情報倫理

文部科学省、「諸外国の研究公正の推進に関する調査・分析業務」(平成30年度科学技術調査資料作成委託事業)の成果報告書を公表

文部科学省が、「諸外国の研究公正の推進に関する調査・分析業務」(平成30年度科学技術調査資料作成委託事業)の成果報告書(2019年3月付け)を公表していました。

文部科学省から委託を受けたPwC コンサルティング合同会社が実施した、諸外国における研究公正の推進に関する仕組みや取組等の調査・分析の成果を取りまとめたものです。

本委託業務の目的として、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(2014年8月決定)の発効以降、新制度が研究機関に定着しつつある一方で引き続き不正行為の発生も散見される状況を踏まえ、制度の実効性をさらに高め、公正な研究活動を推進するための検討に資することを挙げています。

報告書の目次は次のとおりです。

序章 現代世界における研究公正の動向
第1章 本調査の背景・目的
第2章 本調査の実施体制および実施プロセス
第3章 カントリーレポート(米、英、仏、独、豪、韓、中)
第4章 研究費の返還に関する諸外国の状況
第5章 我が国の研究公正/不正対応の質向上に向けた議論

米・スタンフォード大学図書館、医療・健康に関するデジタルな情報を企業が取り扱う際の指針を発表

2019年2月21日、米・スタンフォード大学図書館は、医療・健康に関するデバイスやアプリ、医薬品等から収集されるデジタルな情報の倫理的利用に関する声明“Statement of Guiding Principles for Ethics in Digital Health”を発表しました。

声明では、医療・健康に関するデジタルなデバイス等や情報の活用に関する10の指針を挙げています。この指針は、医療・健康に関するサービスやデバイスを扱う企業(digital health companies)が、自社の製品や収集した情報を倫理的に利用するために定められています。

今回の声明は、同学で実施されたセミナーで、健康・医療に関するデジタル情報を取り扱う組織が健康に関する個人情報を管理する際の懸念について、産業界、研究者、非営利団体が議論した内容に由来するものです。

【イベント】「研究倫理シリーズ第4回 発表倫理を考える」(7/9・仙台)

2016年7月9日、東北大学川内北キャンパスにおいて、「研究倫理シリーズ第4回 発表倫理を考える」が開催されます。

責任ある研究活動を進める上で、コアとなるのは発表倫理ですが、国際的な動向と日本の動向とは大きなずれもあります。また、盗用についても英語圏と非英語圏では、解釈に違いがあります。これらの問題を、

・「発表倫理を考える」愛知淑徳大学人間情報学部教授・山崎茂明氏
・「生命科学における発表倫理」東北大学医学系研究科教授・大隅典子氏
・「人文社会科学における発表倫理―私的経験からー」東北大学高度教養教育・学生支援機構教授・羽田貴史氏
・「言語学習から盗用を考える」東北学院大学文学部英文学科教授・吉村富美子氏

の4名で、フロアを含めた議論を行います。

PDプログラム「研究倫理シリーズ第4回 発表倫理を考える」(7/9開催)(東北大学高度教養教育・学生支援機構大学教育支援センター)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2016/06/event20160603-02.html
https://www.ihe.tohoku.ac.jp/pd/index.cgi?program_num=1464915212

参考:

科学技術振興機構(JST)、「研究公正ポータル」を公開

2016年3月30日、科学技術振興機構(JST)が「研究公正ポータル」を公開しました。

研究公正に関する情報やツールへのアクセスを提供するもので、「ガイドライン」「海外動向・方針」「調査・研究」「研究不正事案」「学協会倫理規定」に関するリンク、研究倫理教育等に関する「教材」「THE LAB」「調査・研究」「学協会投稿規定」などに関するリンクが掲載されています。

研究公正ポータル
http://www.jst.go.jp/kousei_p/
※2016/3/30付で、「ニュース」に「研究公正ポータルサイトを公開」とあります。

「研究公正ポータル」を開設しました(JST)
http://www.jst.go.jp/report/2015/160331.html

文部科学省、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドラインに基づく平成27年度履行状況調査」の結果を公開

2016年3月29日、文部科学省は「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドラインに基づく平成27年度履行状況調査」の結果を公開しました。

2014年に決定、公開された「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」に基づき、各研究機関における、ガイドラインを踏まえた体制整備等の状況や他の研究機関の参考となる取組等を把握するために行われた調査で、文部科学省の予算によって研究活動を行う研究者が所属する大学等の研究機関を対象とした書面調査と、科学研究費補助金の採択件数上位又は過去に不正事案の報告があった9つの機関を対象に現地調査を行ったものです。

書面調査の調査時点は2015年9月1日で、1,666機関を対象とし、1,604機関から回答があり、現地調査は、2015年10月から11月にかけて行われました。

結果では、既に研究倫理教育を実施する体制を整備している機関数は、973(60.7%)で、研究データの保存・開示について規定を整備ている機関数は、790(49.3%)であったことなどが示されています。

また、概要資料などでは、「調査結果を踏まえた現状における課題等」も示されています。

研究活動における不正行為への対応等に関するガイドラインに基づく
平成27年度履行状況調査の結果について(概要)

