SAGE社、社会科学分野の研究影響力の評価指標に関する報告書を公開

2019年5月23日、SAGE社は社会・行動科学(SBS)における研究影響力の評価指標に関する報告書“The Latest Thinking About Metrics for Research Impact in the Social Sciences”の公開を発表しました。この報告書は、伝統的な文献の引用回数による研究影響力評価は、政策や実践、市民への影響力を捉えきれていないという問題意識の下、SAGE社がスローン財団(Alfred P. Sloan Foundation)、Altmetric社、スタンフォード大学行動科学先端研究センター、米国社会科学研究会議等の代表者を招いて実施した2019年2月のワークショップの要点をまとめた内容となっています。

報告書では、ワークショップから得られた重要な知見として以下の5つを挙げています。
・新しい研究評価指標の社会にとっての有用性、必然性、有益性を全ての学術コミュニティが確信しなければならないこと
・新しく強固な研究影響力測定の仕組みは、現在の文献を基準にしたシステムに取って代わらないとしても優越するものでなければならないこと
・新しい社会科学分野の研究影響力測定の仕組みは、非学術コミュニティの関係者が持つインパクト定義方法への理解と期待を一体化したものでなければならないこと
・社会科学分野の研究影響力は測定可能だが、STEM分野とは異なる分野であるので、その研究影響力評価測定は、STEM分野のそれを多少反映しても全くの模倣にはならないことを全ての関係者が認識すべきであること
・社会科学分野には、研究評価測定を議論するにあたっての統一的な語彙、分類法、メタデータ、基準が求められていること

また、ステークホルダーの類型化、重要な用語と論点、研究影響力評価に関する4つのモデル等に加えて、各研究助成機関が作成する報告書の形式を統一すべき、社会科学分野の研究影響力評価に関する文献群へのシステマティックレビューを実施すべきなど、次の段階へ向けての7つの提言も挙げられています。

氏名・メールアドレス等の登録が必要ですが、SAGE社のウェブサイトからPDF形式・16ページの報告書を無料でダウンロードすることができます。

New SAGE Publishing report lays groundwork for improving social and behavioral science impact metrics(SAGE,2019/5/23)
https://us.sagepub.com/en-us/nam/press/new-sage-publishing-report-lays-groundwork-for-improving-social-and-behavioral-science-impact

Download SAGE’s Impact Report (SAGE)
https://sagepub.com/sageimpactreport

参考:
SAGE社、学術コンテンツの発見可能性改善を目的としたホワイトペーパーを公開
Posted 2015年1月23日
http://current.ndl.go.jp/node/27854

E2128 – シンポジウム「人文社会系分野における研究評価」<報告>
カレントアウェアネス-E No.367 2019.04.18
http://current.ndl.go.jp/e2128

人文学・社会科学分野の雑誌の評価を確認できるサイト”Journal Scholar Metrics”公開
Posted 2016年5月10日
http://current.ndl.go.jp/node/31550