学術情報流通

英国物理学会出版局(IOP Publishing)、Clarivate Analytics社のPublons・ScholarOneとのパートナーシップ締結を発表

2019年7月16日、英国物理学会出版局(IOP Publishing)と査読登録サービスPublons・オンライン投稿・査読システムScholarOneを提供するClarivate Analytics社が共同で、査読の透明化導入のためのパートナーシップを締結したことを発表しました。

2019年中に、IOP Publishingが発行する“JPhys Materials”、“Journal of Neural Engineering”、“Environmental Research Letters”で透明化された査読サービスが実施される予定です。

新たに実施予定のワークフローでは、査読者のレポート、エディタの決定、著者の回答など、包括的な査読履歴へのアクセスが保証され、これらの各要素にはDOIが付与されるため参照や引用が容易になることが紹介されています。

PublonsのManaging DirectorであるAndrew Preston氏は、学会系の出版社としては初めてIOP Publishingとパートナーシップ締結できたことをとても喜ばしく思っている、とコメントしています。

オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)、JAIRO Cloudメタデータ自動入力機能検証プロジェクトの報告書を公開

2019年7月17日、オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)は、2018年度に行ったJAIRO Cloudメタデータ自動入力機能検証プロジェクトの報告書の公開を発表しました。

同プロジェクトは、外部データベースから論文メタデータを自動的に機関リポジトリに取り込む仕組みについて、コンテンツ登録の負担軽減など、リポジトリ業務ワークフローの一部としての有効性を検証する目的で行われたものです。JPCOARの研究者情報連携タスクフォース、及びClarivate Analytics社のデータベースWeb of Science(WoS)を契約し機関リポジトリにJAIRO Cloudを使用する国内9大学が同プロジェクトを構成しています。2018年9月から、国立情報学研究所(NII)とClarivate Analytics社の協力の下、WoSのメタデータを機関リポジトリに自動登録の形で取り込み、各機関は登録されたメタデータを基に研究者へ学術論文の登録を促す、という形で実証実験が実施されました。

公開された報告書では、実証実験の仕組み、参加機関による実証実験の評価、システム・ワークフローに関する各参加機関の評価のまとめ等が示されています。

cOAlition S、業務計画と優先取組事項を発表

2019年6月27日、cOAlition Sが、業務計画と優先取組事項を発表していました。今後数か月間に行う優先取組事項として以下の9点を挙げています。

1.研究助成機関及びその他のステークホルダーに対してPlan Sを推奨する役割を担うオープンアクセスチャンピオン(Open Access Champion)を指名すること

2.cOAlition Sの事務局を設立するとともに、業務推進のために予算を策定すること

3.互いの識見を共有し、Plan Sの実施における課題に取り組むために、cOAlition Sの既存メンバーによる会議を開催すること

4.オープンアクセスの長期的未来へのビジョンを明確化するために協力すること

5.研究および学術コミュニケーションのエコシステムでのPlan Sの影響を監視する枠組みの開発のため、タスクフォースを設置すること

6.Plan Sにおける遵守が難しい箇所の特定、これらの問題に対処する方法の検討、そして研究者がどのようにPlan Sと連携できるかに関する信頼性の高い情報の提供を行うために、タスクフォースを設置すること

英国国立・大学図書館協会(SCONUL)、年次統計を基に英国の研究支援活動における図書館の役割を分析した結果を発表

2019年7月15日、英国国立・大学図書館協会(SCONUL)が、2017年-2018年度の年次統計の公表とあわせ、その分析結果である“Research support offered by UK academic libraries”を発表しました。

同分析は、オープンアクセス(OA)・研究データ管理(RDM)・デジタルリテラシー講習・ジャーナルの購読契約・ILLなど、英国の研究支援活動における図書館の役割に焦点をあてたものです。

主な知見として、

・英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)の会員館や創立年が古い大学は、新しい大学と比較して、職員の勤務時間全体で、5%以上研究支援に費やす傾向がある。

・回答のあったSCONULの会員館の4分の3が機関リポジトリを所管しており、同じく回答のあったうちの半数が、RDMに関して少なくとも一部の責任が図書館にあることを示した。

・ジャーナルの提供は増加しており、その結果、ILLに関する図書館への依存度は低下しているように見え、SCONULの会員館全体の平均の申し込み件数は10年前と比べて56%減少している

をあげ、図書館が学術界を支援できるように多様化し続けていることを指摘しています。

ラテンアメリカとPlan S(文献紹介)

2019年7月11日、PeerJ Preprintsにおいて、ラテンアメリカ諸国における学術情報流通・オープンアクセス(OA)の現状からPlan Sの問題点を論じる文献” Plan S in Latin America: A precautionary note”が公開されました。著者はアルゼンチンの研究者、Humberto Debat氏とDominique Babini氏です。

