大学出版

人文・社会科学のOA単行書を出版するイニシアチブ“Toward an Open Monograph Ecosystem(TOME)”(記事紹介)

2018年4月3日、米・バージニア工科大学のウェブサイトに、人文・社会科学のオープンアクセス(OA)単行書を出版するイニシアチブ“Toward an Open Monograph Ecosystem(TOME)”に関する記事が掲載されています。

このイニシアチブは、紙媒体の単行書の購入者や、図書として出版できる文字数がある専門的な著作物が次第に減少している中、2017年3月に立ち上げられました。米国大学協会(AAU)、北米研究図書館協会(ARL)、Association of University Presses(AUPresses)のほか、同学を含む12の大学が計画に関与していました。

記事では、TOMEの助成を受ける最初の研究者となった同学の歴史専攻の助教授(assistant professor)を紹介しています。

国際出版連合(IPA)・世界知的所有権機構(WIPO)、世界の出版業界統計のパイロット調査報告書を公開

2018年3月29日、国際出版連合(IPA)は、世界知的所有権機構(WIPO)と連携して実施した、世界の出版業界統計のパイロット調査報告書“The Global Publishing Industry in 2016”を公開しました。

年度比較や政策の影響、市場の変化等を測定することを目的とした今後の年度調査の継続的実施のために行なわれたものです。

今回のパイロット調査は、35か国の出版協会・著作権管理団体を対象に行われており、商業出版、教育出版、学術出版の3分野を含みます。

主な知見として、比較可能な11か国のデータによる販売・ライセンスによる総売上高は419億米ドル、中国の出版数が最も多く5,780万タイトル、冊子体による収益が大部分を占めるが中国では28%/コロンビアでは24%が電子版による、ことが指摘されています。

Library Publishing Coalition(LPC)、図書館の出版活動との連携に関心を持つ非営利・営利の出版者等のリストを公開

2018年1月8日、図書館による出版活動を進める大学図書館のイニシアティブ“Library Publishing Coalition”(LPC)が、“Publishers and Service Providers List”を公開しました。

LPCのPublishers and Service Providersプログラムの一環であり、図書館における出版活動と連携したり、図書館における出版活動に関心を持つ非営利・営利の出版者やサービスプロバイダで、同プログラムの基準を満たすもののリストとなっており、今後も追加されていく予定です。

New resource: Publishers and Service Providers List(LPC,2018/1/8)
https://librarypublishing.org/new-resource-publishers-and-service-providers-list/

CA1907 - 動向レビュー:欧州における単行書のオープンアクセス / 天野絵里子

 欧州では、単行書のオープンアクセス(OA)を推進するさまざまな取り組みが行われている。2010年にOpen Access Publishing in European Networks(OAPEN)が人文・社会科学分野の単行書のOAについて実施した現況調査(E1038参照)によれば(1)、当時すでに世界中で多くの萌芽的な取り組みがなされていた。現在も単行書のOAを目指して多様なビジネスモデルが試されており、その持続可能性や学術書としての質の担保といったさまざまな側面についての議論が深められている。

大学出版局と大学図書館の連携をテーマに開催された会議のホワイトペーパーが公開される

2016年5月9日から10日にかけて、経営上の連携をテーマに、北米研究図書館協会(ARL)、米国大学出版協会(AAUP)、ネットワーク情報連合(CNI)が主催し、23の大学図書館、大学出版局関係者が参加して行われた、P2L Summitのホワイトペーパー“Across the Great Divide: Findings and Possibilities for Action from the 2016 Summit Meeting of Academic Libraries and University Presses with Administrative Relationships (P2L).”が公開されました。

ホワイトペーパーには、サミットで議論された、図書館と出版局のさらなる相互理解が必要な分野、大学での出版局の役割、といった主要な論点のほか、サミットで出された予備的勧告、これら論点に関する欧州での現状に関する報告、基調講演、参加者名簿、連携の運営方法について図書館と出版局に対して事前に行った調査の結果などが含まれます。

オープンアクセスの書籍からの収益は2020年にかけて年30%で成長:Simba Informationによる調査

2016年11月11日、市場調査会社であるSimba Informationが、オープンアクセス(OA)の書籍の市場の2020年にかけての展望をまとめた報告書“Open Access Book Publishing 2016-2020”を発行しました。本文は有料ですが、プレスリリースで内容の一部が紹介されています。

