米・カリフォルニア大学バークレー校、全米人文科学基金(NEH)からの助成により人文学研究者向けにテキスト・データ・マイニングに関わる法的諸問題解決のための支援事業を実施

2019年8月14日、米・カリフォルニア大学バークレー校は、人文学研究者向けにテキスト・データ・マイニングに関わる法的諸問題の解決を支援する同校の事業に対して、全米人文科学基金(NEH)から16万5,000ドルの助成を獲得したことを発表しました。

この事業はカリフォルニア大学バークレー校を中心とした法律専門家・図書館員・研究者のチームによって実施されます。事業の背景として、人文学分野の研究ではテキスト・データ・マイニングという手法がしばしば用いられますが、研究のためのデータセットを用意するには著作権法・契約法・プライバシー法等に関する法的問題をクリアする必要があること、研究者が複雑な法的問題が発生するものを避けてパブリックドメイン等の容易に利用可能な資料を扱いがちで研究対象に偏りが現れる傾向にあることを挙げています。

事業の実施にあたっては、米国内の10以上の機関の構成員からなるプロジェクトチームが結成されます。カリフォルニア大学バークレー校図書館のRachael Samberg氏がプロジェクトチームのDirectorを務め、ミーティングセッション等を通して受講者となる人文学の研究者・図書館員・研究スタッフ等に、テキスト・データ・マイニングにおいて発生する主要な法的問題について、確信をもって取り扱う方法の指導が行われます。また、プロジェクトチームの拠点となるBuilding Legal Literacies for Text Data Mining(Building LLTDM)が2020年6月、バークレー校に立ち上がります。

受講申込の受付は2019年10月に開始予定です。また、指導で使用される全ての教材は、世界中の研究者・図書館員のために公開されます。

Team Awarded Grant to Help Digital Humanities Scholars Navigate Legal Issues of Text Data Mining(Berkeley Library,2019/8/14)
https://update.lib.berkeley.edu/2019/08/14/team-awarded-grant-to-help-digital-humanities-scholars-navigate-legal-issues-of-text-data-mining/

参考:
全米人文科学基金(NEH)、人文学に関する215件のプロジェクトに総額2,900万ドルの助成を実施
Posted 2019年8月23日
http://current.ndl.go.jp/node/38860

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Posted 2018年9月21日
http://current.ndl.go.jp/node/36699