イラク

イスラミックステート(IS/ダーイシュ)から奪還されたモスルの博物館 地下1階の図書館は古文書が燃えた灰で覆われる(イラク)

イラク政府軍による、イスラム過激派組織「イスラミックステート(IS/ダーイシュ)」の奪還作戦が進むモスルにおいて、ISの支配下からイラク政府軍が奪還した博物館の様子が報じられています。

AP通信によれば、この博物館は2017年3月7日に奪還されたとのことで、翌3月8日に撮影された写真が公開されています。貴重な遺品が焼失したほか、地下1階にあった図書館も燃やされ、その床は古文書が燃えた灰で覆われています。

Rubble and ash in Mosul museum retaken from Islamic State(wsbradio.com、2017/3/8付け)
http://www.wsbradio.com/news/ap/top-news/rubble-and-ash-in-mosul-museum-retaken-from-islami/nts3y/

略奪者による放火で蔵書を焼失したバクダット大学の美術学部図書館に書籍を送る活動

2016年1月26日付けのGuardian紙が、ニューヨークを基盤として活動し、バクダットで学んでいた際にはしばしばその図書館に訪れていたイラク系アメリカ人のアーティストWafaa Bilal氏による、クラウドファウンディングとパフォーマンスアートによって、2003年に略奪者の放火により蔵書を焼失したバクダット大学の美術学部の図書館に書籍を送る活動を紹介しています。

Bilal氏が2016年1月30日からオンタリオのアート・ギャラリー・オブ・ウインザーで行っている展示では、72フィートの書架に1,000冊の何も書かれていない書籍が置かれている展示“168:01”が目玉となっているとのことです。

そして、クラウドファウンディングKickstarterに25ドル(17.60ポンド)寄付することで、Bilal氏は、何も書かれていない書籍(blank book)を実際の書籍に変え、何も書かれていない書籍は寄付者に提供され、実際の書籍はバクダットに向けて送られるとのことです。

このプロジェクトは、Bilal氏の思ってもいなかった方向に進化しており、例えば、米国の図書館員は、図書館のためのある種のウィッシュリストを作成するためのデジタルインデックスの構築に力を貸すなどしているとのことです。

イラク国立図書館、イスラム過激派組織「イスラミックステート(IS/ダーイシュ)」の脅威から本や公文書を守るためデジタル化を急ぐ

イスラム過激派組織「イスラミックステート(IS/ダーイシュ)」の脅威から本や公文書を守るため、イラク・バグダッドの国立図書館が本や公文書のデジタル化を急いでいると報じられています。

図書館の本をデジタル化する計画は、2月にISISがイラク第2の都市モスルで図書館を襲撃し、およそ10万点の書物や文書を燃やしたという報道を機に始まったとのことです。

イラク ISISに狙われる図書館(ニューズウィーク日本版, 2015/8/5)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2015/08/post-3825_1.php

Baghdad digitizes national library in face of Islamic State threat
(The Japan Times,2015/8/5)
http://www.japantimes.co.jp/news/2015/08/05/world/baghdad-digitizes-national-library-face-islamic-state-threat/#.VcKyQ6yp3fM

参考:
イスラム過激派組織「イスラミックステート(IS/ダーイシュ)」から奪回した歴史的遺物・発掘品がイラク政府に返還される
Posted 2015年7月28日

イスラム過激派組織「イスラミックステート(IS/ダーイシュ)」から奪回した歴史的遺物・発掘品がイラク政府に返還される

2015年7月15日、在イラク米国大使館は、イスラム過激派組織「イスラミックステート(IS/ダーイシュ)」から奪回した歴史的遺物・発掘品700点をイラク政府に返還したことを発表しました。

今回返還されたのはイラク等の遺跡や博物館から強奪されたと見られる歴史的遺物や発掘品、近現代の展示品等で、半数以上を金貨・銀貨・銅貨が占めるほか、古文書も含まれていました。これらは2015年5月15日に米軍特殊部隊がシリア東部で実施した、イスラミックステート(IS/ダーイシュ)の幹部Abu Sayyaf氏捕獲作戦の中で奪回されたものです。

The United States Repatriates Cultural Heritage Objects and Fragments to the Government of Iraq(Embassy of the United States Baghdad, Iraq、2015/7/15付け)
http://iraq.usembassy.gov/pr071515.html

ISIL Leader’s Loot(Bureau of Educational and Cultural Affairs)

イスラム過激派組織「イスラミックステート(IS/ダーイシュ)」 イラクの文化財を破壊か

イスラム過激派組織「イスラミックステート(IS/ダーイシュ/イスラム国)」が、イラク北部の文化財を破壊する映像を公開したと、2月27日付の報道各紙が一斉に報じています。

また、これに関しUNESCOのボコバ(Irina Bokova)事務局長は、「イラクの数千年に及ぶ歴史と文化に対する計画的な攻撃であり、暴力と憎悪を扇動するものとして強く非難する」との声明を発表しています。

IS:イラク・モスル博物館で彫像破壊の映像公開(毎日新聞, 2015/2/27付の記事)
http://mainichi.jp/select/news/20150227k0000e030196000c.html

