学術情報流通

出版社向けのデータポリシー実装のための実践的な助言(記事紹介)

2019年7月26日、オープンアクセス学術出版協会(OASPA)は、出版社向けにデータポリシー実装のための実践的な助言を紹介したブログ記事“Implementing a data policy: a how-to guide for publishers”を公開しました。

同記事はデータリポジトリDryadのBoard of DirectorsであるFiona Murphy氏らにより執筆されています。近年、オープンデータやデータの“FAIRness”に関して、様々な国際的なイニシアチブや出版社がポリシー、プロトコル等を展開していることを背景に、こうしたリソースから得られた出版社向けの実践的な助言を行うという内容です。

記事では以下の6点がデータポリシー実装に当たって実践的な方法として挙げられています。

オランダの科学技術情報ゲートウェイ“NARCIS”、公開されているオープンアクセス(OA)の学術出版物が70万点に

2019年8月1日、オランダの学術情報の収集・提供機関であるData Archiving and Networked Services(DANS)は、運営する科学技術情報ゲートウェイ“NARCIS”で公開されているオープンアクセス(OA)の学術出版物が70万点となったと発表しています。

内訳は、論文28万7,000点、報告書14万点、学位論文8万2,000点以上、会議論文2万9,000点、本の一部が2万1,000点等となっています。出版物は、オランダの大学及びオランダ科学研究機構(NWO)、オランダ王立芸術科学アカデミー (KNAW)、オランダ文化遺産局(RCE)といった研究機関37機関からのものです。

その他、OAでないものの125万点以上の学術出版物の要旨に加え、15のデータアーカイブ由来の23万点のデータセット、7万点の研究概要、6万1,000人の研究者・3,000の研究機関の概要も調べることができます。

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)、研究をアップロード、共有、推進するための共同プラットフォーム“Cambridge Open Engage”を発表

2019年7月29日、英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)は、研究をアップロード、共有、推進するための共同プラットフォーム“Cambridge Open Engage”を発表しました。

“Cambridge Open Engage”は、プレプリント、抄録、会議のプロシーディングやポスター、灰色文献、オープンデータなど、研究成果を早期の段階で公開、共有するためのプラットフォームです。最初の大きな契約先として米国政治学会(APSA)が挙げられており、APSAのプレプリントサービス“APSA Preprints”が同プラットフォームを利用することが紹介されています。

英・Jisc、3つの新しい図書館サービスを開始:コレクション管理や発見可能性の改善を支援

2019年7月22日、英・Jiscは、コレクション管理や発見可能性の改善を支援する3つの新しい図書館サービス“Library hub discover”、“library hub compare”、“library hub cataloguing”を2019年7月31日から開始することを発表しています。

“Library hub discover”は図書館の所蔵資料を横断検索できるサービスです。Jiscが構築に携わった“national bibliographic knowledgebase” (NBK)のデータに基づいて、英国の学術、国立、専門図書館の利用可能なメタデータを最も幅広く収録しているとあり、サービス開始時点で100以上の図書館の所蔵が検索できるほか、今後も増加する予定とあります。

また、 “library hub compare”と“library hub cataloguing”はOCLCとのパートナーシップを通じて開発されたサービスであり、各ウェブサイト上での説明によれば、前者は自館のコレクション分析やNBKに所蔵情報を提供している館とのコレクションの比較ができるサービス、後者はMARCレコードを検索、ダウンロードできるサービスとなっています。利用に際しログインが必要となっており、限られた範囲の機関のみ利用可能です。

ニュージーランドの考古学関係の報告書を搭載する“Archaeological Reports Digital Library”がリニューアル

2019年7月30日、ニュージーランドの遺跡や歴史的建造物の保護を担当するクラウン・エンティティ(クラウン・エンティティ法に基づく国家機関)であるHeritage New Zealandが、“Archaeological Reports Digital Library”のリニューアル公開を発表しました。

“Archaeological Reports Digital Library”には、1950年代以降の考古学関係の報告書7,500点が搭載され、随時追加されています。

今回のリニューアルにより、地理情報・発行年・著者等でフィルタリンクできるなど検索性能が向上したことに加え、これまで電子メールでの請求に応じて送信していたものが、直接報告書にアクセスしダウンロードできるようになりました。

Elsevier社、人工知能を用いたSTM分野の曖昧性除去技術等を提供するParity Computing社を買収

2019年7月29日、Elsevier社は、米国を拠点とし人工知能を用いたSTM分野の曖昧性除去技術等を提供するParity Computing社の買収を発表しました。

