学術情報流通

Springerが1つの雑誌に掲載された論文107本について、査読不正を理由に撤回

2017年4月20日、Springer社はがん研究分野の雑誌”Tumor Biology”に掲載された論文107本について、査読の過程において不正が行われたと考えるに足る十分な証拠が得られたとして、撤回することを発表しました。論文撤回監視サイトRetraction Watchが詳細を報じています。

Retraction Watchによれば、Springerは今回撤回された論文について、実在する研究者の名前を騙り、偽のメールアドレスを用いて査読を通過していた確かな証拠を得ているとのことです。また、撤回された論文の中には外部の編集サービスを用いているものもあったとのことです。

なお、”Tumor Biology”誌は2016年でSpringerとの契約を終え、現在はSAGEから刊行されています。SAGEの担当者も査読不正については以前から把握しており、査読体制の見直し等を行っているとのことです。

トップ出版者はAPCをどれくらいに設定しているのか?(記事紹介)

オープンアクセス出版者De Gruyter OpenのブログOpen Scienceに、2017年4月20日付けで主要な出版者の発行するOA雑誌において、APC(論文処理加工料)がどのくらいに設定されているかをまとめた記事”How Much Do Top Publishers Charge for Open Access?”が掲載されています。

同記事によれば、主要出版者でOA雑誌におけるAPCの平均が最も高いのはPLOSで、次いでWiley、BioMed Central(Springerとは分けて集計)、Elsevierといった順になっているとのことですが、平均ではなく雑誌ごとのAPCの分布を見ると出版者ごとにそれぞれ異なる傾向があるとのことです。

How Much Do Top Publishers Charge for Open Access?(Open Science、2017/4/20付け)
http://openscience.com/how-much-do-top-publishers-charge-for-open-access/

米国情報標準化機構、“STS: Standards Tag Suite”のドラフト版(NISO Z39.102-201x)を公開

2017年4月24日、米国情報標準化機構(NISO)は“STS: Standards Tag Suite”のドラフト版(NISO Z39.102-201x)を公開し、5月24日までパブリックコメントを求めています。

フルテキストや標準メタデータの出版・交換のための、共通のXMLフォーマットを規定するもので、DTD(文書型定義)が数種類あることが、標準間の相互運用性を妨げ、組織間の協力を阻害しているという認識のもと、“Journal Article Tag Suite(JATS)”(ANSI/NISO Z39.96-2015)をベースに作成されたものです。

ドラフト版へのコメントに対応をした後、2017年の秋に公表される予定です。

【イベント】学術情報メディアセンターセミナー 「研究データマネジメントの理想と現実」(5/26・京都)

2017年5月26日、京都大学学術情報メディアセンター南館において、同センター主催のセミナー「研究データマネジメントの理想と現実」が開催されます。

このセミナーでは国立情報学研究所オープンサイエンス基盤研究センター准教授の山地一禎氏による講演「オープンサイエンスや研究公正対策に向けた新しい学術情報インフラ」と、京都大学理学研究科附属地磁気世界資料解析センター助教の能勢正仁氏による講演「太陽地球系科学分野における研究データマネジメントの一実践例と現状の課題」を通じ、研究データマネジメントに対する現状の認識を深めるとともに、あるべき将来像を展望するとのことです。

京都大学の教職員、学生に限らず一般の参加も可能で、事前の申し込みは不要とのことです。

【イベント】国立情報学研究所「学術情報基盤オープンフォーラム2017」(6/7-9・東京)、「オープンハウス2017」(6/9-10・東京)

2017年6月7日から9日まで、東京都千代田区の学術総合センターで、国立情報学研究所(NII)による「学術情報基盤オープンフォーラム2017」が開催されます。
 
プログラムでは、「認証(学認)」「クラウド」「リポジトリ」「コンテンツ」「SINET5」「研究データ」「セキュリティ」の7種の分野にわたる計12のセッションが予定されています。
 
また、フォーラムに続き、6月9日から10日まで、同会場で「オープンハウス2017」が開催されます。

基調講演や、NIIが構築・運用する情報通信ネットワーク「SINET」の活用に関する「SINETアイデアソン」、NIIの研究者10名が計100件の研究を発表する「NII研究100連発」、小学生向けのワークショップ、デモ・ポスター展示などが行われます。
 
学術情報基盤オープンフォーラム2017(NII)
http://www.nii.ac.jp/csi/openforum2017/

Scientific Reports誌が出版論文数でPLOS ONEを逆転(記事紹介)

