学術情報流通

E2160 - オープン・サイテーションと機関リポジトリの展開<報告>

2019年5月20日,京都大学図書館機構は,2019年度京都大学図書館機構講演会「オープン・サイテーションと機関リポジトリの展開」を開催した。71人の大学図書館職員,研究者,リサーチ・アドミニストレーター(URA)等が参加した。講演会の目的は2点ある。1点目は,学術出版物のオープン・サイテーション(引用データのオープン化)を推進する国際的なイニシアティブとして,2017年4月に設立されたI4OC(Initiative for Open Citations)の取り組みを紹介することで,オープン・サイテーションの概念を日本に導入することである。2点目は,日本でのオープン・サイテーションの実現について検討することである。本稿では講演の内容を紹介する。なお,講演資料は京都大学学術情報リポジトリで公開されている。

E2159 - ジャーナルプラットフォームの連合体“GLOALL”の結成

ユネスコが提唱する“Inclusive Knowledge Societies”という概念がある。全ての人々は,各々に合った言語や形式により,情報やコミュニケーション手段にアクセスすることが可能で,またそれらを解釈し活用するためのスキルを備えている,という状態を指し,ユネスコはそのような社会の実現を目指さなければならないとしている。科学技術・学術情報の流通も,この概念で言うところの「情報」及び「コミュニケーション手段」に含まれると考えられるが,現在の学術ジャーナルを巡る情勢は,いわゆるオープンアクセス(OA)に関する議論を踏まえても,理想的な状態からは程遠いと言わざるを得ない。特に2018年に欧州の助成機関が発表した,公的助成による研究の成果論文の即時OAを義務化する計画である“Plan S”と,それに関して世界的に展開された激しい議論は,立場による見解の相違はあるものの,科学技術・学術情報流通が多くの問題を抱えた状態にあることの明確な証左として共通認識されたのではないだろうか。

株式会社ジー・サーチ、2019年8月30日から企業・大学・研究機関を対象とした産学官連携の研究パートナー探索サービス「JDream Expert Finder」を提供開始

2019年7月22日、株式会社ジー・サーチは、2019年8月30日から企業・大学・研究機関を対象とした産学官連携の研究パートナー探索サービス「JDream Expert Finder」の提供を開始することを発表しました。

「JDream Expert Finder」は、日本最大級の科学技術文献情報提供サービス「JDreamⅢ」に収録された3,800万件以上の論文・学会発表情報を複雑ネットワークの理論に基づいて解析し、課題解決に最適な研究パートナーの探索を実現するサービスです。人工知能(AI)により、論文には明記されない課題解決力等の研究者の特徴を抽出し、最適な研究者探索を提供するという特長があります。産学官連携プロジェクト「ライフ インテリジェンス コンソーシアム(LINC)」との共同研究の成果である、「将来パートナーとして期待される研究者の探索」機能も搭載されます。

ジー・サーチはこのサービスのリリースに合わせて、産業競争力の加速をテーマに特別セミナー「ビッグデータの利活用によるオープンイノベーション戦略」を2019年9月に開催することも併せて発表しています。

オープンアクセス誌eLife、開発中のオープンソース出版プラットフォーム”Libero Publisher”のデモを公開

2019年7月18日、オープンアクセス誌eLifeが、開発中のオープンソース出版プラットフォーム、”Libero Publisher”のデモサイトを公開しました。

同ツールはeLifeがCollaborative Knowledge FoundationやHindawi等と協力して開発を進めているもので、論文の公開・検索等のプラットフォームとなるものです。今回公開されたデモサイトでは、本文のほかに図や参考文献、著者情報等も含む基本的な公開論文ページのイメージや、目次ページのイメージが掲載されています。今後、新機能のイメージも追加されていく予定とのことです。

eLifeではそのほかに投稿・査読の工程を管理する”Libero Reviewer”、採択決定後の校正や版面作成を行う” Libero Producer”、出版データから戦略立案等のマーケティングにかかわる情報を得るための”Libero Data Hub”といった一連のツールの開発も進められています。

arXiv、改訂されたPlan S準拠のための技術的な考慮事項を表明

2019年7月18日、米・コーネル大学が運営するプレプリントサーバarXivのブログarXiv.orgに、2019年5月31日に改訂された「Plan S原則」、「Plan Sの実現にかかる手引き」に基づいて、Plan S準拠のためのarXivにおける技術的な考慮事項に関する記事が投稿されました。

arXivは記事の中で、改訂版「Plan Sの実現にかかる手引き」はより内容が明確で達成可能なものになったと評価し、改訂版の手引きで示された「OAリポジトリの要件(Part III Section 2.1 (Requirements for Open Access repositories))」に基づき、技術的な考慮事項を次のように表明しています。

