2. 子どもの情報環境の現況

2.1. 子どもの現況

 本節では,子どもの情報行動を論じる際の前提となる指標のうち,子ども人口,子どもの生活時間,子ども関連市場について,主要統計データに基づき1990年代後半以降のおおむね10年間の動向を概観する。なお,本報告書では0歳から19歳までを子どもと定義しているため,各統計の属性別データのうち,この範囲に含まれる年代を子どもとみなしている。

 2.1.1. 子ども人口

 『平成19年版 青少年白書』(内閣府 2007a)によると,日本の子ども人口は15歳未満人口,未成年人口とも第二次ベビーブーム以降四半世紀以上にわたる減少が続いており,2006年の未成年人口は2,386万人,総人口に占める割合は18.7%と2割を切っている。1997年から2006年の10年間で未成年人口は351万人減少しており(減少率12.8%),特に10歳~19歳までの年代の減少が著しい。団塊ジュニア世代が出産適齢期を迎えていることもあって,2006年には6年ぶりに出生率が回復の兆しを見せているものの,価値観やライフスタイルの変化による晩婚・晩産化の流れに大きな変化はなく,2050年ごろまでは総人口,子ども人口ともに減少が続くと予想されている(国立社会保障・人口問題研究所 2007)1 。子ども人口の減少に比例して世帯当たりの子ども数や児童・生徒数も減少しており,家庭や学校,地域社会,市場等もそれに応じた変化を余儀なくされている(内閣府 2004) 2

 2.1.2. 子どもの生活時間

 この10年間に学齢期の子どものライフスタイルに大きな影響を与えたと考えられるのは,2002年に導入された完全学校週5日制とゆとり教育である。総務省の『平成18年 社会生活基本調査』(総務省統計局 2007)に基づき10年間の子どもの生活時間(総平均時間)の推移を見ると,曜日別では土曜日で「睡眠」が大幅に増加している(25分増)のに対して,「通勤・通学」「学業」はそれぞれ大幅に減少しており,完全学校週5日制導入の影響が顕著である 3。他方で「学業」については,土曜日の減少に対して平日では大幅な増加が見られる(10~14歳26分増,15~19歳32分増)。学齢期別集計では,小学生がおおむね横ばいであるのに対して,中・高校生で2001年以降の増加幅が大きい。この項目には学習塾での勉強が含まれることから,学業時間増加の背景に学校以外での勉強時間の増加があるものと推測され,平日の在宅時間の減少などとも合わせて,塾通いも子どもたちのライフスタイルに影響を及ぼしているものと思われる 4

 余暇時間の過ごし方としては,1996年から2006年にかけて週平均で「休養・くつろぎ」(10~14歳16分増,15~19歳15分増)と「趣味・娯楽」(10~14歳10分増,15~19歳18分増)が増加しているのに対して,「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」が著しく減少(10~14歳32分減,15~19歳38分減)しており,マスメディアの視聴等が他の活動へと置き換わっている様子がうかがえる。2006年の「趣味・娯楽」の行動者率を見ると,10代全般でテレビゲーム,CDなどによる音楽鑑賞,DVDなどによる映画鑑賞,映画鑑賞が上位を占めており,以下10~14歳では「趣味としての読書」「遊園地,動植物園,水族館などの見物」,15~19歳では「カラオケ」「趣味としての読書」が続く。情報メディアとの接触は子どもたちの趣味・娯楽活動の中心になっているといえる5

 2.1.3. 子ども関連市場

 子どもをターゲットとする市場については,子ども人口の減少にもかかわらず,2000年以降景気回復とともに拡大傾向を示している。その背景として,子ども数の減少により子ども1人当たりの支出が増加していることに加えて,祖父母,子どもを持たないおじ・おばなど複数の大人の支出が1人の子どもに集中する「シックス(テン)ポケッツ」と称される現象が生じており,高品質の高額商品やファミリー向けのサービスが増加していることがあるとされている。他方で,品質や機能を重視する消費者の選別が進み,価格は二極化する傾向にある(矢野経済総合研究所 2007)6

 分野別には「ゲームセンター・娯楽施設」や「スポーツ教室」など子どもの余暇活動のためのサービスのほか,「幼稚園・託児所・ベビーシッター」「携帯電話」「防犯サービス」など,子育てをサポートする商品・サービスの伸びが著しい。「食品」「衣料品・身の回り品」「日用品・生活雑貨」といった衣食住に関する物品市場が少子化の影響を受けて縮小傾向にあるのに対して,「娯楽用品・レジャー」「教育サービス・用品」「ベビー・子ども向けサービス」は拡大傾向を示しており,モノからサービスへと消費の比重が移ってきている様子がうかがえる 7

2.2. 情報メディアの現況

 「情報メディア」はハードウェアやソフトウェアから,コンテンツ,ネットワークインフラ等情報伝達に関するあらゆるカテゴリーを含みうる広範な概念であるが,ここでは1990年代後半以降のインターネットの普及とそれに伴う環境変化に焦点を絞り,主要統計資料に基づき情報メディア機器,通信関連サービス,コンテンツ市場及び日本人の情報メディア利用の動向を紹介した後,子どもたちの接触頻度が高い情報メディアのなかから,特に「活字メディア(書籍,雑誌,コミック誌・コミックス)」「映像メディア(テレビ,ビデオソフト)」「インターネット」「携帯電話」の4分野を取り上げ,各分野における業界動向と子どもに関する主要指標及び近年のトピックスを紹介する。