学術出版系ブログ“The Scholarly Kitchen”の2017年4月6日付けの記事で、2017年最初の四半期において、オープンアクセス(OA)雑誌Scientific Reports誌が出版論文数でPLOS ONEを逆転し、PLOS ONEが長く保ち続けてきた出版論文数世界一位から陥落したと報じられています。著者はPhil Davis氏です。

同記事によれば、2017年第一四半期のPLOS ONEの出版論文数は5,541本であったのに対し、Scientific Reports誌は6,214本でした。PLOS ONEは非営利団体PLOSが2006年位創刊した、いわゆるOAメガジャーナルの走りと言える雑誌でしたが、近年出版論文数が減少していました。その理由としては採択率の低下(却下割合の増加)の他に投稿論文数自体の減少もあり、さらに投稿論文数減少の理由としては、Scientific Reportsのような他のOAメガジャーナルが増えたことがあるとDavis氏は述べています。

引用データのオープン化を推進するイニシアティブI4OC立ち上げ

2017年4月6日、学術出版物の引用データのオープン化を推進するイニシアティブ、Initiative for Open Citations(I4OC)の立ち上げが発表されました。

このイニシアティブはOpenCitations、Wikimedia財団、PLOS等の6団体が創設したものです。学術文献間の引用は文献間のつながりを示したり、科学的貢献の認定や研究評価等に関わる重要なデータですが、一般に自由にアクセスできるデータとはなっておらず、複雑なライセンスにより保護され、また機械可読な形式にもなっていませんでした。I4OCの目的は構造化された、分離可能な(引用文献リストの掲載された雑誌記事等にアクセスせず、直接分析可能な)、オープンな形での引用データの利用可能性を高めることにあります。

立ち上げ段階で既にSpringer Nature、Taylor & Francis、Wileyをはじめとする多数の出版者がI4OCへの参加を表明しており、CrossRefのAPIを通じてこれらの出版者の引用データは自由に利用できるようになるとのことです。I4OC開始以前に同様の形で公開されていた引用データはCrossRef中の1%程度に過ぎなかったのに対し、開始後は40%に急増するとされています。

筑波大学、ORCIDメンバーに:日本で10機関目

筑波大学が2017年4月からORCIDメンバーに加わったことをORCIDが発表しています。

320万人以上のORCID登録者のうち、5万8,000人が日本からの登録で、また、日本の登録者の約4分の1はRU11の加盟大学に所属しているとのことです。

2017年4月19日には日本では初めてのメンバー機関ミーティングが予定されているとのことです。

CiNii、論文ダウンロード機能などのサービスを再開

2017年4月10日、国立情報学研究所(NII)は、一部を除いて、CiNii Articlesの論文ダウンロード機能などのサービスを再開しました。

学協会向け論文電子化・公開サービス(NII-ELS)の終了に伴い閲覧できなくなっていた論文のうち、

・2017年度以降にJ-STAGEへの移行作業が行われる予定の論文のうち、NII-ELSにおいて無料で公開されていた論文(181誌・約22万件)
・発行終了あるいは発行元の解散等の理由により移行作業が行われない論文(309誌・約88万件)

が現在ダウンロード可能となっています。

また、下記の論文については3月28日をもってダウンロード機能の提供を終了していますが、無料公開が可能な論文については経過措置としてダウンロード機能を提供するための準備を進めているとのことです。

・2017年度以降にJ-STAGEへの移行作業が行われる予定の論文のうち、NII-ELSにおいて有料または機関定額制で提供されていた論文
・NII-ELSの終了にともない、独自ウェブサイトあるいは他の論文公開サービスでの公開等の意向を表明した学協会が発行する論文
・NII-ELSの終了にともなう対応方針が未定の学協会が発行する論文

ORCID, Inc.、2016年の年次報告書を公開

2017年4月3日、ORCID, Inc.が2016年の年次報告書を公開しました。

ブログ記事において、

・165の新しいメンバー機関の加入、8つの新しい国/地域のコンソーシアムの結成。

・300を超すORCID統合の実現。

・APIとレジストリの99.9%の稼働と、質問の93%の24時間以内での回答。

・ワークショップ14回、アウトリーチミーティング2回、世界中の会議における60を超す発表の実施。

などの昨年の活動を紹介しています。

Measuring Progress: ORCID 2016 Annual Report(ORCID,2017/4/3)
https://orcid.org/blog/2017/04/03/measuring-progress-orcid-2016-annual-report

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