著作権

E1931 - 韓国の国立図書館におけるデジタル化資料の送信サービス

韓国では,図書館が,自館でデジタル化した資料の他館への送信を可能とする規定が著作権法に設けられ,この規定に基づき,韓国の国立中央図書館(NLK)と国会図書館(NAL)が他の図書館等に対して送信サービスを行っている。韓国の場合,すべての図書館等に対して送信することを認めていたり,海外の機関が送信先に含まれていたり,資料のデジタル化や他の図書館等への送信にあたり補償金の支払いが必要であったりといった,日本における国立国会図書館(NDL)によるデジタル化資料送信サービスとは異なる特徴がみられる。

米連邦地裁、海賊版論文公開サイトSci-HubによるElsevier社の著作権侵害を認定 1,500万ドルの損害賠償を命じる

2017年6月21日、米ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所が、海賊版論文の公開サイトSci-HubによるElsevier社の著作権侵害を認定し、Sci-Hubに対し1,500万ドルの損害賠償を命じる判決を下したことが報じられています。

Sci-HubはElsevier社をはじめ、主要な出版者の電子ジャーナル掲載論文を違法にアップロードしたウェブサイトです。カザフスタンの大学院生であったAlexandra Elbakyan氏が、研究者の論文へのアクセスをより容易にすることを目的に開始したもので、現在はロシアから運営されています。

今回の判決はElsevier社の訴えを受けて下されたもので、米国出版社協会(AAP)は支持を表明しています。一方、Nature誌はSci-Hubが違法であることは明らかであるものの、多くの研究者から非常に高い人気を得ているのは、それだけ現在の学術出版に対する不満が高まっていることのあらわれだ、とする研究者のコメントも紹介しています。また、Elbakyan氏からはなんらのコメントも発表されていないものの、損害賠償が支払われるかは疑問であるし、Sci-Hubが閉鎖することもないだろうとする関係者の声も掲載しています。

オーストラリア連邦議会、著作権法改正法案を可決:障害者の著作物へのアクセス促進及びデジタル教育環境下での著作物の利用促進等

2017年6月15日、オーストラリア連邦議会において、「1968年著作権法」の改正法案(Disability Access and Other Measures)が可決・成立しました。

・視覚、聴覚、知的障害者の著作物へのアクセス促進(2015年12月に批准した「マラケシュ条約」への対応)
・教育機関、図書館、アーカイブズ機関の著作権に関する条項の簡素化
・教育機関によるデジタル教育環境下で著作物の利用促進
・公表された著作物、未公表の著作物、国家著作物への、新しい著作権保護期間の設定

といった内容が盛り込まれています。

著作権とデジタル文化遺産に関するオンライン情報資源を提供するウェブサイト“Copyright Cortex”が公開される(英国)

2017年6月20日に、英国において、著作権とデジタル文化遺産に関するオンライン情報資源を提供するウェブサイト“Copyright Cortex”が公開されました。

図書館・アーカイブズ・ミュージアムといった機関に対して、デジタル文化遺産の作成・管理・利用への著作権法の影響に関する情報や、専門家による解説を提供する事を目的としており、英国研究会議(RCUK)の創造経済における著作権と新たなビジネスモデルに関する研究センターである“CREATe”、英国芸術・人文科学研究会議(AHRC)、英国図書館情報専門家協会(CILIP)、Europeana等がパートナーとなっています。

学術刊行物・実践ガイド・政策文書・事例研究といった、インターネット上でオープンアクセスで公開されている、著作権とデジタル文化遺産に関する幅広い資料へのリンクを整理して提供しているほか、実務者を対象としたテキスト“Copyright and Digital Cultural Heritage”を公開しています。同テキストは、英国の文化遺産機関を対象に、国内外からのデジタル文化遺産へのアクセスや利用への影響に焦点をあてて、著作権法を包括的に解説するものです。

米国心理学会(APA)、同学会誌掲載論文の無断転載を監視するパイロットプログラムを開始 研究者の反発を受けて研究者個人のウェブサイト等は対象ではないとする声明を発表

米国心理学会(APA)が2017年6月より、同学会が発行する雑誌に掲載された論文の無断転載を監視し、発見した場合には削除を求めるパイロットプログラムを開始しています。

このパイロットプログラムは2017年2月に、APAの5雑誌掲載論文を対象に開始されたもので、6月から同学会が発行する全ての雑誌(29誌)に対象が拡大されました。APAの著作権を侵害し、論文をオンライン公開している海賊版ウェブサイト等に削除要請が行われているとのことですが、要請を送られた中にはAPAの掲載ガイドラインに違反している大学のウェブサイトも含まれているとのことです。