 2.2.1. 情報メディアの動向

 (1)情報メディア機器

 情報メディア関連機器では,この10年間で携帯電話とDVD,パソコンほかデジタル機器の普及が急速に進んでおり,内閣府『消費動向調査』によると,2007年3月末で携帯電話は88%,パソコンは71%,DVDは65%の世帯保有率に達している(内閣府 2007b)。また,テレビ,携帯電話については1世帯当たり保有台数が2台を超え,家族で利用する世帯メディアから個人で利用するパーソナル・メディアへの移行が進んでいる。

 (2)インターネット関連サービス

 この10年間に個人や家庭生活,社会や産業等あらゆる分野に最も大きな変化をもたらした情報メディアがインターネットであることは衆目の一致するところであろう。総務省『通信利用動向調査』によれば,1997年末に9.2%にすぎなかったインターネットの人口普及率は2006年末には68.5%に達しており,インターネット接続可能な高機能携帯電話の普及に伴い急速に利用者の裾野が拡大してきた(総務省 2007a)8 。また,2006年にはインターネット利用者に占めるブロードバンド回線の利用者の割合が6割を超えると推計されており,特にここ数年は光ファイバー網への切り替えが進んでいる。音声や映像等の大容量コンテンツの配信サービスの拡充もあって,一時期停滞していたパソコンからのインターネット利用も増加傾向にある。

 (3)オンラインコンテンツ市場

 インターネットの普及や端末の高性能化に伴い,文字や図像だけでなく動画や音声などの大容量コンテンツのオンラインでのユーザーへの配信が可能になり,映像系ソフトを中心にオンラインコンテンツ市場は急速に拡大する傾向を見せている。パッケージや放送によって流通するコンテンツとは比較にならない小さい規模ではあるが,既存メディアのコンテンツ市場がおおむね縮小傾向にあるのに対して,インターネットによる音楽・映像配信やオンラインゲーム,携帯電話向け電子書籍などの市場は著しく伸長しており,また,それに伴い新聞や出版,放送などの既存メディアも巻き込んだコンテンツのマルチユース化が進んでいる(デジタルコンテンツ協会 2007)9

 (4)情報メディア利用の動向

 情報メディアの利用動向に関してはさまざまな主体による多様な観点からの調査が行われているが,いずれの調査においても接触率,接触頻度,接触時間,情報メディアとしての重要度ともに「テレビ」が特権的地位を占めている10。それ以外の情報メディアでは,高齢者は「新聞」「ラジオ」,若年者は「雑誌・コミック・本」「インターネット」のウエイトが相対的に高いなど年代による利用傾向の違いが顕著であり,ライフステージや世代による情報ニーズの違いや,保有する情報機器,情報メディアに対するリテラシーの違いを反映しているものと推測される。

 インターネットが情報メディアとして注目され始めたのは近年のことであるが,比較的短期間の利用率の推移からもインターネットが急速に情報メディアのなかでの存在感を増していることがうかがえる。娯楽性や速報性ではマスメディアが圧倒的に優位であるが,趣味での情報収集や必要な情報の選択性については相対的にインターネットの評価が高く,日常生活で接する情報メディアが多様化するなかで,目的によってメディアが使い分けられるようになった。さらに,テレビを見ながらパソコンを検索し,携帯電話でメールを送るというような情報メディア利用の複合化,相互補完的な利用が進んでいる(白石ほか 2005)。

 2.2.2. メディア別の動向

(1)活字メディア

 出版物の販売額・販売部数は1997年以降減少基調にある。近年の販売不振の要因としては,少子化と経済環境の悪化,所得減少や雇用不安定化がもたらす将来への不安による購買意欲の低下があげられる。それに加えてテレビの多チャンネル化,インターネットや携帯電話の普及による消費者の可処分時間・所得の減少,それらに伴う情報収集や生活スタイルの変化,新古書店やマンガ喫茶,公立図書館の利用増加に見られる「所有」から「サービス」への価値観のシフトなどの環境変化が複合的に作用していると分析されている(全国出版協会出版科学研究所 2004)。

 以下に全国出版協会出版科学研究所『出版指標年報』(1997~2006年版)に基づき,出版各ジャンル別の近年の動向及びトピックスを,概況と子ども向け市場に分けて紹介するとともに,毎日新聞社『学校読書調査』に基づき,基本指標となる子どもの読書率の動向についても簡単に触れておく11

 1)書籍

 (概況)

 書籍については,近年,販売額及び読書量の増減がベストセラーやヒット作の有無に大きく左右され,テレビで紹介されたものやドラマ・映画の原作に売れ行きが集中するなど,メディアミックスによってメガヒットが生まれる傾向が強まっている。また,電子掲示板「2ちゃんねる」の書き込みを書籍化した『電車男』のヒット以降,個人のウェブサイトやブログなどネット発のコンテンツが出版され,ベストセラーとなる事例が増えている。

 (児童書の動向)