メソポタミア文明の遺産を次々と破壊 黒服の男がハンマーや電気ドリルで粉々に 「イスラム国」が映像公開(産経ニュース, 2015/2/27)
http://www.sankei.com/world/news/150227/wor1502270011-n1.html

ISIS、博物館の彫像を破壊 イラク(CNN.co.jp, 2015/2/27付の記事)
http://www.cnn.co.jp/world/35061060.html

「イスラム国」、イラクで古代の石像を破壊 動画公開(AFPBB News, 2015/2/27付の記事)

イスラム国を自称する武装集団、モスルの図書館を攻撃(イラク)

イラクとシリアの一部を実効支配し「イスラム国」を自称する武装集団が2015年1月上旬、イラク北部最大の都市モスルの中央図書館を攻撃したことが報じられています。アラーの教えに反すると武装集団が考える図書を持ち去ることが目的で、児童書や詩集、哲学書、医学書など約2,000冊がトラックで持ち去られたとのことです。また、モスル中央図書館襲撃の後日にはモスル大学の図書館も襲撃され、科学書など数百冊が学生の目の前で火にくべられたとされています。

モスルでは2003年のイラク戦争の際にも図書館が襲撃されましたが、その際には住人が貴重な古文書を自宅に隠す等して戦火から守っていました。しかし今回、武装集団は本を隠した住民は殺害すると述べています。

Iraqi Libraries Ransacked by Islamic State Group in Mosul(ABC News、2015/1/31付け)
http://abcnews.go.com/International/wireStory/iraqi-libraries-ransacked-islamic-state-group-mosul-28623425

イスラム国は図書館の本を焼いた【焚書】(The Huffington Post、2015/1/31付け)

中国・アラブ諸国国立図書館長フォーラムが中国国家図書館で開催

2014年10月13日、中国・アラブ諸国国立図書館長フォーラムが中国国家図書館で開催されたとのことです。中国から文化部副部長と中国国家図書館長が、エジプト、イラク、オマーン、チュニジア、アルジェリア、レバノン、スーダン、モロッコ、イエメン等から国立図書館長や専門家等10余名が参加したとのことです。

中国・アラブ諸国協力フォーラム創立10周年を記念して北京で開催された第3回アラブ芸術祭の一環として開催されたものとのことです。

中国国家図書館長からは、文献資源の共同利用、古典籍の保護、中国・アラブデジタルライブラリの構築等を含む協力内容が提案され、こうした協力内容を盛り込んだ声明が採択されたとのことです。

中国阿拉伯国家图书馆馆长论坛在中国国家图书馆举行(中国国家図書館)
http://www.nlc.gov.cn/dsb_zx/gtxw/201410/t20141014_91003.htm

イラクにおける文化財の危機 図書館蔵書の焚書も(記事紹介)

米国の非営利組織SAFE/Saving Antiquities for Everyoneのウェブサイトに、2014年7月18日にワシントンで開催された公開パネル“The Implications of the Current Fighting for Iraq’s Cultural Heritage”のレポートが掲載されています。このパネルはイラク文化センター (ICC)、イラク文化省(IMC)、The American Academic Research Institute in Iraq(TAARII)の共催で行われたものです。

パネルではイスラム過激派支配地域における文化財等の被害状況について冒頭で報告されており、図書館に関しても、ディヤーラー県の図書館蔵書1,500冊が焚書にあったとされています。

What can you do? Sharing knowledge about Iraq’s vanishing cultural heritage(SAFE/Saving Antiquities for Everyone、2014/7/20付け)
http://www.savingantiquities.org/can-sharing-knowledge-panel-discussion-iraqs-vanishing-cultures/

参考:

ブルーシールド、イラクの文化財保護に関する声明を公表

国際図書館連盟(IFLA)のウェブサイトで、ブルーシールドによる、イラクの文化財保護に関する声明が公表されています。すべての武装勢力に対して、イラクの固有の歴史の証しを将来世代のために保護していくよう、国際法を守り、責任ある行動をとることを求めています。

Blue Shield Statement on Iraq(IFLA, 2014/7/8付け)
http://www.ifla.org/node/8745

イスラム過激派、支配地域から多数の貴重書持ち出しか(イラク)

2014年6月22日付けのアッシャルクル・アウサト紙オンライン版で、イスラム過激派「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)が支配するイラク北部・モスルの複数の図書館から、多数の貴重書等がトルコへ持ち出されている可能性が報じられています。

これはイラク当局がアッシャクル・アウサト紙に示した見解によれば、これらの貴重書の中にはアッバース朝時代のコーラン等が含まれているとのことです。

イラク観光省は同国の文化財や遺跡を保護するための早急な手助けを、国際機関等に対して求めているとのことです。また、UNESCOも危機感を示していることが報じられています。

Iraq authorities: Rare manuscripts smuggled out of Mosul(Asharq Al-Awsat、2014/6/22付け)
http://www.aawsat.net/2014/06/article55333503

参考:
イラク戦争下の資料救出とその後の復興(記事紹介)
Posted 2013年3月18日
http://current.ndl.go.jp/node/23105

E608 - 館長の日記に綴られるイラク国立図書館・文書館の現状 カレントアウェアネス-E No.101 2007.02.28

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