プレスリリースによると、報告書では、2020年にかけて、書籍の収益は年率1%で減少すると見込まれる一方、OAの書籍からの収益は年30%で増加することが想定されるとしています。

また、雑誌論文より手数料がかかるため、特に研究費が限られている人文・社会科学分野において、ゴールドOAの手法は容易ではなく、多くの人がその将来性に疑問を抱いていることや、大学出版局が、この数十年間に渡り、様々な資金調達方法を開発してきたこと、2015年の学術分野の書籍収益やタイトルに占めるOAの書籍の割合はわずかであるが、不振の書籍市場の中での明るい材料であることが指摘されています。

JSTOR、4つの大学出版局の学術書63タイトルをオープンアクセスで公開

2016年10月26日、JSTORが、カリフォルニア大学出版局、ミシガン大学出版局、ロンドン大学出版局、コーネル大学出版局が出版した学術書63タイトルをオープンアクセスでJSTORのプラットフォームから公開したと発表しています。来年にかけて数百点のタイトルを追加する予定とのことです。

各タイトルは、出版社がクリエイティブコモンズの6種類のライセンスの内の1つを採用しており、DRMフリーで、章単位でのPDFでのダウンロードや印刷も可能です。また、利用にあたっては登録やログインは必要ありません。

メタデータと全文テキストがディスカバリーサービスに提供されるほか、提供される学術書は、電子学術情報アーカイブのPorticoで長期保存されます。

Twitter(@JSTOR,2016/10/26)
https://twitter.com/JSTOR/status/791287909609537536

Open Access eBooks Now Available on JSTOR(JSTOR)
http://about.jstor.org/news/open-access-ebooks-now-available-jstor

Open Access eBooks on JSTOR(JSTOR)

米国大学出版協会、高品質なピアレビューの基準を概説したハンドブックを公開

2016年6月8日、米国大学出版協会(AAUP)が、高品質なピアレビューの基準を概説したハンドブック“Best Practices in Peer Review”を公開しました。

Twitter(@aaupresses,2016/6/8)
https://twitter.com/aaupresses/status/740543213610631168

Handbook of Best Practices in Peer Review Published Outlines High Standards in Peer Review for Scholarly Monographs(AAUP,2016/6/8)
http://www.aaupnet.org/news-a-publications/news/1459-handbook-of-best-practices-in-peer-review-published

Best Practices in Peer Review
http://www.aaupnet.org/resources/for-members/handbooks-and-toolkits/peer-review-best-practices

Ithaka S+R、大学出版局において単行書出版にかかるコストを分析したレポートを公開

2016年2月5日、Ithaka S+Rが大学出版局における単行書出版のコストに関するレポート、“The Costs of Publishing Monographs Toward a Transparent Methodology”を公開しました。

・高品質な電子版の単行書を出版するために必要な作業の包括的なリストを提示する
・単行書の出版にあたって大学出版局にかかるコストについて実例データを収集する
・大学出版局に、オープンアクセス(OA)の電子版の単行書において著者が支払う費用の価格帯を定める際のガイドとなる一般則を提言する

などの点が目的とされ、米国内の20の大学で、2014会計年度に出版された単行書382タイトルについて、労働時間、直接経費(コピーエディターにかかる経費など)、間接経費(法的支援に関するもの、賃料など)の推定値をもとに、分析が行われています。

・大学出版局にとって一番のコストはスタッフの労働時間である
・(図書部門の収入の多寡で調査対象を4グループにわけたところ)小規模な大学出版局のグループで、もっとも低いコストで単行書が出版できている

などといった結果のほか、OAの影響についてさらなる調査等が必要であることが指摘されています。

大学図書館による出版のための能力開発(文献紹介)

“Education and Training for 21st Century Publishers”の2014年春号(第17巻第2号)に、Katherine Skinner氏らによる“Library-as-Publisher: Capacity Building for the Library Publishing Subfield”と題した記事が公開されています。

この記事では、大学における電子ジャーナルや会議録等のための電子出版のプラットフォームへの要望をうけ、大学図書館が担う出版の役割が強くなってきているとしています。主に北米の大学図書館を対象に、図書館による出版のための能力開発について紹介していいるとのことです。大学出版局や図書館出版社などの関係者11名にインタビューを行い、図書館における出版でトレーニングが必要とされる主要分野の提案などを行っているようです。

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