば、1998年に米国公共図書館協会が定義した公共図書館が担うべき13の責務の中にも、「基礎的リテラシー」、「正規学習課程支援」「情報リテラシー」、「生涯学習」等の項目が掲げられている(1)

ページ