資料保存

4.5 対策が必要な電子書籍の保存

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■印刷資料だけの保存では不十分

現在では紙の資料だけでは、時代の実相を知ることはできなくなっていることは明らかである。今日の図書館は印刷資料だけではなく、膨大な電子資料の収集を視野に入れる必要がある。

 

■CD-ROM等パッケージ系電子出版物の保存

 紙媒体の出版物の付属物としてのフロッピーディスクやCD-ROMなどや、電子媒体を主とするパッケージ系電子出版物の増加に伴い、2000年10月に国立国会図書館法の一部改正法によって従来の紙媒体などの出版物のほかに国内で発行されたパッケージ系電子出版物についても、納本制度により網羅的に収集することとなった。

 

■電子書籍の保存の現状

3.3.2 電子書籍の保存の社会的意義

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 図書館に収集されている資料は、ランガナタン(Shiyali R. Ranganathan)の「図書館学の五法則」のひとつ「図書は利用するためのものである」に示されるよう(1)に、利用されるために存在している。たとえ現時点において、利用者に利用されていない資料であっても、未来に重要な意味をもつことになる可能性がある。過去、歴史研究において、図書館の果たした役割はきわめて大きい。明治以後、書籍が図書館で収集・保存されていればこそ、今に生きる我々も、明治、大正時代の実相を知ることができる。そして我々、現在に生きる者には、現在の資料を未来に残す責務があるといえる。

3.3.1 電子書籍保存の現状と展望

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 残念ながら、電子書籍の保存については本調査でもあまり体系的に把握できているとはいえない。これは、調査の問題というより電子書籍の保存そのものについてステークホルダー間に相互理解が深まっていないことに起因すると思われる。

 日本国語大辞典によると、保存とは「そのままの状態でたもっておくこと。原状のままに維持すること」(1)とされている。また図書館情報学用語辞典(第3版)では、資料保存を「図書館資料や文書館資料の現在と将来の利用を保証するため、元の形態のまま、あるいは利用可能性を高めるためにメディアの変換などを行うなどして、維持を図ること」(2)と定義する。後者は図書館あるいは文書館資料を射程としているが、すでに紹介したように、千代田区立図書館ではWebを通じた電子書籍の「帯出」サービスがスタートし、構築支援を行ったiNEOには、問い合わせが寄せられていることが、本研究のインタビュー調査からも明らかになった。

使用頻度の低い研究雑誌の保存・提供プロジェクトに15の高等教育機関が参加(英国)

英国図書館(BL)は、同館とロンドン大学が中心となって取り組んでいる、使用頻度の低い研究雑誌の保存・提供プロジェクト“UK Research Reserve(UKRR)”に新たに15の高等教育機関が参加すると発表しています。BLが使用頻度の低い研究雑誌を一括して保存・管理することにより、高等教育機関の図書館でスペースをより有効に活用してもらうことが期待されています。2007年1月から18か月間行われていたプロジェクトの第1段階の成功によって、引き続き高等教育財政審議会(HEFCE)から資金提供を受けることとなり、提携機関と共に2009年から2013年にかけてプロジェクトの第2段階が実行されるとのことです。

UK Research Reserve signs up 15 Higher Education Institutions(BLのプレスリリース)
http://www.bl.uk/news/2009/pressrelease20090914.html

NDL、オランダ王立図書館の講師による「保存フォーラム」を開催(10月)

2009年10月6日・7日に、国立国会図書館(NDL)で、資料保存に携わる実務者を対象にした「第20回保存フォーラム」が開催されます。今回の内容は、オランダ王立図書館の専門サービス・資料部付保存科学者ヘンク・ポルク博士による、オランダにおける保存科学の最新動向とオランダ王立図書館所蔵特別コレクション「紙の歴史」の紹介とのことです。参加申込みを10月1日まで受付中とのことです。

第20回保存フォーラムのご案内
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/data_preserve22.html

参考:
NDL保存フォーラム「害虫を入れない・増やさない―図書館における総合的有害生物管理―」
http://current.ndl.go.jp/node/8423

風水害の被害にあった資料の救出・保全のための呼びかけ

災害時の史料の救出活動等を行っているボランティア団体「歴史資料ネットワーク(史料ネット)」のブログに、風水害などの被害にあった資料について、捨ててしまう前に相談を、と呼びかける記事が掲載されています。

水濡れ文書や古文書を捨てる前に相談を! (歴史資料ネットワーク(史料ネット))
http://blogs.yahoo.co.jp/siryo_net/29140196.html

水損資料の取り扱いについて(歴史資料ネットワーク)
http://www.lit.kobe-u.ac.jp/~macchan/suison-siryo.htm

参考:
CA1630 - 災害時における資料保全活動の一元化 / 尾立和則
http://www.current.ndl.go.jp/ca1630

倒壊したケルンの歴史文書館でのブルーシールドの資料保存活動

文化財の保護活動を行っている「ブルーシールド」のチームが、2009年3月に倒壊したドイツ・ケルン市の歴史文書館での第2回目の資料保存活動を8月3日から行うと発表しています。フランス、オランダ、ベルギー、英国、スウェーデンから、約60名の専門家が現地入りするとのことです。4月に実施した第1回目の活動では、直線距離に換算すると2キロメートルに相当する資料を扱ったとのことです。

Blue Shield Mission to Cologne - August 2009 - Press releases
http://www.ancbs.org/index.php?option=com_content&view=article&id=102:blue-shield-mission-august2009-press-releases&catid=10:statements&Itemid=20

SECOND BLUE SHIELD RESCUE MISSION FOR THE DESTROYED CITY ARCHIVE OF COLOGNE
http://www.ancbs.org/images/pressreleases/01-08-2009_blueshield_rescuemission_en.pdf

参考:

LC、フォートミードの保存書庫に2つのモジュールと冷蔵室を増設(米国)

米国議会図書館(LC)は、メリーランド州フォートミードにある高密度保存設備に、新しく2つのモジュールと4つの冷蔵室を設置したと報じています。2002年完成のモジュール1、2005年完成のモジュール2と合わせて、保存用ユニットのモジュールは合計で4つとなり、3300万点の資料が収納される予定とのことです。収納された資料は、これまで通り、1日2回の配送便を使ってワシントンD.C.の構内まで運び、利用者に提供されるようです。また、2027年までに13のモジュールの建設要求がされているとのことです。

Library of Congress Celebrates Opening of Modules 3 and 4 and Cold-Storage Rooms at Ft. Meade Facility(LCのニュースリリース)
http://www.loc.gov/today/pr/2009/09-139.html

ボーンデジタルの政府・法律資料の保存プロジェクト“チェサピーク・プロジェクト”の報告書(米国)

米国のジョージタウン大学など3大学の法律図書館が2年間の試験プロジェクトとして実施していた、ボーンデジタルの政府・法律資料等の保存プロジェクト“チェサピーク・プロジェクト”の報告書が公開されています。

Two-Year Pilot Project Evaluation
http://cdm266901.cdmhost.com/policies/legal_twoyearprojectevaluation_june2009.pdf

About The Chesapeake Project
http://www.legalinfoarchive.org/

映像・文書を「1000年」保存できる技術の基礎実験に成功

慶應義塾大学の黒田教授とシャープなどが、映像や文書などを超長期にわたり保存する方法の基礎実験に成功したと報じられています。半導体チップに記録し無線技術で読み出す方式で、10年以内の実用化を目指すということです。

映像や文書「1000年保存できる」方法 慶大やシャープなど -- NIKKEI NET
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090615AT2G1400215062009.html

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