 1999年に刊行が始まった『ハリー・ポッター』シリーズが牽引役となり,映像化とタイアップした翻訳ファンタジーや『かいけつゾロリ』など国内読みものシリーズを中心に,児童書マーケットは拡大傾向にある。また,学校での「朝読運動」の浸透を背景として,2004年ごろからローティーン層をターゲットとした『青い鳥文庫』等の児童文庫やティーン向け小説の出版が急増しているほか,ここ数年は女子中高生を中心とする「ケータイ小説」の流行が注目されている。絵本については古典作品の人気が高いが,マスメディアでの紹介が契機となって新作が定番化するケースも見られ,『チャレンジ ミッケ!』シリーズなど「読まない本」にも根強い人気がある。また,近年は児童書の対象年齢が拡大しており,子ども向けの廉価な商品と大人の読者を意識した高価な商品とに価格が二極化する傾向にある。

 (子どもの読書の動向)

 毎日新聞社『第53回学校読書調査』によると,本を読まない児童・生徒の割合(不読率)はこの10年で大幅に減少しており,2007年には所定の1か月間に1冊も本を読まなかった児童・生徒の割合は小学生5%,中学生15%と1954年の初回調査以来最低を記録し,高校生についても過去20年間で2004年に次ぐ低い水準(48%)となった。ただ,小学生が月平均9.4冊の本を読むのに対して高校生の半数近くは1冊も読んでおらず,成長とともに読書から離れていく傾向には歯止めがかかっていないとされる。また,小・中学生での読書率の回復の背景には,ケータイ小説の人気とともに,「朝の読書」など学校での読書指導の充実があると分析されている(毎日新聞社 2007a)。

 2)雑誌(コミック誌を除く)

 (概況)

 雑誌は1990年代半ばをピークに販売額・部数ともに減少が続いている。定期購読離れ,既読者の高齢化に加えて,インターネットやフリーペーパーなど他メディアとの競合,中小書店の廃業といった環境変化のなかで新規読者の開拓が進んでいないことがその背景にあるとされる。

 (子ども向け雑誌の動向)

 子ども向け雑誌の市場は,少子化による対象読者数の減少に伴い急激に縮小しており,なかでも年数万人単位で減少している12~18歳人口を読者とするティーン向け雑誌が急落している。販売低迷の原因としては,ゲームの普及等による子どもの娯楽の多様化,1990年代後半の『ポケットモンスター』に匹敵する魅力的なキャラクターの不在などがあげられる。また,コミック誌の購読者が低学年中心であるのに対して,情報誌・ファッション誌の購読者は中・高校生が中心であり,インターネットなど他媒体での情報入手が容易になったことが,高学年での雑誌離れを加速させていると分析されている。

 (子どもの雑誌購読の動向)

 雑誌(コミック誌を含む)についてはこの10年間で中・高校生の不読率が急増している。1995年には小中高を通じて約1割程度だった雑誌不読率が2000年には約2割となり,小学生ではその後若干回復が見られるものの,2007年には小学生の約2割,中・高校生の約3割が所定の1か月間に1冊も雑誌を読んでいない。平均購読冊数は2007年にはすべての年代において回復しているが,10年間の推移を見ると小学生ではほぼ横ばい,中・高校生では減少傾向にある。男子及び女子小学生ではコミック誌,中学生以上の女子ではファッション誌が購読の中心であり,コミック誌以外の雑誌の講読率は,2007年では小学生18%,中学生33%,高校生40%となっている(毎日新聞社 2007b)。

 3)コミック誌・コミックス

 (概況)

 1990年代前半にはアニメ番組と連動して原作を掲載するコミック誌が部数を伸ばし,出版市場全体の牽引役となっていたが,人気連載の終了を機にメジャーな雑誌が大幅に部数・販売額を減らしており,主力である少年向け週刊コミック誌の減少幅が著しい。コミック誌離れの背景には,少子化に伴う新規読者の減少に加えて,通信費の増加等の影響で定期購読していた若者層の可処分所得が減り,他方でマンガ喫茶や新古書店の出現,コンビニエンスストアを販路とする廉価軽装版の普及によって,「読みたい作品のみを安く購入し一気に読む」スタイルが定着したことがあるとされる。2005年には史上初めてコミックスがコミック誌の販売金額を上回り,以後両者の差は拡大している。

 コミックスについては書籍と同様,1990年代後半からテレビドラマや映画など映像化されたメディアミックス作品が爆発的に売れる傾向が強い。また,ここ数年はペーパー市場の落ち込みに対して携帯電話を中心とするコミックの電子配信市場が急成長しており,特に10代から20代の若い女性を主要読者とする「ケータイコミック」の伸びが注目されている12

 (子ども向けコミック誌・コミックスの動向)

 子ども向けコミック誌・コミックスは長期低落傾向にあり,特に『週刊少年ジャンプ』『週刊少年マガジン』など発行部数の多い少年向けコミック誌の減少幅が大きい。少年向けコミック誌が売れない要因として,少子化の影響以外に,需要の中心が大人に移り子どもたちにとって魅力のある作品が少なくなっていること,テレビゲームや携帯ゲームの出現によって子どもの娯楽におけるコミックの地位が低下していることがあげられる。また,これまで子どもたちの購買意欲を支えていたアニメ番組が,ゴールデンタイムから姿を消したことも子どもたちのコミックに対する関心の低下に影響していると分析されている。

 (子どものコミック購読の動向)

