学術情報流通

わざと投稿された無意味な論文を受理してしまったOA誌の編集長辞任

Bentham Science社の発行するオープンアクセス誌The Open Information Science Journalに、研究者のPhilip Davis氏がソフトウェアで作成した無意味な論文をわざと投稿したところ受理されてしまったという事件に関して、同誌の編集長が辞任したと報じられています。また、オープンアクセス学術出版社協会(OASPA)は、倫理面での呼びかけを行っています。(なお、Bentham Science社はOASPAのメンバーではないとのことです。)

Fallout from the Hoax Article: Editor Resigns, OA Publishers Respond -- Library Journal, 6/15/2009
http://www.libraryjournal.com/article/CA6665489.html

Hoax Article Accepted by “Peer-Reviewed” OA Bentham Journal -- Library Journal, 6/11/2009
http://www.libraryjournal.com/article/CA6664637.html

(OASPAの声明)

NII、携帯電話向けCiNiiを公開

国立情報学研究所(NII)が2009年6月12日、携帯電話向けCiNiiを公開しています。

NII 論文情報ナビゲーター CiNii(携帯電話向け)
http://ci.nii.ac.jp/m/

携帯電話向けCiNiiを公開しました(2009年06月12日)
http://ci.nii.ac.jp/info/ja/index.html#20090612

携帯CiNiiの挑戦 - ヨネザアドの学びの杜・遊びの海(米澤誠の公式ブログ) - Yahoo!ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/bpxdx655/40861239.html

PEERプロジェクト、デポジット、セルフアーカイビングに関するガイドラインを発表

出版社、図書館、研究コミュニティの協同による、欧州における研究成果の出版・生態系を評価するPEERプロジェクトが2009年6月4日、出版社・リポジトリ管理者のためのデポジット、デポジット支援、セルフアーカイビングに関するガイドラインを発表しました。

D3.1 Guidelines for publishers and repository managers on deposit, assisted deposit and self-archiving
http://www.peerproject.eu/fileadmin/media/reports/D3_1_Guidelines_v8.3_20090528.Final.pdf

PEER: Publishing and the Ecology of European Research
http://www.peerproject.eu/

PEER publishes self-archiving guidelines - Information World Review
http://www.iwr.co.uk/information-world-review/news/2243609/peer-publishes-self-archiving

参考:

国際連合、世界初の授業料無料のオンライン大学を開校

国際連合が2009年5月19日、世界初の授業料無料のオンライン大学“University of the People”を開校しました。これは、イスラエルの慈善家の寄付のもと、入学希望者から少額の入学金(15~50ドル)と、試験受験料(10~100ドル)だけを徴収して経営するというもので、高等教育を受ける機会を拡大することが目的とされています。なお入学金、試験受験料は、入学希望者の国によって異なるとのことです。

University of the People
http://www.uopeople.org/

UN announces launch of world’s first tuition-free, online university
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=30848&Cr=ict&Cr1

IFLAと国際出版社協会(IPA)、オープンアクセスに関してさらなる議論、実験を行うよう求める共同声明を発表

国際図書館連盟(IFLA)と国際出版社協会(IPA)が2009年5月20日、オープンアクセスに関して、もっと理性的な、根拠に基づいた(evidence based)議論、実験をさらに行っていくよう求める共同声明を発表しました。これは、いまがオープンアクセスについて議論すべき時であること、またその重要性を指摘しながらも、現在の議論がしばしばヒートアップし、不必要に極論化しがちであることから、より寛容に、慎重な議論や実験の成果を積み重ねていくことを求めるものです。そして、図書館と出版社とが相互に敬意を払って議論に望むこと、学術文献の著者を議論の中心に置くこと、学術コミュニケーションの成果に対し可能な限り幅広くアクセスできるようにすることが重要な目的であること、といった、議論の基盤に置くべき8項目を提示しています。

学術情報資源のデジタル化のインパクトを評価するためのツールキット(英国)

英国情報システム合同委員会(JISC)の助成のもと、オックスフォード大学インターネット研究所(OII)が、2008年から2009年にかけて実施したデジタル化した学術情報資源の利用・インパクトに関する調査の成果として、「学術情報資源のデジタル化のインパクトを評価するためのツールキット」(TIDSR)を作成・公開しています。質的評価・量的評価のそれぞれについて、各種の手法の概説、参考文献などが紹介されています。

