アーカイブ - 2009年 9月

9月 25日

ベルリンの公共図書館でRFIDを使ったサービスプロジェクトを実施

ドイツ・ベルリンの公共図書館が、2012年末までのRFIDを活用したセルフサービスのプロジェクトの実施を計画しているとのことです。プロジェクトの進捗を同館のポータルサイトで定期的に公表するようです。

RFID-Projekt der Offentlichen Bibliotheken Berlins(Bibliotheksportalのニュースリリース)
http://www.bibliotheksportal.de/hauptmenue/service/aktuelles/news/article/rfid-projekt-der-oeffentlichen-bibliotheken-berlins/

大阪府、図書館業務を市場化テストに

大阪府の橋下知事が、府立図書館の業務を「大阪版市場化テスト」による民間委託の対象業務の一つとすると発表したと報じられています。また、大阪府のウェブサイトには、市場化テストの対象業務についての検討内容等が掲載されています。

大阪府が図書館、監査業務を民間委託へ(MSN産経ニュース2009/9/24付けの記事)
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/090924/lcl0909242322004-n1.htm

大阪版市場化テスト・対象業務の官民比較に関する検討のまとめ(提言)(PDFファイルの12ページ目以降に「府立図書館管理運営業務」あり)
http://www.pref.osaka.jp/gyokaku/sijouka/minkanhikakuteigen.html

Googleブックス和解案の審理、延期決定

2009年10月7日に予定されていた、Googleブックスをめぐる訴訟の和解案の審理が延期になりました。和解案の修正を司法省と協議をしている原告(著作者団体など)から出されていた延期要請が、9月24日付けでニューヨーク連邦地裁により認められたものです。10月7日には、代わりに、現状についての会議が開催されるとのことです。

「Google Book Search」訴訟、和解案の最終審理延期が決定(INTERNET Watch 2009/9/25付け記事)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20090925_317620.html

「Google Books」和解案めぐる審理、延期が正式に決定(CNET Japan 2009/9/25付け記事)
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20400538,00.htm

Googleブック検索訴訟の和解案、裁判所での審理が延期(ITmedia News 2009/9/25付け記事)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0909/25/news062.html

参考:
Googleブックス和解案の審理、さらに延期か

3.3.3 まとめに代えて

 PDF版はこちら

 現在の電子書籍の発行者の多くは、その長期保存について、その必要性も重要性もあまり理解されていないように思われる。電子媒体は紙媒体の本よりさらに散逸・滅失する危険性が高いのにも関わらず、発行者にそれが永続的価値のあるものであるという認識が薄い。図書館員はその保存の重要性に気がついているものの、紙のようにとにかく書庫という場所をさえ用意すれば保存できるものではなく、有効な対策はとられていない。媒体変換や長期保存の体制の確立などの問題点はまだ、充分に認識されているとはいえない。

 全般に、本調査にあっては保存という観点での質問がごく少なく、定量的な分析は困難である。本調査自体「現状把握」が主であり、過去の集積や未来への伝達といったことがあまり意識されていない。これは電子書籍の蓄積がまだ始まったばかりであり、文化的資産としての認識がまだ市民や研究者自身にも薄いことに起因すると思われる。

3.3.2 電子書籍の保存の社会的意義

 PDF版はこちら

 図書館に収集されている資料は、ランガナタン(Shiyali R. Ranganathan)の「図書館学の五法則」のひとつ「図書は利用するためのものである」に示されるよう(1)に、利用されるために存在している。たとえ現時点において、利用者に利用されていない資料であっても、未来に重要な意味をもつことになる可能性がある。過去、歴史研究において、図書館の果たした役割はきわめて大きい。明治以後、書籍が図書館で収集・保存されていればこそ、今に生きる我々も、明治、大正時代の実相を知ることができる。そして我々、現在に生きる者には、現在の資料を未来に残す責務があるといえる。

3.3.1 電子書籍保存の現状と展望

 PDF版はこちら

 残念ながら、電子書籍の保存については本調査でもあまり体系的に把握できているとはいえない。これは、調査の問題というより電子書籍の保存そのものについてステークホルダー間に相互理解が深まっていないことに起因すると思われる。

 日本国語大辞典によると、保存とは「そのままの状態でたもっておくこと。原状のままに維持すること」(1)とされている。また図書館情報学用語辞典(第3版)では、資料保存を「図書館資料や文書館資料の現在と将来の利用を保証するため、元の形態のまま、あるいは利用可能性を高めるためにメディアの変換などを行うなどして、維持を図ること」(2)と定義する。後者は図書館あるいは文書館資料を射程としているが、すでに紹介したように、千代田区立図書館ではWebを通じた電子書籍の「帯出」サービスがスタートし、構築支援を行ったiNEOには、問い合わせが寄せられていることが、本研究のインタビュー調査からも明らかになった。

3.2.4 国立国会図書館職員の電子書籍に対する意識

 PDF版はこちら

 本調査の一つとして、国立国会図書館職員を対象に「電子書籍の利用の実態・意識に関するアンケート」を実施した。詳細は巻末の参考資料2「電子書籍の利用の実態・意識に関するアンケート調査結果」を参照されたい。ここではアンケート結果の概要と若干の考察を記すのみとする。

