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全米人文科学基金(NEH)、人文学に関する215件のプロジェクトに総額2,900万ドルの助成を実施

2019年8月14日、全米人文科学基金(NEH)は人文学に関する215件のプロジェクトに総額2,900万ドルの助成を実施することを発表しました。

助成されるプロジェクトには、米国南部の食習慣・歴史・文化に関するテレビシリーズを制作する“South by Somewhere”プロジェクト、著名な映画製作者Ric Burns氏によるアラスカの歴史とアイデンティティに関する3部構成のドキュメンタリー製作、進歩主義時代の女性の第一人者に関するアニメ映画シリーズの製作、『オズの魔法使い』や『風と共に去りぬ』のオリジナルネガを含むジョージ・イーストマン博物館の硝酸塩をベースにしたフィルム・写真コレクションの保護などが含まれています。

助成は以下の分野に分類されています。

「語り部」が記憶する部族の系譜や伝承を記録し保存する取組(アフリカ):系図記録を収集・保存する米国の非営利団体FamilySearchによる事業(文献紹介)

2019年8月にギリシャのアテネで開催される第85回世界図書館情報会議(WLIC)・国際図書館連盟(IFLA)年次大会での発表資料として、系図記録を収集・保存する米国の非営利団体FamilySearchのブッシュ(Cherie Bush)氏・リンチ(Russell S. Lynch)氏による“Oral Genealogy in Africa: Preserving Critical Knowledge”と題する文献が公開されています。

アフリカの部族では、指名された「語り部」が、6世代から30世代前に及ぶ先祖の名前や部族の伝承を記憶し口承する伝統がありますが、「語り部」の高齢化、若者の離村、自然災害、戦争等により消失の恐れがあることから、FamilySearchでは、2004年から、人々が自身のルーツをたどり、また、研究者が検索できるようすることを目的に、アフリカにおいて、オーラル・ヒストリーの手法で系譜情報を記録化するプロジェクトを開始しました。

同プロジェクトでは、部族・村・氏族の長と交渉・調整し、150を超すアフリカの協力団体と連携して「語り部」を訪問し、記憶している系譜や伝承を記録化しています。

文化庁・宮内庁・読売新聞社による「紡ぐプロジェクト」の公式ウェブサイト「紡ぐ TSUMUGU:Japan Art & Culture」が公開:日本文化の世界を写真や動画も使って分かりやすく紹介

2019年8月20日、文化庁・宮内庁・読売新聞社による「紡ぐプロジェクト」の公式ウェブサイト「紡ぐ TSUMUGU:Japan Art & Culture」が公開されました。

日本文化の世界を写真や動画も使って分かりやすく伝えることを目的としており、文化庁、宮内庁および国立博物館や国立劇場の協力の下、専門家の監修を得ながら、読売新聞社が制作・運営を担当しています。

絵画・仏像・彫刻・書等をデジタル画像で紹介する「TSUMUGU Gallery」、美術館等で展示中の作品または上演中の歌舞伎などの伝統芸能の公演に関する情報からピックアップしたものを紹介する「今、観たい」、同プロジェクトが支援する文化財の修理の様子を継続的に紹介する「修理」、国内外の専門家や著名人らが日本の伝統文化を紹介する「美」「芸」「知る」「催し」「特集」といったコンテンツで構成されています。

また、多言語対応も予定しており、第1弾として英語版も今回公開されています。

【イベント】郡上市歴史資料館(岐阜県)開館1周年記念フォーラム(8/25・郡上):展示「大災害を乗り越えて~北町大火100年・伊勢湾台風60年~」も開催中

2019年8月25日、郡上市総合文化センター(岐阜県)で、郡上市合併・市制施行15周年記念事業として、郡上市歴史資料館開館1周年記念フォーラム「あなたにも救えるふるさとの歴史~これからも“ずっと郡上”を守り伝えるために~」が開催されます。

2019年は郡上における過去の大災害(1919年の北町大火、1959年の伊勢湾台風、1969年の奥美濃地震など)からの節目の年にあたること、また2018年には全国各地で様々な大災害が発生し、地域の文化財や個人の保管資料も被災したことから、全国で被災した地域資料に対して取られてきた対策や措置の実態と取組事例を学ぶために開催されるものです。会場では、岐阜県博物館協会の協力により、被災資料レスキューに使用した道具なども紹介されます。

入場は無料で、事前申込みも不要です。フォーラムの内容は次のとおりです。

講演「大規模自然災害から水濡れ歴史資料を救う」
講師:神戸大学地域連携推進室・松下正和特命准教授

事例報告
1.平成30年7月豪雨関市上之保地区の汚損写真洗浄作業の取組み
関市文化財保護センター・森島一貴氏
2.郡上市における地域資料の実態-過去の災害と資料の保存状況-
郡上市歴史資料館職員