【イベント】日本アーカイブズ学会2015年度第1回研究集会「専門職の倫理とは何か? ~アーカイブズの現場における資料の公開を巡る諸問題を探る~」を開催(10/18・東京)

2015年10月18日、日本アーカイブズ学会が東京外国語大学で2015年度第1回研究集会を開催します。

テーマは、「専門職の倫理とは何か? ~アーカイブズの現場における資料の公開を巡る諸問題を探る~」で、

賀川豊彦記念松沢資料館・杉浦秀典氏による「ある書簡資料閲覧請求に対する、著作権保護に基づく公開禁止措置に至った顛末」、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター・後藤基行氏による「医療情報の研究利用プロシージャに関する一事例」の報告が行われるようです。

日本アーカイブズ学会 2015年度・第1回研究集会「専門職の倫理とは何か? ~アーカイブズの現場における資料の公開を巡る諸問題を探る~」(日本アーカイブズ学会, 2015/9/21)
http://www.jsas.info/modules/news/article.php?storyid=230

英語版Wikipediaで、報酬を受け取りながらその事実を明らかにせず記事編集を行っていた悪質なユーザーアカウントが停止されたことが発表される

2015年8月31日付の、Wikimedia財団のブログで、Wikipediaの英語バージョンについて、悪質なユーザーのアカウントが停止され、記事も削除されたことが発表されています。

具体的には、英語版Wikipediaのボランティア編集者381名のアカウントが停止され、210件の記事が削除されたとのことで、記事の内容は商業的な内容、アーティストなど宣伝的な内容を元来有するものがほとんどであったとのことです。

これらのアカウントの編集者は、Wikipediaの記事を報酬を受け取りながら,その事実を明らかにせずに編集を行っていたため、Wikipediaの定めるガイドライン(「中立的な観点」や、報酬をもらって擁護する内容の編集を行うこと(paid advocacy)を禁じる、など)に背いていたことが問題とされたようです。

Hundreds of “black hat” English Wikipedia accounts blocked following investigation(Wikimedia blog, 2015/8/31)
https://blog.wikimedia.org/2015/08/31/wikipedia-accounts-blocked-paid-advocacy/

米国議会図書館(LC)のTwitterアーカイブの実現に向けた課題(文献紹介)

‘First Monday’の20巻7号(2015年7月6日)に、ウィスコンシン大学准教授のMichael Zimmer氏による“The Twitter Archive at the Library of Congress: Challenges for information practice and information policy”という論文が掲載されています。

2010年にLCから発表され、2006年のサービス開始から公開設定となっているツイートを全て保存しようとするこの取組みは、発表から5年が経ったものの、実現に至っておらず、この文献では、実現を阻んだ要因を実務的な側面(ツイートの体系化や有効な検索手段、物理的な保存の方法)とアーカイブのポリシーに関する側面(アクセス制限や、倫理上のアーカイブの存在そのものについての是非など)という2つに分け、調査しているとのことです。

結論として、ポリシーに関する課題は、多く残っていると論じていて、デジタルアーカイブや情報探索に関する技術的な専門家だけでなく、情報政策、研究倫理、プライバシーの専門家も含んだ公民連携(PPP)が必要であることなどが指摘されています。

UNESCO、インターネットに関わる課題の包括的調査レポートのドラフトを公開

2015年3月3日、UNESCOが、表現の自由やプライバシー、情報社会の倫理等の、情報と知識へのアクセスに関わる課題等について検討した調査レポートのドラフト“Keystones to foster inclusive Knowledge Societies: Access To Information And Knowledge, Freedom Of Expression, Privacy, And Ethics On A Global Internet”をオンライン公開しました。このレポートは、3月3日から4日にかけてフランスで開催されているUNESCOの会議“Connecting the Dots”における議論の基礎とされるとのことです。

ドラフトはfirst published versionとsimple versionの2種類が公開されています。

Keystones to foster inclusive Knowledge Societies: Access To Information And Knowledge, Freedom Of Expression, Privacy, And Ethics On A Global Internet(First published version)(PDF:96ページ)

医薬品メーカーのスポンサードのもと、同社の製品の宣伝になる論文を転載していた学術雑誌の発行元が謝罪

“Australasian Journal of Bone and Joint Medicine”という雑誌が、米国の医薬品メーカーから非公式に資金を受け、同社の製品の宣伝になる論文を他の雑誌から転載していたという事件が明るみになりました。これを受け、発行元の大手出版社Elsevier社が、正確性・非透明性に欠ける形で雑誌を発行し続けたことに謝罪しました。Elsevier社の知名度により、実際には査読誌ではなく、ウェブサイトもなくMEDLINEにも採録されていなかった同誌が査読誌と勘違いされたり、権威付けされたりしたことの責任が問われているようです。なお、Elsevier社は、現在はこの雑誌は刊行しておらず、また当時の担当者はすでに社を去っているとしています。

FT.com / UK - Elsevier admits journal error
http://www.ft.com/cms/s/0/c4a698ce-39d7-11de-b82d-00144feabdc0.html

「査読付き」を名乗る、とてもインチキな学術論文誌 - スラッシュドット・ジャパン
http://slashdot.jp/articles/09/05/05/0759254.shtml

May 07, 2009付けPeter Scott's Library Blogの記事