 なおこの調査はあくまで国立国会図書館職員を対象としたものであるため、館種の異なる大学図書館職員や公共図書館職員を代表するものではない。いわば「ラストリゾートとしての図書館の職員」の現在における電子書籍に対する意見分布として見る必要がある。

 

 調査対象:国立国会図書館職員 923名
 調査期間:2008年10月22日~11月5日
 調査方法:国立国会図書館内、Webアンケート方式による調査
 回答数:373名 (40.4%)

 

3.2.3 リンク集

PDF版はこちら

 リンク集やメタリンク集も多くの図書館で提供されている。例示で取り上げておこう。例えば琉球大学附属図書館「電子化資料を提供しているサーバー」(15)や埼玉大学図書館の「電子ジャーナルリンク集」(実態はメタリンク集)(16)などや、Sun-Inet「電子図書館」(17)などがある。リンク集やメタリンク集の探索には、検索エンジンの使用が有効である。

 

(15) 琉球大学附属図書館. “電子化資料を提供しているサーバー”.
http://www.lib.u-ryukyu.ac.jp/erwg/denshika.html, (参照 2009-01-15).

3.2.2 電子書籍の機関利用―図書館―

 PDF版はこちら

 図書館における電子書籍は大きく2種類に分かれる。第一は、所蔵資料類の自館等による電子化とそのネットワーク公開であり、図書館の館種を問わず貴重書、文庫(コレクション)の電子化は一般的である。ただし、その大半は過去の「蔵書」類のデジタル化、ネットワーク公開であり、電子展示物の公開の範囲に留まっている。大学等においてはデジタル化されたコンテンツ類を媒介として、当該大学を核とした研究プロジェクトの推進や教育素材として活用されることが肝要である(4)。また、公共図書館では地域コミュニティの活性化への寄与などが強く求められている(5)

3.2.1 電子書籍の個人利用

 PDF版はこちら

 電子書籍の個人利用の悉皆的なデータはない。インプレスR&Dによる『電子書籍ビジネス調査報告書2008』(1)では、「ケータイを用いてインターネットを行っている11歳以上の個人」を対象に2008年6月13日~7月2日の約2週間の調査を行っている(サンプル数11,632)。対象は「ケータイ電子書籍」であるので利用のデバイスは携帯電話に限定されており、PC利用や専用デバイス利用は対象外である。

 同調査の概要は次の通りである。

 ケータイ電子書籍の認知度は91.9%であり、高い認知状況である。ケータイ電子書籍の利用率では、29.6%(21.7%:2007年同調査、以下同様)であり、また有料コンテンツ購入については7.9%(3.9%)と前年比倍増の延べであると共に、大きな潜在成長市場が期待される。利用率では、特に女性の10代で約50%、20代で約40%強と利用率が特出しており、また有料コンテンツでは30代女性を中心に高い。

Porticoにブラジルの大学図書館協会も参加

米国の電子ジャーナルアーカイビング事業であるPorticoは、ブラジルの大学図書館協会“CAPES(Coordenacao de Aperfeicoamento do Pessoal de Nivel Superior)”の150以上の大学図書館が同事業に加わることを発表しています。

Brazilian Academic Consortia - CAPES - Joins Portico to Support Digital Preservation(Porticoのニュースリリース)
http://www.portico.org/news/092209.html

3.1.5 電子書籍流通に関するトピック

PDF版はこちら

 

3.1.5.1 コンテンツの取り込み・OCR処理

 

 基本工程の前処理、OCR処理は、下記の工程で処理される。

  前処理 ⇒ スキャン ⇒ ノイズ除去・傾き補正(スキュー)等の後処理
  ⇒ OCR処理 ⇒(テキスト・パターン辞書作成を同時並行) ⇒ 校正

 本来であればカラーデータをOCR処理するのがあるべき姿だが、基本的にモノクロ2値画像がOCR処理の対象となっている。カラーデータではデータ量が大きすぎるため、処理に時間を要しコストが合わないのが実情である。

 ノイズ除去・スキュー補正等の画像処理のツールは複数あり、この処理によりOCR精度は大きく左右される。ただし日本語OCR(この場合活字)は数社しか開発をしていないため、OCRエンジンは自ずと限られてくる。重要なのはドキュメント毎の辞書作成であり、辞書の精度により認識率は大きく左右される。

3.1.4 ビジネスモデル

PDF版はこちら

 

3.1.4.1 資金回収モデル

 

 回収モデルの大枠は有償課金モデルと無償広告モデルに大別される。

 この2つは入口こそ違うが、到達点は一致している。前者は有償課金に広告モデルをいかにとり込んでいくか、後者は広告モデルの成功から、いかにコンテンツの有償課金化を導入していくか、という構図である。

