図書館サービスの削減、米国各地で

金融危機・経済危機の影響で、米国各地で図書館・図書館員の削減が起きていると、American Libraries誌が報じています。

20%の図書館・図書館員を削減する案を出したペンシルベニア州フィラデルフィアのほか、

・過去3か月間で図書館の貸出数が8%増加したカリフォルニア州サンディエゴでは、7分館を一時的に閉鎖する案が出ている。これに対し図書館委員会は「ただでさえ経済危機にあえいでいる利用者から、(図書館という)無料の支援を奪う行為」として批判している。
・ニューヨーク公共図書館は、分館の開館日が週6日から5.5日に減らされる見込みである。
・ハワイ州教育委員会は、州内唯一の公共図書館システムの予算を10%削減することを勧告したが、州知事は15%の削減を要求している。15%の削減の場合、分館6館が閉鎖されるとともに、資料購入・プログラム運営費・欠員補充にも影響が及ぶ見通し。ちなみにある分館では、2008年9月の貸出数は昨年比48.9%増。

といった具合で、全国的に図書館削減の動きが広がっているとのことです。このほか、オハイオ州、アリゾナ州フェニックス、ワシントン州フォート・バンクーバー、イリノイ州シカゴの状況が紹介されています。ちなみにシカゴでは、延滞料を2倍にするという方法を取るそうです。

米国図書館協会(ALA)は景気対策費の中から1億ドルを図書館にと議会に要望していますが、景気対策費という限られたパイを失業保険、栄養補助プログラム、公共インフラ、公共交通機関等と奪い合う状況になっているばかりか、景気対策費の執行そのものが、年明けの第111議会の開催まで持ち越される可能性もあるとのことです。

ALA | American Libraries – Branch Closings and Budget Cuts Threaten Libraries Nationwide
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2008/November2008/branchesthreatened.cfm

なおフィラデルフィアでは、図書館友の会など支持者が感謝祭の休日に合わせて抗議行動を行い、議員等に代替案について話し合いを求めていく予定である、とされています。

参考:
フィラデルフィア市長、税収の大幅減で20%の図書館・図書館員を削減する苦渋の提案
http://current.ndl.go.jp/node/9305
経済危機のときこそ図書館!ALAが連邦議会に1億ドルの資金提供を求める
http://current.ndl.go.jp/node/9225