 2007年の所定の1か月間にコミック誌を1冊も読まなかった児童・生徒は,小学生30%,中学生52%,高校生60%と,年齢が上がるとともにコミック誌の不読率は高くなっている。それに対して,コミックスは小・中・高を通して「よく買う」が3割程度(「たまに買う」を合わせると約7割)と一定の購読率が保たれている。コミック誌を全く読まずにコミックスを買う児童・生徒も少なくないことから,「コミックは雑誌で読まずにコミックスで」と考える子どもが増え,たくさんの作品を連載で読むより,興味のある作品だけまとめて読むことを子どもたちが好むようになっているとされる(毎日新聞社 2007b)。

(2)映像メディア(テレビ,パッケージ)

 1)テレビ

 (概況)

 テレビについてのこの10年間の大きな変化としては,多チャンネル化とデジタル化があげられる。従来の地上波放送に加えて,ケーブルテレビやCS・BSデジタル放送などの出現で多チャンネル化が進み,視聴者の選択肢は増えている13。また,地上波放送については2011年に予定されているアナログからデジタルへの完全移行を視野に入れ,「通信と放送の融合」 14の名のもとに情報通信ネットワークと連携した新しいサービスが模索されているが,番組コンテンツの二次利用における著作権処理をはじめ法制面での課題も多い。

 1980年代にはテレビ視聴時間が短くなる「テレビ離れ」が問題になっていたが,近年は高齢者を中心にテレビ視聴時間は長時間化する傾向にあり,国民の9割以上が毎日視聴するテレビは依然マスメディアとしての影響力を維持している。他方で,高視聴率番組は少なくなり,ゴールデンタイムから早朝や深夜の時間帯に視聴時間帯が分散する傾向が見られるなど,視聴者のテレビ視聴スタイルは多様化している。近年の視聴時間の長時間化の要因の1つに「ながら視聴」の増加があげられるが,若年層ではリモコンによるザッピングやハードディスク内蔵型テレビ録画機による「CMとばし」なども高率で行われており,ブロードバンド放送など異業種の参入もあって,視聴率を基本とした広告収入による無料放送というテレビ放送のビジネスモデルも変更を迫られている(NHK放送文化研究所 2007,デジタルコンテンツ白書 2006)。

 (子ども向け番組の動向)

 1980年代後半から,それまで大量に放映されていたアニメを中心とする民放の子ども向け番組の放送時間が減少し,子ども番組枠だった平日の朝夕の時間帯が大人向けのワイドショーや報道番組,バラエティ番組に替わり,子ども番組は週末などに集中して放送される傾向が強まっている。その背景には,ビデオやテレビゲームが普及したこと,ライフスタイルの変化によって従来の子ども番組枠にテレビを視聴できない子どもが増えていることなどのほか,人口減少の進む子どもではなく大人を対象とした番組のほうが視聴率をとりやすく,アニメ等子ども向け番組の制作費負担が大きいといった放送主体側の事情があるとされる。このため,近年では子ども番組の放送主体が視聴率に左右されないケーブルテレビや衛星放送に移ってきている。

 テレビが子どもの非行や暴力を助長するとのテレビ批判は1960年代からあったが,視聴率競争のなかでの番組内容の過激化や,また「やらせ報道」等マスメディアとしてのモラルを問われる不祥事が相次いだことで,社会的な批判が高まっていった。これに対応するため,業界では「放送と青少年に関する委員会」を設置して青少年が視聴する番組の監視に当たるほか,子ども向けの報道番組やメディアリテラシー教育のための番組を制作放送するなどの取組が進められている(NHK放送文化研究所 2003)。

  (子どものテレビ視聴の動向)

 NHK放送文化研究所『国民生活時間調査』によると,2005年では10代(10~19歳)の88%が平日に約2時間半テレビを視聴している。土日は平日と比較して行為者率が若干低く,視聴時間は30分から1時間程度長い。ただし,平日,土日とも6割前後は「ながら視聴」である。1995年から2005年の10年間では,男性で土曜日の平均視聴時間が増加しているほかは,行為者率,時間ともほぼ横ばいか減少傾向を示している(NHK放送文化研究所 2006)。なお,同研究所が毎年2回行っている『全国個人視聴率調査』によると,2005年のテレビ視聴時間は7~12歳で137分,13~19歳で135分となっており15,調査時期により約10分前後の変動はあるものの,この10年間おおむね横ばい傾向である(日本民間放送連盟 1996-2007)16

 また,全国個人視聴率調査と同時に実施されている『幼児視聴率調査』によると,2~6歳の幼児のテレビ視聴時間は週平均1日当たり約2時間であり,子ども向け番組がなくなったことの影響から平日の視聴時間の減少が見られるとされている(増田 2007)。

 2)ビデオソフト(ビデオカセット・DVD)

 (概況)

 この10年間はビデオカセット等からDVDへの移行期に当り,再生機器の普及により家庭やレンタルビデオ店でのソフトの切り替えが進んだ。2001年にビデオカセットとDVDのシェアが逆転し,2005年にはDVDのシェアが9割を超えている。同時に,既存ビデオソフトのDVD化,ソフトの低価格化が進んだことによりセル市場(店頭での一般小売販売市場)が伸びている(電通総研 2007)。

