アーカイブ - 2009年 9月 8日

アメリカ図書館の背景

アメリカ図書館の背景

元図書館情報大学 副学長  藤野 幸雄(ふじの ゆきお)

 アメリカの図書館は、イギリスから東部ニュー・イングランドに渡来した建設者たちが信じていた‘ピューリタン(清教徒)思想’によって形作られた。独立以前にイギリスからトマス・ブレイ師がこの地に来て、図書館をメリーランドに設立したのがその創始とみなせる。初期の図書館はボストンを中心に実現した‘アシーニアム’(文芸協会、その発生は19世紀初頭のロンドンにあった)の型であり、博物館や歴史協会を併設したものであった。アメリカの図書館史を創りあげた先駆者たち(ジューエット、プール、ウィンザー、カッター、ビリングス、パトナム)はほぼ全員がボストンかその近郊のニュー・イングランド出身者であって、プロテスタント教徒であった。

 独立後の19世紀前半、開拓が進行するにつれて、アメリカは西部に向かって発展し、フロンティアが消滅したのは1840年代後半であった。1850年にはまだフロリダもテキサスもウィスコンシンも連邦の領土とはなっていなかった。

INTRODUCTION

INTRODUCTION

Junichi Yamamoto
Professor, Graduate School of Library, Information and Media Studies, University of Tsukuba

March 2007

         Among library officials, there appears to be a common and unmistakable awareness that libraries in Japan are currently in a "state of crisis." On one hand, libraries have been forced to confront a wave of "library digitalization," which has been accelerated by widespread use of the Internet since the 1990s.

はじめに

はじめに

 日本の図書館の現状については、関係者の間では、‘危機的状況’にあるとの認識が確実に共有されているように思われる。1990年代以来のインターネットの普及が急速に推し進めている‘デジタル・ライブラリー’化の趨勢に立ち向かわなければならない一方で、国・地方の財政破綻を背景に資料費は見事なまでに減少し、民間委託やPFI(Private Finance Initiative)、指定管理者制度が浸潤しつつあり、人員削減の圧力により、図書館の正規職員のポストは図書館サービスにまったく無縁の首長部局等や法人本部等からの機械的人事異動のたんなる受け皿となり、従前通り図書館に踏みとどまる図書館職員は高齢化が進行し、若い世代の多くはせいぜい‘非常勤専門職員’というきわめて不安定な待遇に甘んじている。

 高度情報通信化への対応の必要性、財政窮乏、組織と業務の合理化、関係職員の高齢化・世代交代の問題などは、日本の図書館だけが遭遇している課題ではなく、すべての先進諸国の図書館が効果的な解決を迫られているものである。

 日本の図書館は、とくに第二次世界大戦後、アメリカをモデルに発展してきた。

はしがき

はしがき

 情報技術の進展を基盤とした新しいサービスの導入はもとより、指定管理者制度の導入や業務の民間委託の伸長、定年退職者の増加など、我が国の図書館を取り巻く環境の変貌は著しく、また課題が多い状況である。このような中、他国の図書館ではどのような計画を立案し、どのようなプロジェクトを遂行して環境の変貌や課題に対応しようとしているのかを知ることは、当館及び我が国の図書館の将来にとって必要不可欠である。しかしながら、各国の政策、財政、法制度や社会基盤、また図書館界全体の方向性などを踏まえた鳥瞰的・基礎的な調査研究は未だ行われておらず、個々の図書館の事例を散発的に紹介する論文・記事が見られる程度である。そこで、当館では平成18年度の「図書館及び図書館情報学に関する調査研究」として、世界の図書館活動を牽引する存在である米国の図書館事情について調査を行った。今回刊行する『図書館研究シリーズ』第40号は、その調査成果を、論集の形で取りまとめたものである。

 この調査は、社団法人システム科学研究所に委託し、以下のメンバーによる研究会が企画・構成を担当した。

Google、欧州で販売中の書籍のデジタル化については事前許諾方式に変更

Google社は、書籍のデジタル化について、欧州で販売中の書籍に限り権利者に事前に許諾を得る方式に変更すると発表しています。同社は、米国で絶版であっても欧州で販売中である書籍については権利者の事前許諾を個別に得るまではGoogleブックスに加えないとしています。また、同社は欧州の出版社と欧州の著者をBooks Rights Registryの委員会に追加する提案も行っているようです。

GoogleがEUに大幅譲歩、書籍スキャンをopt-in方式に変更し、Book Rights Registryで2議席も約束(hon.jp 2009/9/7付けの記事)
http://hon.jp/news/1.0/0/1274/

Google modifies Europe book plans(BBC NEWS 2009/9/7付けの記事)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8242710.stm

米国の読書推進イベント“National Book Festival”、広報に携帯電話を活用

2001年にローラ・ブッシュ前大統領夫人が米国議会図書館(LC)と協同で開始した読書推進イベント“National Book Festival”が、2009年も9月26日に開催されます。今年は、携帯電話のテキストメッセージでイベントの情報やアラートをお知らせしてくれるサービスを初めて取り入れたということです。イベント情報はその他に、TwitterやFacebookでも入手することができます。

Library of Congress Brings National Book Festival Direct to Mobile-Phone Users(LCのニュースリリース)
http://www.loc.gov/today/pr/2009/09-164.html

2009 National Book Festival
http://www.loc.gov/bookfest/

NIH、新しい統合検索サービス“RePORTER”の提供を開始

米国国立衛生研究所(NIH)はこのほど、資金提供に関するデータ、研究成果(PubMedアブストラクトやPubMed Centralで利用可能なフルテキスト論文)、米国特許商標局からの情報などを統合して検索できる新しいサービス“RePORTER”の提供を開始しました。これにより、研究者、研究の管理者、政策決定者、一般公衆といったステークホルダーに対し、彼らの様々なニーズを満たす豊富な情報へのアクセスが提供できるようになるとして、関係者は期待を寄せています。

New NIH Tool Makes Funding Data, Research Results and Products Searchable
- NIH News 2009/9/4
http://www.nih.gov/news/health/sep2009/od-04.htm

RePORTER
http://projectreporter.nih.gov/reporter.cfm

BL、音楽資料のアーカイブプロジェクトを開始

英国図書館(BL)が、英国情報システム合同委員会(JISC)との共同で音楽資料のアーカイブプロジェクトを開始しています。イングランドの伝統音楽やインドの信仰音楽など、28,000件、2,000時間分の音楽データがオンラインで公開されています。ライセンスを取得している英国の高等教育機関やBLの閲覧室からはすべての資料を無料で利用できるほか、許諾が得られているものについてはそれら以外からも視聴できるとのことです。

Rowdy pub sessions in England and Yanggona ceremonial chants in Fiji(BLのプレスリリース)
http://www.bl.uk/news/2009/pressrelease20090904.html

佐賀県立図書館、『伊勢物語』古写本を発見

佐賀県立図書館は2009年9月7日、平安時代の歌物語『伊勢物語』の古写本が見つかったと発表しています。同館の坊所鍋島家資料の中から、国文学研究資料館の調査チームが見つけたもので、古典籍の研究において重要な発見としています。

県立図書館所蔵の坊所鍋島家資料から貴重な古写本『伊勢物語』が発見されました(佐賀県立図書館のニュースリリース)
http://www.pref.saga.lg.jp/kentosyo/kyoudo/shozou/isemonogatari.html

「伊勢物語」古写本を発見 坊所鍋島家資料 佐賀県立図書館発表 古典籍の研究に一石(47NEWS 2009/9/8付けの記事)
http://www.47news.jp/localnews/saga/2009/09/post_20090908015803.html

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