米国

米・ニューヨーク公共図書館(NYPL)、利用者カード所持者への動画配信サービスKanopyの無料アクセス提供を中止

2019年6月24日、米・ニューヨーク公共図書館(NYPL)は、これまで行っていた利用者カード所持者への動画配信サービスKanopyの無料アクセス提供について、2019年7月1日から中止することを発表しています。

中止の理由として、提供に係る費用負担の維持が難しいこと、より需要がある本や電子書籍の購入に費用を割り当てることが挙げられています。2019年6月24日付けの米・ニューヨークタイムズ紙の記事では、ニューヨーク市内のブルックリン公共図書館、クイーンズ公共図書館でも、NYPLと同じく2019年7月1日からKanopyの無料アクセス提供を中止することが紹介されています。

New York Public Library Statement: Kanopy(NYPL, 2019/6/24)
https://www.nypl.org/press/press-release/june-24-2019/statement-about-kanopy

米・ニューヨーク公共図書館(NYPL)、同館のデジタルコレクションに舞台芸術のセット及びコスチュームのデザインに関する資料を追加

米・ニューヨーク公共図書館(NYPL)の舞台芸術図書館(Library for Performing Arts)は、2019年7月17日付けのTwitterにおいて、同館の音楽部門(Music Division)が所蔵する舞台芸術のセット及びコスチュームのデザインに関するコレクション約1,200点がNYPLのデジタルコレクションで利用可能となっていることを紹介しています。

@nypl_lpa(Twitter, 2019/7/17)
https://twitter.com/nypl_lpa/status/1151518909369114625

arXiv、改訂されたPlan S準拠のための技術的な考慮事項を表明

2019年7月18日、米・コーネル大学が運営するプレプリントサーバarXivのブログarXiv.orgに、2019年5月31日に改訂された「Plan S原則」、「Plan Sの実現にかかる手引き」に基づいて、Plan S準拠のためのarXivにおける技術的な考慮事項に関する記事が投稿されました。

arXivは記事の中で、改訂版「Plan Sの実現にかかる手引き」はより内容が明確で達成可能なものになったと評価し、改訂版の手引きで示された「OAリポジトリの要件(Part III Section 2.1 (Requirements for Open Access repositories))」に基づき、技術的な考慮事項を次のように表明しています。

・必須要件(Mandatory criteria)について、arXivはほぼ全て達成しているが、資金調達情報を信頼でき、かつ維持可能な形で追跡できる機能を欠いており、これを達成するツール開発の援助を外部の組織や個人に求めている。

データリポジトリDryadとZenodoがパートナーシップ締結を発表

2019年7月17日、データリポジトリDryadとZenodoが共同してパートナーシップの締結を発表しました。Dryadはデータのキュレーションとデータ公開に関する代表的なリポジトリで、過去10年特に研究データに焦点を当てて活動しています。Zenodoは欧州原子核研究機構(CERN)とOpenAIREが開発した研究成果共有のためのリポジトリです。

両者は提携の背景として、論文以外の研究成果物の保存場所が散逸し不適切に取り扱われている等の現状を挙げ、こうした問題を解決し、オープンな研究で得られたベストプラクティスをより一貫した形で研究者へ提供することを提携の目的としています。

また、この提携を活性化させるため、米国のスローン財団(Alfred P. Sloan Foundation)から、研究者や出版社のワークフロー、データ・ソフトウェア管理のベストプラクティスの支援に重点を置く新しいソリューションを共同開発するための助成金を受けたことも発表されました。

米国の大学・研究図書館協会(ACRL)、「学術図書館の動向と統計」の2018年版を刊行

2019年7月17日、米国の大学・研究図書館協会(ACRL)が、2018年版「学術図書館の動向と統計」(Academic Library Trends and Statistics)を刊行したと発表しています。

1,726の学術図書館のコレクション(冊子体・電子書籍)、職員数や職員配置の傾向、支出額(資料費、人件費)、図書館サービスに関するデータがまとめられています。

本文は有料ですが、プレスリリースでデータの一部が紹介されています。

2018 Academic Library Trends and Statistics(ACRL insider,2019/7/17)
https://www.acrl.ala.org/acrlinsider/archives/17996

教育系出版社大手のPearson社、米国で刊行中の1,500タイトルは今後全て電子版優先で販売することを発表

2019年7月16日、教育系出版社大手のPearson社は、米国で刊行中の1,500タイトルは今後全て電子版優先(digital first)で販売し、印刷体の改訂という伝統的な教育出版のモデルから移行することを発表しました。

Pearson社最高経営責任者のJohn Fallon氏は、学生はより簡単にアクセス可能で、手頃な価格の高等教育資料を求めており、90%近くの学習者が何らかのデジタル教育ツールを使用していることをこのビジネスモデル変更の背景として挙げています。そして、目的として、学生のためにコンテンツの提供価格を下げること、中古市場に頼る必要をなくすこと、学習者や顧客のニーズにより効果的に対応できるようになること、等を挙げています。