 DVD売上高は映画館興行収入の2倍以上を占めており,近年は映画の製作・企画段階からDVD化を視野に入れたプロモーションが展開されることが多い。その結果,劇場公開からDVD販売までの期間が短くなり,劇場用映画とビデオソフトが連動してビッグセールスを記録する傾向が顕著になっている。一方で,映画会社にとってケーブルテレビ事業者へのVODコンテンツ提供がDVD販売に代わる有益な二次利用ビジネスとなりうるため,将来的に動画配信サービスの利用が進めばビデオソフト市場の縮小を招く可能性も指摘されている17

 (子ども向けタイトルの動向)

2002年公開の映画『千と千尋の神隠し』以降,アニメの大作や,『ハリー・ポッター』シリーズのような洋画のカテゴリーの家族向けファンタジー,特撮ものが売上ランキングの上位を占めており,子ども向けタイトルについても,メディアミックスの影響が顕著である(矢野経済総合研究所 2007)。

 (子どものビデオ視聴の動向)

 2005年の10代のビデオ視聴率は平日で9.5%,土日で14.3%となっており,行為者の平均時間は平日で1時間17分,土日で約2時間弱である。10年間では,平日は行為者率,平均視聴時間ともほぼ横ばいであるが,土日の行為者率は微減傾向にある。なお,10代女性のビデオ視聴率は,10年間を通じて他の年代層に比べて相対的に高い(NHK放送文化研究所 2005)。

 また,幼児の週平均1日当たりのビデオ再生時間は約30分であり,年齢が低い子どもほど長時間ビデオを視聴する傾向が見られる。(増田 2007)。

(3)インターネット

 (概況)

 インターネットの利用者が総人口の約7割に達し,携帯電話からの接続とパソコンからの接続がともに増加していることは既に見たとおりである。パソコンからの接続が増加している背景にはブロードバンドの普及と,無料動画配信サービスの開始や投稿ビデオサイトの人気があると考えられるが,コンテンツによってユーザーがパソコンと携帯端末を使い分ける傾向が強まっているため,携帯電話とパソコンの併用者がインターネット利用者の7割に上る(総務省 2007a)。

 また,ここ数年の「Web 2.0」と総称される技術を用いた消費者発信型メディア(CGM)の隆盛は,ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等を通したユーザーによる主導的なコンテンツの提供と相互のコミュニケーションによって,企業のマーケティングや消費者の購買行動に革新をもたらした。他方で,インターネット利用の急速な拡大の負の側面も現れており,「Winny」等のファイル共有ソフトを経由して広まる「暴露ウィルス」による情報漏えい事件や,架空請求詐欺をはじめとするネット上の犯罪,匿名での誹謗中傷などのトラブルが多発し,大きな社会問題になっている(総務省 2007b)。

 (子ども向けインターネットサービスの動向)

 子どものインターネット利用率が高まるにつれ,「キッズgoo」など子ども向けポータルサイトや子ども向け検索エンジン等のサービスが提供されるようになっており,低価格の子ども用パソコンや,パソコンを使うエデュテイメントソフト,パソコンに接続すると自動的に子ども専用モードに切り替わる周辺機器等も多数市販されている。しかしながら,いずれも年少者向けの仕様であり,学年が進みネット習熟度が高まるにつれて,大人向けポータルサイトやSNS,コミュニティサイトの掲示板,ブログなどを頻繁に利用するようになり,それに伴い出会い系サイトや自殺サイト,わいせつ動画像等の有害情報やネットでのいじめに遭遇するケースも増える傾向にある(内閣府 2007c)18 19。こうした状況を受けて,子どものインターネット利用に関しては,ここ数年,有害情報を遮断するフィルタリングソフトの普及促進が課題となっている。

 (子どものインターネット利用の動向)

 2006年末における子どものインターネット利用率は13歳から19歳(以下「年長者」)で93.0%,6歳から12歳(以下「年少者」)でも67.9%である。利用頻度も高く,インターネットを毎日少なくとも1回利用する子どもは,年長者ではパソコンからの利用者で40.1%(年少者15.5%),携帯電話からの利用者で60.0%(同21.7%)に達しており,小学生以下と中学生以上では利用率に顕著な差が見られるものの,いずれも携帯電話からの利用がパソコンからの利用を上回っている(総務省 2007a)。1日の平均利用時間は,パソコンでインターネットを利用する子どもでは,小中学生で40~60分,高校生で約70分,携帯電話でインターネットを利用する子どもでは,中学生で70分以上,高校生女子では2時間以上にもなるという報告もあり,年長になるにつれ携帯電話を使ってインターネットを高頻度に長時間利用する傾向が見られる。利用目的としてはホームページやブログの閲覧,宿題などの調べもの,メールが小・中・高校を問わず上位を占めているが,年齢が上がるにつれて宿題などでの利用は減少する傾向にある(内閣府 2007c)20

(4)携帯電話・PHS

 (概況)

 1997年に46.0%であった携帯電話の世帯保有率は1999年の「iモード」のサービス開始を機に急増し,端末や通信料金の低価格化が進んだこともあって,2003年末には9割を超えた。世帯保有率については近年微減傾向にあるが,2006年の全世代平均での利用率は7割を超えている(総務省 2006a)。従前は文字通り移動時の通話に使われていた携帯電話であるが,高速データ通信を可能とする第3世代携帯電話の普及により,現在ではカメラ,ゲーム,テレビ電話,位置確認,音楽再生,決済,テレビ放送受信等,多様な機能が搭載された高機能携帯情報端末に変貌している。