立命館大学アート・リサーチセンター(ARC)、講談社の「ブルーバックスアウトリーチ(BBO)」を利用して「酒呑童子絵巻」修復支援のクラウドファンディングを開始

京都市の立命館大学アート・リサーチセンター(ARC)が、株式会社講談社の「ブルーバックスアウトリーチ(BBO)」の寄附型プロジェクトとして、同センターが所蔵する「酒呑童子絵巻」修復支援のクラウドファンディングを開始しました。目標金額は200万円で2019年9月23日まで募集が行われています。

ARCが所蔵する「酒呑童子絵巻」は、絵巻作成技術がもっとも進んだ時期である1650年前後に京都で作られたと推定され、完成度は高く、現存する酒呑童子絵巻の中で最も豪華な作品であると考えられています。プロジェクトを通して、劣化が激しく開けることが出来ない状態の絵巻を現代の最高の技術で修復し、修復後は展覧会の開催やデジタル化、研究利用のために活用可能なデジタルアーカイブファイルの公開、などが計画されています。

立命館大学はBBOの最初のパートナー機関として2019年7月25日から4件のプロジェクトを開始しており、このプロジェクトはその中の1つに当たります。

HathiTrustの2019年前半の活動と今後の展望(記事紹介)

2019年8月6日、HathiTrustは、2019年から2023年までの戦略的方向性を示した“HathiTrust’s 2019-2023 Strategic Directions”実施から半年が経過したことを受けて、半年間の活動を振り返りながら今後の展望を示したブログ記事“2019: HathiTrust at Mid-Year & Upcoming Opportunities”を公開しました。

2018年3月13日に承認された“HathiTrust’s 2019-2023 Strategic Directions”では、デジタル保存とアクセス、文化的記録の管理者としての役割等への関与の強化が示されています。HathiTrustの2019年の具体的な出資と活動はここで示された戦略的方向性を達成するために行われています。

2019年1月から6月までの主要な動きとして、印刷物を読むことに障害がある利用者へのアクセシビリティを向上させたこと、1923年に出版されパブリックドメインとなっている5万4,000点近くのタイトルを公開したこと、共同管理(Shared Print)プログラムの第2段階を完了したこと、などを挙げています。

文化庁、「国宝・重要文化財の防火設備等の緊急状況調査結果(アンケート調査結果)」を発表

2019年8月8日、文化庁が、「国宝・重要文化財の防火設備等の緊急状況調査結果(アンケート調査結果)」を発表しています。

フランス・パリのノートルダム大聖堂において発生した火災を受けて実施した、国宝・重要文化財の防火設備等の状況に関するアンケート調査の結果です。

調査結果の主な内容として、美術工芸品の国宝を保管する博物館等では、多くの施設で消火設備等を設置しているが、約半数が30年以上経過し、老朽化による機能低下のおそれがあることが紹介されています。

報道発表(文化庁)
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/index.html
※「2019年8月8日 国宝・重要文化財の防火設備等の緊急状況調査結果(アンケート調査結果)」とあります。

熊本地震デジタルアーカイブ、掲載資料数が10万件に

2019年7月24日、熊本県は、熊本地震デジタルアーカイブに掲載された自治体や関係団体等から収集した写真・映像・文書等の資料が約10万件(2019年7月現在)となったと紹介しています。

地元紙の報道によると、同県では、2019年度中に20万点の収集を目指しているとのことです。

熊本地震デジタルアーカイブを公開しています(熊本県,2019/7/24)
https://www.pref.kumamoto.jp/kiji_28000.html

公開資料10万点超す 熊本地震デジタルアーカイブ(熊本日日新聞,2019/8/5)
https://this.kiji.is/530883162142704737?c=92619697908483575

和歌山大学図書館、研修会「資料を救う-水損資料への対応」を開催

2019年8月28日、和歌山大学図書館が、研修会「資料を救う-水損資料への対応」を同館で開催します。

和歌山大学准教授の橋本唯子氏による講演「被災資料の救出について-その歴史と修復技術の進展」及び、歴史資料保全ネット・わかやま世話人で奈良文化財研究所埋蔵文化財センター客員研究員の浜田拓志氏による講演「和歌山県内における被災資料のレスキュー活動」に加え、ワークショップ「水損資料への対応」が行われ、実際に水損資料の乾燥・洗浄等を体験します。

定員は50人(申込先着順)です。ただしワークショップ参加は先着20人までで、見学は可能です。受講料は無料です。

研修会「資料を救う-水損資料への対応」を開催します(8/28・水)(和歌山大学, 2019/7/30)
https://www.wakayama-u.ac.jp/lib/news/2019072900017/

米国議会図書館(LC)、長期保存のための推奨フォーマットのガイド“Recommended Formats Statement”の2019-2020年版を公開

米国議会図書館(LC)が、長期保存のための推奨フォーマットのガイド“Recommended Formats Statement”の2019-2020年版を公開しています。

同ガイドは、年1回更新されており、LJ infodocketによると、今回の版では、特に、動画とオーディオの分野での価値ある更新を提供することが目指されているとのことです。

Library of Congress Recommended Formats Statement 2019-2020(LC)
https://www.loc.gov/preservation/resources/rfs/TOC.html

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