電子ジャーナルアーカイビングプロジェクトの比較研究(英国)

英国情報システム合同委員会(JISC)の助成のもとで行われた、6種類の電子ジャーナルのアーカイビングプロジェクト(LOCKSS、CLOCKSS、Portico、e-Depot、OCLC-ECO、英国図書館(BL)の電子ジャーナルデジタルアーカイブ)の比較研究の報告書が刊行されています。

この研究では、現行の各プロジェクトの概要に加え、

・図書館が購読をキャンセルするが、これまで購読契約していた号へのアクセスを引き続き望むケース
・電子ジャーナル本体またはその過去の号が、もはや出版社から提供されていないケース
・出版社が電子ジャーナル事業全体を辞めるケース
・出版社の運用や機器が壊滅的な状況になったケース

の各シナリオに、各プロジェクトがどのように対応可能か(または不能か)を示しています。そして、

・図書館(大学図書館)は電子ジャーナルのアーカイビングの重要性をもっと主張する必要がある
・BLなど法定納本図書館はユニークな位置を占めており、引き続き「セーフティネット」の役割を続けていくべきである
・出版社はコンテンツを長期に安定的に供給し続ける責任を負っていることを認識しなければならない。また電子ジャーナルのアーカイビングイニシアチブへの参加状況や、キャンセル時のアクセスポリシーを明確にしなければならない。
・電子ジャーナルアーカイビングプロジェクトは財政的・組織的な持続可能性と、技術的洞察・専門性がしっかりしていることを示し、出版社や図書館員に受け入れられる必要がある。

といった提言を行っています。

A Comparative Study of e-Journal Archiving Solutions
http://www.slainte.org.uk/news/archive/0805/jiscejournalreport.pdf

June 10, 2008付けPeter Scott’s Library Blogの記事
http://xrefer.blogspot.com/2008/06/comparative-study-of-e-journal.html

参考:
CA1645 – 電子ジャーナルのアーカイビングの現状:レポートE-Journal Archiving Metes and Boundsを中心に / 後藤敏行
http://current.ndl.go.jp/ca1645

CA1597 – 動向レビュー:電子ジャーナルのアーカイビング−海外の代表的事例から購読契約に与える影響まで− / 後藤敏行
http://current.ndl.go.jp/ca1597

JISC、電子ジャーナルのアーカイビング・保存に関するブリーフィング・ペーパーを刊行
http://current.ndl.go.jp/node/5503