欧州規模の電子学位論文ポータルを構築する実験

英国情報システム合同委員会(JISC)、スウェーデン国立図書館、オランダのSURF財団が協同で、欧州各国の機関リポジトリからデータをハーベストして、欧州規模の電子学位論文ポータルを構築する実験“European e-Theses portal”を行った成果の報告書“A PORTAL FOR DOCTORAL E-THESES IN EUROPE; Lessons Learned from a Demonstrator Project”が、SURFから公開されています。

このプロジェクトでは、デンマーク、ドイツ、オランダ、スウェーデン、英国の5か国のリポジトリから合計1万点を超える電子学位論文を、OAI-PMHプロトコルを使ってハーベストして、ポータルを構築しました。

この実験でわかったこととしては、

・言語の違い、データの質の差により“Garbage in, Garbage out(ゴミを入れればゴミが得られる)”状態になってしまったこと
・この実験では博士論文を対象としたが、そのように論文種別を指定するためには、ダブリンコアメタデータ記述要素の標準化が必要であること(例:dc:type に “Doctoral thesis” と記述する)

などがあり、DRIVERガイドラインなどを用いて、OAI-PMH、ダブリンコアに加え、意味論的な互換性を実現するような標準化が必要であると提言されています。また、各国によって博士課程のプロセスが異なることも、文化的な問題として提起されています。

European e-Theses: Leading the way with a European e-Theses demonstrator project – SURFfoundation
http://www.surffoundation.nl/smartsite.dws?ch=ENG&id=13180

European e-Theses Portal -Demonstrator-
http://e-thesis.sharelab.cq2.org/en/page/page.view/e-thesis.page
(※ポータル実験サイト)