静かな場所からにぎやかな場所へ、変わり行く公共図書館-英Times紙の記事に読者から賛否両論

英国では、過去10年で図書館資料の貸出冊数が34%減少し、過去1年で図書館に勤める有資格のライブラリアンが4.1%減少し、2007年に閉鎖された公共図書館が40館に上るなどの状況に対し、多様な資料の提供、館内でのテレビゲーム(Nintendo Wii)の提供、館内へのカフェの誘致、飲食物の持込許可、携帯電話での通話許可など、各館がさまざまな取り組みを試みています。これらは、利用者に長く滞在してもらう、利用者に居心地良く感じてもらう、若者に来てもらう、などの目的で行われており、総じて、図書館をにぎやかにするものです。そしてその典型例として、図書館と情報センターの両方の機能を有するロンドンの“Idea Store”を挙げています。

こうした、図書館の生き残り戦略のトレンドを紹介したTimes紙の記事の後、このような風潮を批判する英国の作家の意見が、Times紙に掲載されました。図書館は静寂な場所であるべきであり、図書館をにぎやかにしようとする大衆化は誤った戦略で、自殺行為であるという意見です。この批判に対し、ロンドン図書館長協会会長をはじめとする人々が、無料で情報や学習の機会を提供するという図書館本来の役割は変わっていない、図書館は時代に応じて変わっていかなければならないという反論を投稿したところ、「他と違って静かな場所だからこそ価値がある」「図書館が衰退しつつあるという状況こそ問題にすべきである」「静寂な場所とそれ以外とのゾーニングが明確であれば良い」「図書館に楽しさやカフェが必要、などというライブラリアンはスターバックスで働くべき」などとさまざまな意見が投稿され、議論が活発化しています。

Public libraries open way for drinks, snacks and mobiles – Times Online
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/education/article4783690.ece

We need books to sink our teeth into, not burgers – Times Online
http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/education/article4783704.ece

A noisy library is a joyful thing -Times Online
http://www.timesonline.co.uk/tol/comment/letters/article4812000.ece

Libraries are not for fun and noise -Times Online
http://www.timesonline.co.uk/tol/comment/letters/article4820341.ece

Idea Store
http://www.ideastore.co.uk/

September 24, 2008付けLISNewsの記事
http://lisnews.org/libraries_crisis_trying_move_times_national_tragedy