 携帯電話は操作が容易で携帯できる情報機器として電車の待ち時間などに利用されることが多く,地図や乗り換え情報などの実用サービス以外に「暇つぶし」用のコンテンツ・サービスへのニーズが高い。通信料金体系の変化等を背景にモバイルコンテンツ市場は拡大しており,「着メロ」「着うた」などの音楽配信,モバイルゲームに続くコンテンツとして,ここ数年は携帯電話向けの電子書籍・電子コミック市場が急成長している。また,「おサイフケータイ」など携帯電話型電子マネー,携帯電話向けワンセグ放送についても,今後急速な利用拡大が見込まれている(NTTドコモモバイル社会研究所 2007)。

 (子ども向け携帯電話サービスの動向)

 従来はプリペイド式の使用上限があるものや,「ココセコム」のような居場所確認用に特化したものを「子ども向け携帯電話」と総称していたが,子どもが犯罪に巻き込まれる事件が多発したこともあって,近年では通話やメールなどの基本的機能にGPS機能や防犯ブザーが搭載された低学年用の専用端末が,各社から相次いで発売されている。小学校中学年で約半数,高学年で約3割が「キッズケータイ」「ジュニアケータイ」等の子ども専用携帯電話を保有しているが,高学年になるに従い大人と同じ端末を持つ率が増え,高校生では自分専用の携帯電話の保有率も9割以上に上る(NTTドコモモバイル社会研究所 2007)21 22。携帯電話では移動しながら手軽にインターネットに接続できるため,パソコン以上に有害情報との接触を通じて犯罪に巻き込まれる危険度が高いことから,近年は法規制等も視野に入れた検討が進められており,新規契約時に18歳未満の利用者にはフィルタリングサービスへの加入を促すなど業界での取組が進んでいる。

 (子どもの携帯電話利用の動向)

2006年末における子どもの携帯電話利用率は13歳から19歳で78.4%,6歳から12歳では24.9%となっており,2001年調査時(年長者49.2%,年少者5.9%)から5年間で子どもたちの携帯電話利用率も急増している(総務省 2007a)。また,携帯電話やPHSを使用している小・中・高校生の大半は携帯電話でインターネットを利用しているという結果が出ている(内閣府 2007c)。小学生以下と中学生以上では利用率に顕著な違いが見られるが,携帯電話の機能のなかでは全体的にメールとカメラの利用率が高いほか,小学生では子ども専用機の搭載機能を反映してGPSが,中・高校生ではインターネット機能や音楽ダウンロード機能,ゲームの利用率が相対的に高い(NTTドコモモバイル社会研究所 2007)。(岡本)