Elsevier社のデータベースへParity Computing社から曖昧性除去技術が提供されることにより、著者名、機関名や論文・助成金・特許の引用状況・帰属状況など、出版物に現れる実体や関係性の曖昧さが解消され、Scopusの分析・意思決定支援機能の基盤が支えられる、としています。両社は協調して、Parity Computing社の既存の機能を強化しながら統合を深め、Parity Computing社の持つ機能をElsevier社の研究プラットフォームへ広く拡大する予定です。

Parity Computing社の機械学習・自然言語処理等に長けたコアチームは、Scopus、SciVal等を支えるElsevier社の研究製品チームへ参加する予定です。

米国国立衛生研究所(NIH)、figshareと連携し、NIHから助成を受けた研究データを公開するリポジトリを開設

2019年7月23日、米国国立衛生研究所(NIH)は、figshareと連携し、研究データリポジトリを開設したと発表しています。

NIHはデータサイエンス戦略絵企画の一環として、NIHから助成を受けた研究成果のデータセットへのアクセス向上に取り組んでおり、今回開設されたものは、助成を受けた研究成果のうち、投稿する分野別のリポジトリが指定されていない研究データを試験的に保存することを目的としています。

試験事業では、研究データを同リポジトリに投稿すると、公開前に、同データやメタデータに個人情報が含まれていないかや、発見・アクセス可能で、総合運用性があり、二次利用が可能で、FAIR原則に従っているかについて確認されます。

その他、DOIやライセンスの付与、助成データとのリンク、エンバーゴの設定、Googleなどの検索エンジンでのインデックス化、利用評価指標といった機能も提供されます。

研究データ同盟(RDA)とオープンアクセスリポジトリ連合(COAR)、研究データ管理の国際的な進展のため協力することを発表

研究データ同盟(RDA)による2019年7月24日付けのニュースリリースにおいて、RDAとオープンアクセスリポジトリ連合(COAR)が、国際的なデータリポジトリコミュニティにおける研究データ管理の能力強化、拡大のため協力することに合意したと発表されています。

この合意の一部として、共通の関心に係る戦略的イニシアチブでのより緊密な協力や、互いの活動についての定期的な情報交換、共通目標の達成支援のためのウェビナーやイベントの共同開催を企図しているとしています。

RDA And COAR Collaborate To Progress Research Data Management Internationally(RDA, 2019/7/24)
https://www.rd-alliance.org/rda-and-coar-collaborate-progress-research-data-management-internationally

早稲田大学、米国物理学協会の出版部門(AIP Publishing)と試験的な“Read and Publish”契約を締結

米国物理学協会の出版部門(AIP Publishing)の2019年7月22日付のお知らせで、早稲田大学とAIP Publishingの試験的な“Read and Publish”契約締結が発表されています。早稲田大学はAIP Publishingの試験契約に参加するアジアで最初の学術機関となります。この試験契約は2019年中の出版物が対象となります。

試験契約に基づき、早稲田大学が現在購読するAIP Publishingのハイブリッドジャーナルにアクセプトされた論文について、同大学に所属する全ての著者は論文投稿料(APC)が免除されます。

英国学士院(The British Academy)、改訂されたPlan Sに対する懸念事項を表明

2019年7月23日、英国学士院(The British Academy)は改訂版Plan Sの解説を公開し、解説の中で改訂版Plan Sの内容に対する懸念事項を表明しています。

英国学士院は、改訂により効力発生が1年延期されたことやオープンアクセス(OA)出版物を提供するプラットフォームに要求される技術的仕様が緩和されたことなどについては評価していますが、効力発生までに残された18か月という期間はジャーナル出版の大勢を根本的に変更するには短すぎること、Plan Sの成功に不可欠なプラットフォーム開発がほとんど行われていないことを懸念事項として挙げています。

また、特に以下の3点についても問題点を指摘しています。
・キャリア初期の研究者等の研究助成金へのアクセスに不利な立場にある研究者へ与える影響
・改変を禁止したCC BY-NDライセンスを自動付与すべきであること
・ほとんどの研究が論文処理費用(APC)の助成を受けておらず、発行されるジャーナルの10分の9がハイブリッド型であるなど、自然科学系とは異なる人文社会科学系の状況が改訂前同様に軽視されていること

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