出版

研究者向けウェブサービスKudosとオンライン投稿・査読システムScholarOneの試験統合は成功 一層の拡大へ

2016年10月17日、KudosとClarivate Analytics(旧トムソン・ロイター社知的財産・科学事業)は、2016年5月から実施していたKudosの研究者向けのウェブサービスとClarivate Analyticsのオンライン投稿・査読システムScholarOneの試験統合の結果について発表しました。統合は成功であり、今後さらに拡大していくとしています。

この試験統合では投稿から受理までのSchoalarOneのワークフローの中で、投稿者が自身の論文の簡単な要約を追加することができるようになっていました。追加された要約はKudosに自動的に受け渡され、Kudosプラットフォーム中で投稿者自身が利用できるほか、検索エンジンのインデキシングや出版社・所属機関のウェブサイトでの公開にも用いることができます。

試験統合に参加していたのはWiley社など6つの出版社のみでしたが、Kudosは今回の試験統合は成功であったとしており、今後は更なる参加希望を受け付けるとのことです。

Kudos and Clarivate Analytics announce results of successful pilot and plans for further integration(Kudos、2016/10/17付け)

Ingenta社、新たにオープンアクセス情報源のプラットフォームサービスIngenta Openを開始

2016年10月20日、電子ジャーナルのホスティングサービス等を手掛けるIngenta社が、新たにオープンアクセス(OA)情報源のプラットフォームサービスIngenta Openを開始すると発表しました。

Ingenta OpenはOA雑誌に限らず図書(章単位・全体の双方)もホスティングの対象とするほか、自身ではホスティングしていないOA雑誌掲載論文についてもDOAJ等からデータを取得し、単なるOA雑誌のホスティングサービスではなく、研究者・学生・一般市民にとってのOA情報源のハブとなることを目指すとしています。

Ingenta launches new Open Access platform(Ingenta、2016/10/20付け)
http://www.ingenta.com/wp-content/uploads/Ingenta-Open-press-release.pdf

Ingenta launches new Open Access platform – Ingenta Open(STM Publishing News、2016/10/21付け)
http://www.stm-publishing.com/ingenta-launches-new-open-access-platform-ingenta-open/

リポジトリ収録論文のうち、ORCIDと紐付けられるものは16%強(記事紹介)

2016年10月21日付けの英COREのブログ記事で、リポジトリ収録論文のDOIとORCIDのデータを対照した調査の結果が紹介されています。

COREは英国を中心に、オープンアクセス(OA)リポジトリ・OA雑誌掲載論文のデータを収集し、APIで提供する等しているアグリゲーションサービスです。今回の記事ではCOREで収集している論文データ中、DOIの付与されている約550万本について、ORCIDのAPIを用いてデータを対照した結果が報告されています。分析の結果、196,713人の異なる著者による論文927,645本が、ORCIDとCOREの双方にDOIが収録されており、CORE収録論文を分母とすると、16%強がORCIDと紐付けられる状況にあるとのことでした。

この調査に用いられたデータはGitHubで公開されています。

Analysing ORCID coverage across repositories through CORE(CORE blog、2016/10/21付け)
https://blog.core.ac.uk/2016/10/21/analysing-orcid-coverage-across-repositories-through-core/

oacore/orcid-experiments(データセット、GitHub)

Science Europe、加盟機関のオープンアクセス方針に関する調査報告を公開

欧州の研究助成財団・研究実施機関が加盟するScience Europeが、加盟機関のオープンアクセス(OA)方針の状況を調査した結果をまとめた報告書”Open Access Publishing Policies in Science Europe Member Organisations”を2016年10月付けで公開しています。

この報告書は2012年と2014年に実施した質問紙調査の分析結果に基づくもので、さらに2016年6月までの動向の変化も付録に収録されています。調査の結果、加盟機関は義務化の程度や実施済みか計画段階かの差はあれ、OA方針を持っていました。また、ほとんどの機関はリポジトリ等によるOA(グリーンOA)とOA雑誌(ゴールドOA)の双方を取り入れた方針としていて、ゴールドOAを排除してグリーンOAを優先する方針を持つ機関はわずかに存在するものの、グリーンOAを排除しゴールドOAを優先する機関はなかった等としています。

Open Access Publishing Policies in Science Europe Member Organisations: Key Results from Science Europe and Global Research Council Surveys(Science Europe)

名古屋市鶴舞中央図書館、ブックマークナゴヤ関連展示「図書館から本屋さんへ質問:あなたにとって本とは?」を開催

2016年10月15日から11月17日まで、名古屋市鶴舞中央図書館において、『本』で街をつなぐブックイベント「ブックマークナゴヤ」の関連展示として「図書館から本屋さんへ質問:あなたにとって本とは?」が開催されています。

名古屋市内にある6つの書店を図書館職員が取材した様子に関するパネル展示や、本を作っている人や本を売っている人たちの思いがつまった本を紹介しています。

鶴舞中央図書館 ブックマークナゴヤ関連展示「図書館から本屋さんへ質問:あなたにとって本とは?」(名古屋市図書館)
https://www.library.city.nagoya.jp/oshirase/topics_tenji/entries/20161015_03.html

関連:
ブックマークナゴヤ
http://bookmark-ngy.com/

参考:
CA1879 - 山梨県立図書館の取組み―地元書店と連携した読書活動促進事業― / 齊藤 秀
カレントアウェアネス No.329 2016年9月20日
http://current.ndl.go.jp/ca1879

茅ヶ崎市立図書館(神奈川県)、地元書店やNPOと協力した「本がだいすきプロジェクト」を始動
Posted 2016年6月28日
http://current.ndl.go.jp/node/31909

