デジタル環境で書くことは公式な場面での作文能力を下げるのか?ー米国のティーンに対する調査

米国におけるインターネットの社会的影響について調査を行っているPew Internet & American Life Projectはこのほど、ティーンがデジタル環境で書くこと(作文、writing)によって、公式な場面での作文能力が下がるのか、という問題意識のもと、実施した調査結果を発表しました。

米国議会図書館(LC)のビリントン(James Billington)館長を始め、デジタル環境で書かれるものは、綴りに気をつけない、ピリオドやカンマによる区切り法(punctuation)や文法がだらしない、みだりに頭字語(acronym)を使って省略する、といった特徴があり、これによって、公式な場面での作文が下がるという懸念を示す人が、米国には多くいるようです。しかしながら、ティーンの生活の中で「書くこと」が占めている位置づけ、また「書くこと」に与えている意味付けについて、調査したものはほとんどありません。そこで、ティーンとその保護者に対する電話調査により、学校/学校外でのデジタル環境で書くことの実態、デジタルコミュニケーションをどう評価しているか、などをインタビュー調査したとのことです。

結論としては、以下のようなことが挙げられています。

・ティーンの60%は、チャット、インスタント・メッセージ、電子メール、SNSでのコメントなどを作文とは見なしていない
・ティーンの64%は、学校の作文の宿題でも、デジタルコミュニケーションで用いるインフォーマルな用語法(不適切な大文字使用や区切り、頭字語、顔文字など)を使ったことがある
・ティーンも保護者も、85%程度が、書く力は将来の成功の重要な鍵だと考えている
・学校ではほぼ毎日、作文を学んでいるが、宿題の量は少ない。また学校での作文の授業は、もっと改善されるべきと考えているティーンが82%いる。
・コンピュータ技術に明るいティーンほど、コンピュータを使って書くことと手で書くこととの相違は大きくないと考えている

Writing, Technology and Teens – Pew Internet & American Life Project
http://www.pewinternet.org/PPF/r/247/report_display.asp