このAPAのパイロットプログラムに対し、研究者らから自身のウェブサイトで公開している論文も削除しなければいけないのか、という反発も起こっています。反発を受け、APAは監視プログラムの対象は海賊版等を公開するウェブサイトであり、個人のウェブサイト等は対象ではないこと、APAのガイドラインに則った著者最終版の個人のウェブサイト、機関リポジトリ等での公開は問題ないこと等を述べる声明を発表しています。

米国著作権局、著作権実務概要第3版の改訂草案を公開

2017年6月1日、米国著作権局は、著作権実務概要“Compendium of Copyright Office Practices”第3版の改訂草案を公開しました。

今回の改訂には、著作権局の実務や手続きを全般的に見直した結果が反映されています。また、フォーマットが変更され、オンラインでもオフラインでも読みやすくなっているほか、著作権局のウェブサイトなどへのリンクも改善される予定です。

この改訂草案は6月30日までパブリックコメントを受け付けており、7月3日に発効する予定です。

Copyright Office Releases an Updated Draft of the Compendium of U.S. Copyright Office Practices, Third Edition(Copyright.gov, 2017/6/1)
https://www.copyright.gov/newsnet/2017/666.html

美術館長協会(AAMD)、著作権のある美術作品や美術関連資料を美術館が利用する際のガイドラインを公開

美術館長協会(Association of Art Museum Directors:AAMD)が、2017年3月29日付けで、著作権のある美術作品や美術関連資料を美術館が利用する際のガイドラインを公開しました。

美術作品の展示や展示図録の作成、オンラインコレクションの利用などの際に留意すべき事項や具体例、フェアユースなどについて解説しています。具体例のひとつとして、“lV. Specific Examples”に“E. Archives and Other Special Collections”が挙がっており、所蔵するアーカイブや特別コレクションの全体をデジタル化する際の問題について解説されています。

Standards & Practices(AAMD)
https://www.aamd.org/standards-and-practices

東京国立近代美術館フィルムセンターBDCプロジェクト、「映画の孤児著作物のデジタル利用に関する法制度報告書」を公開

2017年5月17日、文化庁の文化芸術振興費補助金(美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業)の交付を受けて実施している、東京国立近代美術館フィルムセンターの「映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業(BDCプロジェクト)」が「映画の孤児著作物のデジタル利用に関する法制度報告書」を公開しました。

映画を保存するアーカイブ機関でのデジタルアーカイブ構築のためには、映画作品をめぐる複雑な著作権等の権利を適切な形で処理する必要があり、いまだ多くの課題が伴うことから、関連する法制度の現状を正しく把握し、今後の活動の基礎となる法的知識を広く共有するため、五常法律会計事務所へ委託し調査したものです。

報告書では、現在の日本の法環境において、アーカイブ等が保存する映画や孤児作品(著作権者等権利者不明の作品)を適法にデジタル利用するためにはどのような方法が考えられるのか、現状の法制度の可能性と限界を軸に、法律家の視点から考察を加えつつ、解説しているほか、オランダ及び英国のフィルムアーカイブ実務と法制度に関する事例も紹介しているとのことです。

文化庁文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会、中間まとめへの意見募集の結果を公表

2017年4月24日、文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会が、2月28日から3月29日まで行っていた中間まとめへの意見募集の結果を公表しています。

文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会 中間まとめに関する意見募集の結果について(2017/4/24)
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/2017042402.html

参考:
文化庁文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会、中間まとめを公表:パブリックコメントも募集中(-3/29)
Posted 2017年3月21日
http://current.ndl.go.jp/node/33686

【イベント】専門図書館協議会2017年度全国研究集会『これからの専門図書館を“創る” 』(6/29-30・東京)

専門図書館協議会の2017年度全国研究集会が、2017年6月29日及び30日、総合テーマを「これからの専門図書館を“創る”」に開催されます。会場は、機械振興会館です。

参加には事前の申し込みが必要です(有料)。

29日には、ジャーナリスト・服部桂氏の記念講演「インターネットの次に来るもの」が行われ、翌30日には以下の分科会が開かれます。

第1分科会: 学びと共創の空間としてのライブラリー
第2分科会: 私立図書館の今
第3分科会: 展示を考える
第4分科会: 新たな時代のニーズに対応する著作権
第5分科会: オープンアクセスとオープンサイエンス~専門図書館の役割とこれからの課題~
第6分科会: これからの図書館員 ~人、コミュニケーションをキーワードとして~

6/29・30 平成29年度通常総会・全国研究集会のご案内(専門図書館協議会)
http://www.jsla.or.jp/h29-soukai/

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