 既に述べた通り、ネットを介した電子書籍はその実体性が希薄で、「モノ」としての価値を認識しづらいという側面を長く引きずってきた。これは新しい商品の持つ宿命と言ってもよいもので、人が日常生活で身につけてきた「常識」からくる距離感というものであろう。だからこそ、実体のないものから対価を求める有償課金モデルの定着には、相当の時間を要した。有償モデルの成功は、携帯電話の通信料と一緒にコンテンツ料金を徴収する課金モデルだったことは明らかであり、そのプロセスの中で個別対価よりもむしろ、一定期間内(1か月など)の定額料金を前払いする、集合課金方式の定着によって成り立ってきた。

3.1.3 流通の担い手、ステークホルダー

 PDF版はこちら

 

 電子書籍の担い手は大きくわけて以下4つの領域がある。すなわちコンテンツ領域、フォーマット領域、デリバリー領域、ハード領域である。

 コンテンツの領域とは、現状では主に、既存メディアでのコンテンツホルダーである出版社や映画会社、テレビ局が支配している。フォーマット領域は、ビューア、制作ツールを担っており、ソフトウェア開発部分といえる。デリバリー領域は、携帯電話では配信に関わる通信事業者キャリアが独占している世界であり、そしてまたPCにおいては豊富なコンテンツを揃える大手取次や大書店が占有する世界である。ハードの領域は代表的な大企業メーカーが担っている。

 これらを前提とすると、電子書籍流通に関係する担い手は、主にコンテンツ領域とデリバリー領域にある出版社、印刷系取次・書店、ベンチャー系取次・書店、それにキャリアの4者に代表されると言えるであろう。以下個別に分析する。

 

3.1.3.1 通信事業者(キャリア)

 

3.1.2 流通フォーマット

 PDF版はこ ちら

 

(1)携帯電話でのコンテンツ配信の仕組み(図解)

 3キャリアを中心とした配信システムの仕組みを理解する。

 

図3.5 docomoの仕組み

図3.5 docomoの仕組み

 

図3.5 docomoの仕組み

 

図3.6 auの仕組み

3.1.1 主要な媒体の分析

 PDF版はこちら

 本節の目的は、日本における電子書籍の流通をになう媒体について、媒体の現状を明らかにし、それぞれの媒体のもつ特徴を明示することである。ここではデバイスに備えられた(または追加した)通信機能を介してコンテンツを入手し利用する、以下の媒体を取り上げることとした。パッケージ媒体として流通する「パッケージ系」についてはここでは言及しない。

  • 携帯電話
  • PC
  • モバイル情報端末(通話・通信機能を含む情報端末およびゲーム端末など)

 

3.1.1.1 携帯電話

 

3.2 利用

 PDF版はこちら

 第1章冒頭の本研究調査の背景及び目的でも述べたように、電子書籍の定義は定まっていない。長らく広く普及してき、今も多くの出版がなされている紙媒体の書籍からのアナロジーからは、「電子媒体の本」であろうが、現在では電子ファイルの媒体型配布(CD-ROMなど)流通、利用から、サーバー蓄積コンテンツへのアクセス型やダウンロード型への急速な変容が生じている。

 ビジネスモデルとしては、無償提供型・広告モデルとコンテンツ有償配布型に二分される。さらにコンテンツ有償配布型は、対象組織限定の年間固定契約モデルと対象コンテンツごとのテンポラリーな課金モデルに分かれる。テンポラリーな課金モデルは、書籍出版物の流通慣習を反映した「出版物理単位」での課金、連続小説やまんがなどでの1話単位、雑誌などの連載物の1回単位など、販売の粒度は多様である。

 本節では、電子書籍の利用について取り上げるが、主として「書籍」コンテンツを中心対象とし、「雑誌」については割愛をする。

3.1 流通

 PDF版はこちら

 日本における電子書籍流通はどのようになされているのか。実態に即した把握を試みてみたい。その実情をどうとらえるかにあたり、いくつかの前提を設けておくことにする。一般的に電子書籍のカバーする範囲・境界は茫洋としており極めて近い将来の対応なども含めるとますます広い範囲を想定せざるを得なくなる。従って、本調査においては第1章において触れられている定義を前提に、

  • 1)現在の市場において、有償で流通するもの
  • 2)現在の市場において、無償で流通するもの一般
  • 3)無償で流通するもののうち、今回調査対象となった代表的な事例

以上の3項目を中心に言及するものである。

2.6 学術系の電子書籍サービス

 PDF版はこちら

 学術系の電子書籍サービスでは新たな動向が見られる。小学館系のネットアドバンスが運営する辞書検索サイト「JapanKnowledge」はすでに利用者が定着し、安定的な成長を見せているが、それ以外にも丸善と日本化学会が運営する「化学書資料館」や紀伊國屋書店と米国OCLCによる「NetLibrary」などがある。

 「化学書資料館」は国内で出版された化学書を統合的に検索し、閲覧することができるサイトである。現在、日本化学会の編集による専門書・便覧・辞典が147冊、約83,300ページ相当の情報が集められている。

 また「NetLibrary」は学術系eBook(電子書籍・電子図書・電子ブック:和書・洋書)を17万タイトル以上含むコレクションで、日本・欧米の出版社500社が参加して、大学図書館、公共図書館、研究所など世界112カ国で16,000の機関が利用している。2007年11月より和書コンテンツが搭載され、2008年8月現在、40社547タイトルを提供している。

ページ