公共図書館の運営資金とインターネットサービスに関する調査報告書(米国)

ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の支援のもと、米国図書館協会(ALA)とフロリダ州立大学(FSU)が協同して実施した、米国の公共図書館の運営資金および技術アクセス(主にインターネットサービス)に関する調査の結果が発表されています。これは2006/2007年度に実施したものに続く第2回目で、16,543の公共図書館が調査対象になっています。

・インターネット関連のサービスを実施している図書館の比率が、前回に比べ2桁の伸びを記録している。特に伸びが大きかったのは、オーディオコンテンツ(オーディオブック、ポッドキャスト等)(全体の71%、前回は38%)、動画コンテンツ(全体の48.9%、前回は16.6%)、宿題支援サービス・情報源(全体の83.4%、前回は68.1%)、電子書籍(全体の51.8%、前回は38.3%)など。なお、比率が最も多かったのは、有料データベースの提供(全体の88%)であった。

・コミュニティで唯一、無料で利用者向けコンピュータを提供している場所となっている図書館が、73%であった。これは前回と同水準である。

・図書館の運営資金として、自治体からの資金(=税金)以外の資金に頼る割合が増えてきていることが示唆された。

・無料の無線LANアクセスサービスを提供している図書館は66%(前年は約54%)であった。

・およそ3分の2の図書館が、1.5Mbps以上の高速インターネット回線を利用しているが、都市部(90%が高速回線)と地方(51.5%が高速回線)の不均衡は続いている。

・74%の図書館が、利用者に電子政府サービスの利用支援を行っていると回答している。またコンピュータ利用に関する技術トレーニングを行っている図書館は、73.4%であった。

・利用者のニーズが高まっていることにより、通信速度やPCの台数が不足していると回答している図書館も多い。

といった結果が報告されています。

Libraries Connect Communities: Public Library Funding and Technology Access Study Final 2007-2008 Report
http://www.ala.org/ala/ors/plftas/0708report.cfm

Related Maps, 2007-2008 Study
http://www.ala.org/ala/ors/plftas/0708/maps0708.cfm
(調査結果のうち、通信速度、ワークステーションの台数、無線LANサービスの実施状況の3つについて、地図で表現したもの)

Public libraries report double-digit growth in Internet services in one year – ALA
http://www.ala.org/ala/pressreleases2008/September2008/LibrariesConnectCommunities.cfm

参考:
E818 – 図書館の運営資金をどうやって集めるか?―OCLCの報告書から
http://current.ndl.go.jp/e818

E699 – 地方の小さな図書館の「利用者向けコンピュータ事業」の支援策
http://current.ndl.go.jp/e699

公共図書館でのインターネットサービス隆盛の光と影
http://current.ndl.go.jp/node/6486
(※2006/2007年度の調査結果)