英国学士院(The British Academy)、改訂されたPlan Sに対する懸念事項を表明

2019年7月23日、英国学士院(The British Academy)は改訂版Plan Sの解説を公開し、解説の中で改訂版Plan Sの内容に対する懸念事項を表明しています。

英国学士院は、改訂により効力発生が1年延期されたことやオープンアクセス(OA)出版物を提供するプラットフォームに要求される技術的仕様が緩和されたことなどについては評価していますが、効力発生までに残された18か月という期間はジャーナル出版の大勢を根本的に変更するには短すぎること、Plan Sの成功に不可欠なプラットフォーム開発がほとんど行われていないことを懸念事項として挙げています。

また、特に以下の3点についても問題点を指摘しています。
・キャリア初期の研究者等の研究助成金へのアクセスに不利な立場にある研究者へ与える影響
・改変を禁止したCC BY-NDライセンスを自動付与すべきであること
・ほとんどの研究が論文処理費用(APC)の助成を受けておらず、発行されるジャーナルの10分の9がハイブリッド型であるなど、自然科学系とは異なる人文社会科学系の状況が改訂前同様に軽視されていること

The British Academy publishes commentary on cOAlition S’s final version of Plan S(The British Academy,2019/7/23)
https://www.thebritishacademy.ac.uk/news/british-academy-publishes-commentary-coalition-s-final-version-plan-s

A commentary by the British Academy on cOAlition S’s final version of Plan S(The British Academy)
https://www.thebritishacademy.ac.uk/publications/commentary-british-academy-coalition-s-final-version-plan-s

A commentary by the British Academy on cOAlition S’s final version of Plan S [PDF:10ページ](The British Academy)
https://www.thebritishacademy.ac.uk/sites/default/files/A_commentary_by_the_British_Academy_on_final_Plan_S-July_2019.pdf

参考:
Coalition S、「Plan Sの実現にかかる手引き」の改訂を発表:効力発生は2021年1月1日からへ延期
Posted 2019年6月6日
http://current.ndl.go.jp/node/38293

arXiv、改訂されたPlan S準拠のための技術的な考慮事項を表明
Posted 2019年7月23日
http://current.ndl.go.jp/node/38639

cOAlition S、業務計画と優先取組事項を発表
Posted 2019年7月17日
http://current.ndl.go.jp/node/38609

ラテンアメリカとPlan S(文献紹介)
Posted 2019年7月16日
http://current.ndl.go.jp/node/38596

2019年度第1回J-STAGEセミナー「国際動向への対応:オープンアクセス(Plan S)」の当日配布資料が公開される
Posted 2019年7月10日
http://current.ndl.go.jp/node/38556

英国学士院、人文学および社会科学分野のジャーナル出版へのOA方針の影響についての調査レポートを公開
Posted 2014年4月18日
http://current.ndl.go.jp/node/25956