・必須要件(Mandatory criteria)について、arXivはほぼ全て達成しているが、資金調達情報を信頼でき、かつ維持可能な形で追跡できる機能を欠いており、これを達成するツール開発の援助を外部の組織や個人に求めている。

Google Scholar、学術雑誌のインパクト指標を2019年版に更新

2019年7月19日、Google Scholarは学術雑誌のインパクト指標を提供するサービス“Google Scholar Metrics”の値を2019年版に更新しました。

2019年版では、Googleのガイドラインに準拠したウェブサイト掲載の雑誌論文及び工学・コンピューター科学の分野での選択された会議論文を対象に、2014年から2018年の5年間の掲載論文数と被引用数に基づいた値が提供されています。

2019 Scholar Metrics Released(Google Scholar Blog,2019/7/19)
https://scholar.googleblog.com/2019/07/2019-scholar-metrics-released.html

フルテキスト文献へのアクセスを支援するブラウザ拡張機能6種類の比較(記事紹介)

シンガポール経営大学(SMU)図書館に所属するAaron Tay氏によるブログ“Musings about librarianship”の2019年7月3日付記事で、フルテキスト文献へのアクセスを支援するブラウザ拡張機能6種類の比較が紹介されています。

記事内で比較対象となっているのは、オープンアクセス(OA)文献、及び機関購読によりフルテキストが利用可能な文献へのアクセス支援の機能を持つ以下の6種類のブラウザ拡張機能です。

・Lazy Scholar (インディアナ大学のColby Vorland氏が提供・無料)
・Google Scholar Button (Googleが提供・無料)
・Lean Library (Sage社傘下のLean Libraryが提供・定額制)
・Kopernio (Clarivate Analytics社傘下のKopernioが提供・無料だが高機能版のKopernio
Premiumは有料)
・Anywhere Access (Digital Science社が提供・定額制)
・Libkey Nomad (Third Iron社社が提供・定額制)

スウェーデン・Bibsamコンソーシアム、Wiley社とオープンアクセス(OA)出版等に関する契約締結に向けて今後の交渉の指針となる共通原則を定めた覚書に署名

2019年7月12日、スウェーデン・Bibsamコンソーシアムを代表してライセンス契約の交渉を行っているスウェーデン王立図書館(NLS)は、Wiley社とオープンアクセス(OA)出版等に関する契約締結に向けて今後の交渉の指針となる共通原則を定めた覚書(Memorandum of Understanding)に署名したことを発表しました。

覚書では、BibsamコンソーシアムとWiley社が、購読だけでなくOA出版に関する内容を含んだ契約形成に向けて取り組むことが示されています。また、両者は即時OA化への転換を加速することに協力して取り組むことにも合意しています。

BibsamコンソーシアムとWiley社は、覚書で示された共通原則等を反映し2020年1月1日が契約開始日となる新契約に2019年中に合意することを目指しています。

データリポジトリDryadとZenodoがパートナーシップ締結を発表

2019年7月17日、データリポジトリDryadとZenodoが共同してパートナーシップの締結を発表しました。Dryadはデータのキュレーションとデータ公開に関する代表的なリポジトリで、過去10年特に研究データに焦点を当てて活動しています。Zenodoは欧州原子核研究機構(CERN)とOpenAIREが開発した研究成果共有のためのリポジトリです。

両者は提携の背景として、論文以外の研究成果物の保存場所が散逸し不適切に取り扱われている等の現状を挙げ、こうした問題を解決し、オープンな研究で得られたベストプラクティスをより一貫した形で研究者へ提供することを提携の目的としています。

また、この提携を活性化させるため、米国のスローン財団(Alfred P. Sloan Foundation)から、研究者や出版社のワークフロー、データ・ソフトウェア管理のベストプラクティスの支援に重点を置く新しいソリューションを共同開発するための助成金を受けたことも発表されました。

米・Educopia Institute等による図書館出版の学術雑誌の出版ワークフロー調査プロジェクトが米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)から研究助成を獲得

2019年7月2日、米国のMLAおよびその他の文化資源保存機関の連携促進を目的とする非営利組織Educopia Instituteは、図書館による出版活動を進める大学図書館のイニシアティブ“Library Publishing Coalition”(LPC)、及び提携12大学図書館と実施を予定している、図書館出版の学術雑誌の出版ワークフロー調査プロジェクトが米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)から研究助成を獲得したと発表しています。

IMLSのウェブサイトで公開されたプロジェクトの概要によると、図書館出版による学術雑誌はワークフローが多様で、アグリゲータへのメタデータ提供等の重要事項の省略が頻繁に発生していることを背景に、様々な図書館出版の学術雑誌の出版ワークフローの調査等を行うことで、他の図書館でも適用可能なワークフローのモデル化を企図している、とされています。

プロジェクトは2019年8月1日に正式に開始し、LPCのウェブサイト上で定期的なブログの更新が行われるなどの形で情報提供される予定です。

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