韓国・文化体育観光部、電子書籍のメタデータ標準を開発

2016年9月23日、韓国・文化体育観光部は、電子書籍の流通基盤構築のため、韓国出版文化産業振興院、国立中央図書館(NLK)、出版界、電子書籍ベンダーと連携し、韓国版の電子書籍のメタデータ標準を開発したことを発表しています。

昨年締結された文化体育観光部と出版界・電子書籍ベンダーとの業務協約の成果で、書籍流通における商品情報としてのメタデータであるONIXに基づき構築されています。

文化体育観光部と韓国出版文化産業振興院では、このメタデータ標準を基盤に、電子書籍の流通協業システム等を開発し、NLKの書誌情報流通支援システムと連携させ、この電子書籍のメタデータ標準を電子書籍ベンダーに提供する予定です。

次年度はDRM(技術的制限手段)を導入して電子書籍ファイルの統合管理が可能なシステムを構築し、そのことを通じて、異なるベンダーによるものでも一つのビュアーで閲覧できるようにする計画とのことです。

문체부, 개방형 전자책 유통협업시스템 구축 추진- 민관이 협력하여 전자책 표준 메타데이터 도출 완료 -(韓国・文化体育観光部,2016/9/23)
http://www.mcst.go.kr/web/s_notice/press/pressView.jsp?pSeq=15568

参考:

カタール大学図書館、ScienceDirectから機関リポジトリへのデータ自動取得についてElsevier社と連携

2016年9月28日、Elsevier社はカタール大学図書館と、同大学の教員・研究者が発表した論文のビジビリティ、インパクト、流通を最大化するために連携を結んだことを発表しました。具体的には、Elsevier社の電子ジャーナルプラットフォームScienceDirectのAPIを用い、カタール大学の機関リポジトリQSpaceに対し、同大学の研究者による論文データを自動で配信していくとのことです。

この連携により、Elsevier社の雑誌に掲載されたカタール大学の研究者の論文については、論文のメタデータのみならず、エンバーゴの終了期間や、論文本文のデータもQSpaceに配信されるようになるとのことです。QSpaceはElsevier社から提供された本文データか、あるいはローカルサーバにホストしてある著者最終稿のデータか、リンクする対象を選ぶことができます(双方にリンクすることもできます)。ただしScienceDirect版が有料の雑誌に掲載されている場合、購読機関以外の利用者は最初の1ページのみが閲覧できるとのことです(ScienceDirect版がオープンアクセスの場合、当然ですが誰でもQSpaceから全文を利用できます)。

オープンアクセス論文数は全研究論文数の2倍のペースで増加 Simba Informationがオープンアクセス市場に関するレポートを公表

2016年10月3日、メディア・出版業界に関する市場調査会社Simba Informationは、オープンアクセス(OA)に関する市場の現況と2020年にかけての展望をまとめたレポート”Open Access Journal Publishing 2016-2020”を公表しました。本文は有料ですが、プレスリリース等で内容の一部が紹介されています。

リリースによれば、OA研究論文数の増加ペースは、全研究論文数の増加ペースの2倍に達しており、エンバーゴ期間を終えて公開された論文を含めれば、世界の論文の3分の1はOAになっているとしています。出版者の論文処理加工料(APC)収入も急速に増加していますが、それでも2015年のSTM出版売上の3.2%を占める程度とのことです。

Open Access Articles Grow at Twice the Rate of All Published Research(Simba Information、2016/10/6付け)
http://www.simbainformation.com/about/release.asp?id=4003

Open Access Journal Publishing 2016-2020(Simba Information、2016/10/3付け)

ハイブリッドオープンアクセスに関する継続調査(文献紹介)

Journal of Informetrics誌の2016年11月号に、購読型雑誌の中で一部の論文のみをオープンアクセス(OA)とする、いわゆるハイブリッドOAの状況について、5つの出版社(Elsevier、Springer、Wiley-Blackwell、Taylor & Francis、Sage)の雑誌を対象に調査した論文”Hybrid open access—A longitudinal study”が掲載されています。著者はHanken School of EconomicsのMikael Laakso氏とBo-Christer Björk氏です。

この論文では対象となる5つの雑誌に、2007~2013年に掲載された論文を対象に、ハイブリッドOAの状況を調査・推定しています。分析の結果、2007年には666本にとどまっていたハイブリッドOA論文が、2013年には13,994本まで増えていたとのことです。また、少なくとも1本以上の論文がハイブリッドOAで公開されていた雑誌における、2011~2013年のハイブリッドOA論文の割合は3.8%であったとしています。分野としては医学分野の論文でハイブリッドOAの割合が高いとのことです。

オープンアクセス誌“eLife”、2017年から論文掲載料を設定

2016年9月29日、オープンアクセス誌“eLife”は、2017年1月1日から論文掲載料$2,500を設定すると発表しています。

同誌は、2012年に英国のウェルカムトラスト、米国のハワードヒューズ医学研究所、ドイツのマックスプランク協会の3つの研究助成機関によって創刊され、10年間にわたり資金提供を受けることになっています。当初5年は出版費用の全てをこの助成金で賄っていましたが、後の5年では出版点数の増大に伴う費用や、新しいオープンソースの製品開発・サービスの改善に充てるとしています。

同誌の2017年の1記事当たり費用は約£3,085で、固定費£1,287、限界費用£1,798(編集者への支払、オンラインシステム費用、スタッフ及び外注費用、手数料免除と収集費用)と推定しています。また、$2,500は、競合雑誌のScience Advancesの$4,600や、Nature Communicationsの$5,200に比べて安価であるとのことです。

​Inside eLife: Setting a fee for publication(eLife、2016/9/29)
https://elifesciences.org/elife-news/inside-elife-setting-fee-publication

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