カレントアウェアネス-E

E2045 - 北の読書環境シンポジウム<報告>

北海道や東日本大震災被災地において,読書環境整備の支援を進めている一般社団法人北海道ブックシェアリングは,今年で設立10年を迎える。社会課題の解決にあたるNPOとしては,10周年を迎える前に「ミッション・コンプリート(目的完了)して,サクっと解散」というのが望ましいが,そう簡単に解決しないのが「北海道の読書環境問題」である。それどころか状況は設立時より悪くなっている。それもすべて受け止め,「次の10年になにを成すべきか」を確認しようと,2018年6月24日に札幌市で「北の読書環境シンポジウム」を実施した。開催の狙いは「課題の明確化」と「解決に向けた人的・組織的ネットワークづくり」である。

E2044 - 公立図書館における地域資料サービスに関する報告書について

全国公共図書館協議会(以下「全公図」)は,2016年度・2017年度の2か年で,地域資料サービスについての調査研究に取り組んだ。全国の公立図書館における地域資料サービスの実態を把握・分析し,今後のサービスの一層の進展に資することを目的としたものである。先行調査である『地域資料に関する調査研究』(国立国会図書館2006年度調査;E738参照)の結果と比較して10年の変化を確認するとともに,デジタル化や電子行政資料等に焦点を当てた調査を行うこととした。

E2041 - マラケシュ条約の締結・著作権法の改正と障害者サービス

2018年4月25日,参議院本会議において,「盲人,視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約」(以下「マラケシュ条約」;E1455,CA1831参照)の締結について承認を求める件が承認され,この条約の国会承認の手続が完了した。この条約は,2013年6月27日に世界知的所有権機関(WIPO)の外交会議において採択され,2016年9月30日には20か国目の加入が完了し,発効した。2018年7月10日現在,40か国が締約国となっている。なお,この条約は,締約国について,当該国がWIPO事務局長に批准書又は加入書を寄託した日から3か月後に発効することとされている(第19条(b))。日本政府は,「説明書」において,この条約の早期締結の必要性に言及していることから,近いうちに寄託が行われ,日本国内でも発効するものとみられる。

E2040 - 神奈川県立川崎図書館の移転・再開館について

神奈川県立川崎図書館(以下「当館」)は,工業専門図書館としての性質を有する神奈川県第2の県立図書館として1958年12月に川崎市川崎区富士見で開館して技術開発等を支援し,また,地域住民にとっては公共図書館の機能も果たしてきた。当館は開館から60年間同じ建物を使用していたため,施設の老朽化が進み,雨漏りの発生を招き,エレベーターもなく,利用者にはご不便をおかけしていた。さらに,当館は川崎市の管理する都市公園内に立地し,同市の富士見周辺地区整備実施計画上でも現地での建て替えは難しい状況にあった。

E2039 - 漫画で伝える「図書館」と「法律」

2018年5月20日,京都市の梅小路公園緑の館において,大学図書館問題研究会(大図研)京都地域グループ主催のイベント,大図研京都ワンディセミナー「“羊さん”こと水知せりさん(漫画家)が語る「“学術情報の伝達”と“利用者の活用術”」」が開催された。

E2042 - 独・ライプツィヒ大学におけるゲーム保存・学術利用

2018年4月27日,ライプツィヒ大学図書館にて,ドイツ語圏の日本関係図書館員が定期的に集まり情報交換をする日本資料図書館連絡会(Arbeitskreis Japan-Bibliotheken)の定期会議があった。その会議の午前の部で同館における日本のゲーム保存・学術利用とそれに伴ったプロジェクト“Diggr (Databased Infrastructure for Global Games Culture Research)”の紹介があったので,その内容を報告する。

E2038 - 図書館への資金拠出に関して有権者の支持を得るには(米国)

2018年3月,公共図書館(以下「図書館」)への資金拠出を活発化させるため,誰に,どのように働きかけることが有効かという問題意識のもと,米・公共図書館協会(PLA)・米国図書館協会(ALA)・OCLCが共同で実施した調査の報告書“From Awareness to Funding: Voter Perceptions and Support of Public Libraries in 2018”が公開された。OCLCが2008年度に行った調査(E818参照)のその後の変化を把握し,今の時代に即したアドヴォカシー活動を提案することが目的である。

E2036 - YouTubeが国際標準名称識別子(ISNI)の登録機関に

2018年1月,国際標準名称識別子(ISNI)国際機関は,動画共有サイトを運営するYouTubeが新たにISNIの登録機関になったことを発表した。ISNIは,著作,実演,研究,出版といった創作活動の分野を問わず,メディアコンテンツの生産,流通,管理に従事している個人や団体に使われることを想定したクリエイター識別子の国際規格(ISO 27729:2012)で,付与対象はクリエイターの「公開アイデンティティ」である(E1773参照)。登録機関は,ISNI国際機関の管理の下,特定領域や特定地域において自身が管理するデータのみならず他機関が管理するデータについてもISNIの付与を行う権限が与えられている。2018年6月25日現在,登録機関は,各国国立図書館や共同書誌作成機関等19機関で,登録されたISNIの総数は約986万件である。YouTubeは,音楽コンテンツにISNIを付与する初めての登録機関であり,ISNIにとっては,ウェブ上の音楽配信サービスにおけるユースケースを示す絶好の機会が与えられたことになる。

E2037 - IFLAグローバル・ビジョン・ワークショップ<報告>

2018年5月23日から25日にかけて,ベトナム国立図書館において国際図書館連盟(IFLA)グローバル・ビジョン・ワークショップ(アジア・オセアニア地域)が開催された。アジア・オセアニア地域の28の国や地域から31人が集い,日本からは3人が参加し,うち2人が国立国会図書館(NDL),1人が日本図書館協会(JLA)からの参加であった。

E2035 - 地域活性化に挑む:図書館総合展フォーラムin津山<報告>

全国の図書館活動の活性化と図書館関係者の情報交換の場を提供することを目的として,図書館総合展「地域フォーラム」(E1968,E1940参照)が各地で年3,4回開催されている。2018年の初回は,5月17日に「図書館総合展2018フォーラムin津山」として,「地域活性化に挑む図書館」をテーマに開催された。岡山県内での実施は2014年の岡山市での開催以来の2回目となる。津山市は岡山県県北地域の中心都市であり,人口減少や中心市街地活性化等の課題に取り組んでいる。この4月には市立図書館が設立40周年を迎えた。会場は美作大学に2016年にオープンした美作学園創立100周年記念館である。同建物内に大学図書館もあり,見学ツアーも実施された。主催者発表による本会参加者は170人であった。

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