  1. 中位推計によると,2055年には未成年人口は1,057万人(総人口に占める割合11.7%),14歳以下は752万人(同8.4%)と現在の半数以下になると予測されている。
  2. 内閣府『少子化社会白書(平成16年版)』では,少子化の影響を「社会的影響」と「経済的影響」の2つに分類し,家族形態の変容,子どもの社会性の減退,地域社会の活力低下,経済社会の活力低下,社会保障負担の増加という5つの観点から分析している。
  3. 生活時間に関して全国規模で実施されている主要な長期統計調査としては,ほかにNHK放送文化研究所の「国民生活時間調査」があるが,同2005年調査では,完全学校週5日制の影響として10代での土曜の在宅時間と睡眠時間の増加及び学業時間の減少が著しいという結果が報告されている。
    NHK放送文化研究所(2006). 2005年国民生活時間調査報告書.
    http://www.nhk.or.jp/bunken/research/life/life_20060210.pdf, (参照2008-03-20).
  4. 文部科学省が全国の小学校第6学年及び中学校第3学年を対象に実施している「全国学力・学習状況調査」(平成19年度)によると,過去の調査との単純比較はできないものの,いずれも1日当たりの児童・生徒の学校の授業以外の学習時間は増加傾向にある。また,同調査によると「通塾率(学習塾での勉強,家庭教師を含む)」は小学生約45%,中学生約60%,学校の授業以外に1日当たり1時間以上勉強している子どもは,小学生58.2%,中学生65.2%となっている。なお,学校外学習に関する主要な長期統計としては,別に文部科学省の「子どもの学習費調査」があるが,平成18年調査によると「通塾率」(1円以上「学習塾費」の支出がある家庭の割合)は,小学校・公立で43.3%(私立68.2%),中学校・公立で71.6%(私立53.6%)と,全国学力・学習状況調査とほぼ一致する結果が出ている。
    文部科学省(2007). 平成19年度全国学力・学習状況調査【小学校】調査結果の概要.
    http://www.nier.go.jp/tyousakekka/1hp_tyousakekka_gaiyou_shou.htm, (参照2008-03-20).
    文部科学省(2007). 平成19年度全国学力・学習状況調査【中学校】調査結果の概要.
    http://www.nier.go.jp/tyousakekka/2hp_tyousakekka_gaiyou_chuu.htm, (参照2008-03-20).
    文部科学省(2007). 平成18年度「子どもの学習費調査」.
    http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/006/07120312.htm, (参照2008-03-20).
  5. 同調査では2001年以降メディア接触に関連して「インターネット利用」という横断的調査項目が別に設けられているが,2006年のインターネット利用の行動者率は15~19歳では89.7%(2001年調査時77.2%)と「趣味・娯楽」のいずれの項目よりも高く,10~14歳では65.4%(同54.2%)とテレビゲームに次ぐ高い割合となっている。
  6. 野村證券が首都圏と京阪神の子どものいる700世帯を対象に実施している「家計と子育て費用調査」(2007)では,「エンジェル係数」(消費支出に占める子育て費用の割合)は1993年以降減少し続けている(1993年33.4% → 2007年26.2%)ものの,1人の子どもに対してかける費用が減少しているわけではなく,「年収の二極化」「1家庭当たりの子ども人数の減少」が主因であろうとしている。また,同調査では,第8回調査(2003年)から祖父母や親戚からの援助額についての調査項目を設けているが,2007年調査では物品・金銭を合わせて平均で年間約20万円相当の援助を受けているという結果が報告されている。祖父母からの援助内容では「お小遣い・現金」「衣類等身の回り品」「おもちゃ」などでの援助が多く,金額では「預貯金」「習い事」「学校教育」が大きい。情報行動に関連した項目では,「子どものパソコン・関連機器」「携帯電話(料金)」があるが,これらについて祖父母の援助を受けている人は極めて少数である。
    野村證券株式会社(2007). 第10回 家計と子育て費用調査, 84p.
    http://www.nomura.co.jp/introduc/csr/pdf/angel-10.pdf, (参照2008-03-20).
  7. 平成17年版『国民生活白書』は「子育て世代の意識と生活」を副題に掲げ,総務省「家計調査」に基づき,子どもの年齢層別に子どものいる世帯といない世帯の月平均消費支出額を比較しているが,それによると一人の子どもにかける費用は過去5年間(1999-2003年)では横ばい傾向である。情報行動に関しては,住宅ローンの返済額と並んで交通・通信費が伸びている点に着目し,携帯電話やインターネットの普及による電話料金の増加がその主要因であろうと分析している。
    内閣府(2005). “子育てにかかる費用と時間”. 平成17年版 国民生活白書「子育て世代の意識と生活」, p. 126-127.
    http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h17/10_pdf/01_honpen/pdf/hm030102.pdf, (参照2008-03-20).
  8. NTTドコモ「iモード」のサービス開始が1999年,同社「FOMA」のサービス開始が2000年である。後者は第3世代携帯電話では世界初の商用サービスとされる。
  9. 総務省・情報通信政策研究所が2007年6月に公表した「メディア・ソフトの制作及び流通の実態~ネット配信の普及等を背景に市場は拡大~」によると,「マルチユース」とは一次流通(ソフト制作時に最初に流通させることを想定した経路(メディア)での流通)に対して,最初に流通させたメディアとは別のメディアでの流通を意味する。同調査によれば,2005年のわが国におけるメディア・ソフトの市場規模は総額112,947億円(対前年比約2%増)で,そのうち通信系ソフト市場は8,067億円(対前年比約17%増)と約7%を占めている。また,マルチユース市場はメディア・ソフトの市場の約21%,通信系ソフト市場では約65%を占めている(対前年比はそれぞれ約9%,28%の増加)。
    総務省情報通信政策研究所(2007). メディア・ソフトの制作及び流通の実態~ネット配信の普及等を背景に市場は拡大~.
    http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2007/2007-1-02-2.pdf, (参照2008-03-20).
  10. メディア別・世代別のメディア接触傾向を長期にわたって比較できる全国規模の統計調査としては,NHK放送文化研究所「国民生活時間調査」,毎日新聞社「読書調査・学校読書調査」,日本新聞協会「全国メディア接触・評価調査」などがあげられる(子どものみに対象を絞った調査については,本報告書第3章参照)。
  11. 出版指標年報の各年版「概況」及び「書籍の出版傾向」を参考にした。なお,出版指標年報の「概況」における出版不況の要因分析の記述は,2005年版以降は簡略化されている。また,書籍及び雑誌に関しては毎日新聞社「読書世論調査」も参考とした。
  12. ㈱インプレスR&Dインターネットメディア総合研究所の調査によると,2006年度のケータイ向け電子コミックの市場規模は約82億円で前年の約3.6倍,ケータイ向け市場の73%,電子書籍市場全体の45%を占めている。