Toolkit for the Impact of Digitised Scholarly Resources (TIDSR)
http://microsites.oii.ox.ac.uk/tidsr/welcome

RIN、学術情報流通のステークホルダーをサポートするツールキットの開発に着手

研究情報ネットワーク(RIN)は2007年に「研究と学術コミュニケーションのプロセス:パブリック・ポリシーの戦略目標に向けて:原則についての声明(Research and the Scholarly Communications Process: Towards Strategic Goals for Public Policy: A Statement of Principles)」を発表しました。このほど、この声明に掲げられている原則を実際に適用する際に、各ステークホルダー(助成機関、高等教育機関、図書館、出版社など)をサポートするウェブベースのツールキットの開発に着手することが発表されています。このプロジェクトの期間は2009年3月から11月までとなっています。

Research and the Scholarly Communications Process: toolkit
http://www.rin.ac.uk/sc-toolkit

医薬品メーカーのスポンサードのもと、同社の製品の宣伝になる論文を転載していた学術雑誌の発行元が謝罪

“Australasian Journal of Bone and Joint Medicine”という雑誌が、米国の医薬品メーカーから非公式に資金を受け、同社の製品の宣伝になる論文を他の雑誌から転載していたという事件が明るみになりました。これを受け、発行元の大手出版社Elsevier社が、正確性・非透明性に欠ける形で雑誌を発行し続けたことに謝罪しました。Elsevier社の知名度により、実際には査読誌ではなく、ウェブサイトもなくMEDLINEにも採録されていなかった同誌が査読誌と勘違いされたり、権威付けされたりしたことの責任が問われているようです。なお、Elsevier社は、現在はこの雑誌は刊行しておらず、また当時の担当者はすでに社を去っているとしています。

FT.com / UK - Elsevier admits journal error
http://www.ft.com/cms/s/0/c4a698ce-39d7-11de-b82d-00144feabdc0.html

「査読付き」を名乗る、とてもインチキな学術論文誌 - スラッシュドット・ジャパン
http://slashdot.jp/articles/09/05/05/0759254.shtml

May 07, 2009付けPeter Scott's Library Blogの記事

SPARCとACRL、SCOAP3に関するQ&Aを作成

高エネルギー物理学分野のコアジャーナルの予約購読にかかっていた費用を転用してオープンアクセス化することを目ざす、研究助成機関・研究図書館によるコンソーシアム“SCOAP3”に関するQ&Aを米国大学・研究図書館協会(ACRL)とSPARCが共同で作成し、公開しています。このモデルの周知や評価に役立てることを目的としており、「ビジネスモデルは?」「このモデルを図書館が支持することの意義は?」「SCOAP3を支持するために自図書館ができることは何か?」といった19の疑問に対する回答がまとめられています。

SPARC and ACRL release new SCOAP3 FAQ - More libraries commit to innovative new proposal with answers to key questions
http://www.arl.org/sparc/media/09-0428.shtml

SCOAP3 – Frequently Asked Questions and Answers
http://www.arl.org/sparc/publications/papers/scoap3_09april.shtml

参考:
E812(No.132)高エネルギー物理学は再び学術情報流通に革新をもたらすか?

Wikipediaに対する学術コミュニティの評価は?-PLoSとWikimedia財団が意識調査を実施

PLoS(Public Library of Science)とWikimedia財団が協同で、PLoS読者を中心とする学術コミュニティに対し、Wikipediaへの評価などに関する意識調査を行った結果が発表されています。回答者の多くは、オープンアクセスコミュニティにかかわりのある研究者等となっていますが、以下のような結果が出ています。

・58.98%が「かなり」、32.19%が「ある程度」Wikipediaを好意的に評価している。
・28.69%の研究者が「かなり」、59.04%が「ときどき」、仕事の上でWikipediaを利用している。余暇で利用している人の比率はさらに多い。
・91.51%がWikipediaからもっと、オープンアクセス文献にリンクされるべき、と考えている。その逆のリンクをもっと増やすべきとしたのは71.03%。
・67.93%が「大規模に」、24.73%が「限定したやり方で」研究者はもっとWikipediaに貢献すべきと考えている。

Scholarly community gives feedback regarding Wikipedia - Wikimedia blog

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