Plan Sにはすでにラテンアメリカからもアルゼンチンが参加を表明しているとのことですが、今回発表されたプレプリントではラテンアメリカ諸国のPlan Sへの参加は時期尚早であるとしています。具体的な問題点として、現在のPlan Sガイドラインでは「コストと価格の透明性」に関する実際の扱いがどうなるかが不明であり、cOAlitonsにおいて妥当と認められたAPCの金額が北側諸国にとってはそうでも、ラテンアメリカにとっては大きな負担となる可能性や、仮に発展途上国には配慮がなされるとしても、ラテンアメリカがその対象になるかもわからないとしています。全体として、Plan Sの目的には賛同するとしつつ、特権的な一部の機関が国際的な学術出版の将来像を展望し、導くという姿勢に異を唱えています。

Springer Nature社とResearchGate、一部の同社雑誌掲載記事の全文をResearchGate上で公開する試行プログラムについて延長を発表

2019年7月11日、Springer Nature社と研究者向けのSNS・ResearchGateは、2019年3月に開始した一部の同社雑誌掲載記事の全文をResearchGateの研究者個人のプロフィール画面上で公開し、閲覧・ダウンロード可能にする試行プログラムについて、延長を発表しました。

延長された試行プログラムの第2フェーズでは、Springerのジャーナルの一部も公開対象に加わり、ResearchGateのプラットフォーム全体では従来の4倍のSpringer Nature社の記事が公開されることになります。

試行プログラムの第1フェーズ中にResearchGateの利用者700人以上に対して行われた調査では、97%がこの試行プログラムについて肯定的な反応を返し、96%がResearchGate上にNatureのジャーナルの全文記事が掲載されたことに満足していると回答するなど、非常に肯定的に受け止められており、試行プログラムの継続はこの結果を受けて行われました。

GreyNet、灰色文献国際会議の会議論文をオープンアクセスで公開したと発表

2019年7月10日、灰色文献に関する国際的なネットワークGreyNet(Grey Literature Network Service)が、イタリアの国立研究議会情報科学技術研究所(ISTI-CNR)と共同で、灰色文献国際会議の第1回から第20回までの会議論文(conference paper)約400点をオープンアクセスで公開したと発表しています。

各々の論文は、システムが生成した引用とともに豊富なメタデータをともなっており、最新5回分の論文にはDataCiteによるDOIが付与されています。残りの論文についても今後DOIを付与するとしています。

Now Online - The Largest Collection of Conference Papers in the Field of Grey Literature(GreyNet,2019/7/10)
http://greyguide.isti.cnr.it/index.php/homepage/124-greyguiderepository

国立大学図書館協会学術情報システム委員会、「これからの学術情報システムに向けてII―アクションプラン検討のための試案に関するレポート―」を公開

2019年7月9日、国立大学図書館協会(JANUL)学術情報システム委員会は、「これからの学術情報システムに向けてII―アクションプラン検討のための試案に関するレポート―」の公開を発表しました。

2018年6月に同委員会が公開した「これからの学術情報システムに向けて―現状・課題・当面の方向性に関するレポート―」が、学術情報システム全体を俯瞰する現状の「見取り図」として作成されたのに対し、今回のレポートは、その現状改善のための具体的なアクションプランを検討するための資料として、解決策の試案を取りまとめたものとなっています。

レポート冒頭の「趣旨」によれば、想定されるアクションプランを前レポートで示した7 つのテーマ(統合的検索システム、印刷体コレクションとメタデータ、ILLサービス、電子リソースとメタデータ、オープンアクセス、オープンデータ、デジタルアーカイブ)に分けて整理しており、全体で 21 のアクションプランを提示しているとあります。

米・カリフォルニア大学、Elsevier社の新規発行論文等へのアクセスが遮断される

2019年7月10日、米・カリフォルニア大学バークレー校は、同日付でカリフォルニア大学からElsevier社の新規発行論文等への直接のアクセスができなくなったことを発表しました。

カリフォルニア大学からElsevier社の雑誌へのアクセスは、2019年2月28日に発表された購読契約の停止後も維持されていましたが、同日付でアクセス遮断が実施されました。

カリフォルニア大学バークレー校図書館は、構成員向けに購読契約停止後のElsevier社発行論文へのアクセス方法を案内する“How to access Elsevier articles”をウェブサイト内に設け、

・ScienceDirectでは2019年以降に新たにElsevier社の雑誌で発行された論文へのアクセスができないこと
・購読契約停止後もScienceDirect上で、過去の発行済論文へのアクセスが引き続き維持される雑誌タイトルと収録範囲を示したExcel形式のリスト
・購読契約停止によりScienceDirect上で、過去の発行済論文へのアクセスが不可能になる雑誌タイトルと収録範囲を示したExcel形式のリスト
・Scopus等を含むElsevier社の電子書籍・データベースに購読契約停止の影響は及ばないこと

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