    株式会社インプレスR&D. ニュースリリース2007年11月16日.
    http://www.impressrd.jp/news/071116/eb, (参照2008-03-20).
  13. NHK「日本人とテレビ」調査(白石ほか 2005を参照)によると,自宅で10チャンネル以上民放チャンネルが視聴可能な人は2000年の21%から2005年には32%に増えている。
  14. 「通信と放送の融合」については,総務省『情報通信白書』(平成13年版)において,1)インターネット放送のような通信と放送の中間領域的サービスの登場(サービスの融合),2) CATVネットワークのような1つの伝達手段を通信にも放送にも用いることができる伝達手段の共用化(伝送路の融合),3) 電気通信事業と放送事業の兼営(事業体の融合),4) 通信にも放送にも利用できる端末の登場(端末の融合)の4つに整理されている。
    総務省(2001). “特集 加速するIT革命~ブロードバンドがもたらすITルネッサンス~”.平成13年版 情報通信白書, p.31-32.
    http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/h13/pdf/D0110100.pdf, (参照2008-03-20).
  15. 男・女,6月・11月の単純平均値による。
  16. 若年層ほど従来型放送(BS含むNHK,民放)から他の動画視聴への移行が進んでおり,10代では全動画視聴に占める従来型のテレビ放送のリアルタイム視聴時間の割合は6割程度,「テレビがなくなっても構わない」とする人の割合が3割に達するなど,動画配信サービスの拡充とともに「若者のテレビ離れ」が進んでいるとする調査結果もある。
    ただしいずれもウェブアンケート調査であり,10代のサンプル数は少ない。
    NTTレゾナント, 三菱総合研究所(2007). 第6回ブロードバンドコンテンツ利用実態調査gooリサーチ結果. No.152.
    http://research.goo.ne.jp/database/data/000517/index.html, (参照2008-03-20).
    岡田有花. “2015年,テレビは「ニコ動」化する?-NRIが示す未来像”. ITmedia News. 2008-02-05.
    http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0802/05/news094.html, (参照2008-03-20).
  17. 米国・フォレスタ・リサーチの調査によれば,VOD利用はDVD販売を脅かす存在にはなっていないという結果も報告されている。
    テレビ朝日アメリカ・インク編集(2006). VOD,DVD販売に影響無し. アメリカンメディア. 430号.
    http://www.tv-asahi.net/html/a_media/430.html#TOP, (参照2008-03-20).
  18. 子どものインターネット利用に関しては,関連企業が子どもやその親を対象に継続的に実施している実態調査が多数見られる。最近の調査では,8割が保護者の目の届かないところでネットを利用しており,4割が子ども向けポータルサイトを,3割が大人のポータルサイトを利用している(ネットスター 2007),「見たくない(ポルノ,出会い系,暴力的な画像,反社会的行為の助長,自殺の肯定などが出ている)サイトを目にしたことがある」と回答した子どもは45.3%に上る(奥山 2007)といった結果も出ている。
    ネットスター株式会社(2007). 8割の子どもが保護者の目の届かないところでネットを利用~第5回「家庭におけるインターネット利用実態調査」で子どものネット利用にあたっての注意点が明らかに~.
    http://www.netstar-inc.com/press/press070201.html, (参照2008-03-20).
    ネットスター株式会社(2007). 中学生の4割がネットでのいじめを実際に見聞き,1割がファイル交換ソフトを利用~ネットスターの独自調査で,子どもたちのインターネット利用の問題点と今後の課題が明らかに~.
    http://www.netstar-inc.com/press/press070726.html, (参照2008-03-20).
    gooリサーチ(2007). 第5回小学生のインターネット利用に関する調査.
    http://research.goo.ne.jp/database/data/000672/, (参照2008-03-20).
    マイクロソフト(2007). 子供と親のインターネット利用意識調査 2007.
    http://download.microsoft.com/download/E/B/F/EBFEF226-9A44-48A3-9C95-ED6252F863A3/kids_research07.pdf, (参照2008-03-20).
    奥山順子. “子どものネット利用,有害サイト経験は5割”. CNET Japan. 2007-03-22.
    http://japan.cnet.com/research/column/market/story/0,2000067181,20345529,00.htm, (参照2008-03-20).
  19. 2007年3月の文部科学省の発表によると,「学校裏サイト」(学校管理者が公式に運営しているホームページと違い,中高生の利用を想定した公開型のサイトやスレッド)が2008年3月11日現在,39都道府県で計約3万8千件あることが報告されている。また,内閣府『青少年白書』(平成19年版)によると,「出会い系サイト」を利用した犯罪の被害に遭う少年も増加傾向にある(2006年1,187人,対前年比9.7%増)。
    “学校裏サイト3万8000件 文科省調査,中傷2割で確認”. 読売新聞. 2008-03-14.
    http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20080314nt07.htm, (参照2008-03-20).
    内閣府(2007a). “青少年の健康と安全”. 平成19年版 青少年白書, p.18.
  20. ネットスターが実施した第5回「家庭におけるインターネット利用実態調査」によると,小・中学生がよく使っているサイトとして,ゲームサイト(55.8%),子ども向けポータルサイト(42.1%),マンガ・アニメサイト(41.9%)があがっている。中学生のみを対象とした調査では,ほぼ毎回利用するサイトとして,大人向けポータルサイトのほか,女子でブログなどコミュニティサイトの使用率が高いという結果が出ている。
  21. この調査は全国小学校3年~高校3年の子どもとその親2,000組を対象としたウェブ調査である。
  22. 金融広報中央委員会が全国の児童・生徒を対象に実施した「子どものくらしとお金に関する調査」(2005年度)によると,自分専用の携帯電話を持っている子どもは小学校中学年で12.1%,同高学年13.5%,中学生50.4%,高校生94.6%という結果が出ている。また,中学生の約半数,高校生の約8割が携帯電話でウェブサイトを見ていると回答している。
    金融広報中央委員会(2006). 子どものくらしとお金に関する調査(平成17年度).
    http://www.shiruporuto.jp/finance/chosa/kodomo2005/pdf/05kodomo.pdf, (参照2008-03-20).

参考文献

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