このビジネスモデル変更によりPearson社の電子書籍の価格は平均40ドル、デジタル学習ツール一式の価格は平均79ドルとなり、学生はより安価に同社のコンテンツを購入可能になると見込まれています。また、印刷体を希望する場合には、平均60ドルで貸出できるようになる予定です。

フォークナーの作品世界をデジタル化するプロジェクト「デジタル・ヨクナパトーファ」(記事紹介)

米・バージニア大学(UVA)のウェブサイトに掲載された2019年7月17日付けの記事で、1949年にノーベル文学賞を受賞した米国の小説家、ウィリアム・フォークナーの作品世界をデジタル化するプロジェクト「デジタル・ヨクナパトーファ」が紹介されています。

フォークナーはミシシッピ州にあるとする架空の土地「ヨクナパトーファ郡」を舞台にした一連の小説を発表しており、プロジェクト名はこのことに由来します。UVAの英語教授Stephen Railton氏と国内外の共同研究者が開始したものであり、その成果としてウェブサイト“Digital Yoknapatawpha”が公開されています。

“Digital Yoknapatawpha”では、フォークナーの作品から約5,000の登場人物、8,000以上の出来事、約2,100の場所のデータを収集しており、検索機能やそれぞれの関係性をマッピングして表示する機能を提供しているほか、フォークナー作品の一部の原稿や初出時のイラストの画像についても閲覧することができます。

PDF Association、PDFフォーマットでの電子メール保存に関する調査プロジェクトへの参画を発表

2019年7月10日、PDFに関する国際標準の採用を促進する国際組織PDF Associationは、米国国立公文書館(NARA)や米国議会図書館(LC)等との協力のもと、PDFフォーマットでの電子メール保存に関するアンドリュー・W・メロン財団の調査プロジェクトに参画することを発表しました。

このプロジェクトでは、電子メールの本文や重要な特性・機能を、真正かつ完全な電子メール記録としてPDFフォーマットに変換するための方法を定めたホワイトペーパーを刊行することを目的としています。

プロジェクトの背景として、2018年8月に米・図書館情報資源振興財団(CLIR)が刊行した報告書“The Future of Email Archives”において、PDFを電子メール長期保存のためのファイルフォーマットの有力候補としていることを挙げています。

米・Educopia Institute等による図書館出版の学術雑誌の出版ワークフロー調査プロジェクトが米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)から研究助成を獲得

2019年7月2日、米国のMLAおよびその他の文化資源保存機関の連携促進を目的とする非営利組織Educopia Instituteは、図書館による出版活動を進める大学図書館のイニシアティブ“Library Publishing Coalition”(LPC)、及び提携12大学図書館と実施を予定している、図書館出版の学術雑誌の出版ワークフロー調査プロジェクトが米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)から研究助成を獲得したと発表しています。

IMLSのウェブサイトで公開されたプロジェクトの概要によると、図書館出版による学術雑誌はワークフローが多様で、アグリゲータへのメタデータ提供等の重要事項の省略が頻繁に発生していることを背景に、様々な図書館出版の学術雑誌の出版ワークフローの調査等を行うことで、他の図書館でも適用可能なワークフローのモデル化を企図している、とされています。

プロジェクトは2019年8月1日に正式に開始し、LPCのウェブサイト上で定期的なブログの更新が行われるなどの形で情報提供される予定です。

米・テキサス州のコンソーシアム“Texas Digital Library(TDL)”、米・カリフォルニア大学サンディエゴ校図書館との共同による機密データのデジタル保存サービスの計画を発表

2019年7月2日、米・テキサス州の学術図書館等コンソーシアム“Texas Digital Library(TDL)”は、機密データに関する初めての全国的な分散デジタル保存(distributed digital preservation:DDP)サービスについて、米・カリフォルニア大学サンディエゴ校図書館と共同計画を進めていることを発表しました。

米国では、機密データのDDPサービスが提供されておらず、図書館や健康科学センター、文書館の管理下にある、個人を特定可能な情報(personally identifiable information:PII)や個人の健康情報(personal health information:PMI)の損失リスクが高まっており、この計画は機密データ保存サービスの欠如という現在の不備を埋められるように全国的なDDPサービスモデルを展開するものである、としています。

この計画の成果物には、米国での機密データのDDPサービス構築をモデル化したレポート、法的合意事項に関するテンプレート、データ転送に関する技術的要件等が含まれる予定で、TDLとカリフォルニア大学サンディエゴ校のDDPサービスの強化を支援するとともに他のDDPサービスでも同様のサービスが提供できるようにするものである、としています。

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