LIBER、EU著作権指令改正案可決へのコメントを発表:改正の意義を評価しつつ一部条項に懸念を表明

2019年3月26日、欧州研究図書館協会(LIBER)は、同日に欧州議会で可決されたEU著作権指令改正案(New European Copyright Directive)について、改正の意義を評価しつつ、一部の条項に懸念を示したコメント“LIBER Cautiously Welcomes Copyright Improvements for Libraries”を発表しました。

同記事では、人工知能の基礎を形成するテキスト・データ・マイニング(TDM)が著作権の例外になったこと、著作権保護期間内でも商業的な利用のない作品を大規模にデジタル化可能になったこと等を挙げて、ヨーロッパの図書館、教育・研究コミュニティに有意義な改正であったと評価しています。

一方、第11条(「リンク税」)に定められた著作権の適用範囲が明確でなく、自由な情報流通を阻害する可能性があること、第13条でオンラインコンテンツ共有サービスの提供者(学術機関リポジトリは除外)に新たな義務が課されコンテンツの共有と再利用に影響を与える恐れがあることについては懸念を示しています。

LIBER Cautiously Welcomes Copyright Improvements for Libraries (LIBER,2019/3/26)
https://libereurope.eu/blog/2019/03/26/liber-welcomes-copyright-improvements-for-libraries/

参考:
SPARC Europe、教育・研究活動からみた欧州の著作権法改正の政治的合意についてのブログ記事を公開
Posted 2019年3月1日
http://current.ndl.go.jp/node/37695

国際図書館連盟(IFLA)、欧州研究図書館協会(LIBER)を含む89機関、欧州の著作権法改正案に関して、第11条および第13条の削除を求める公開書簡に署名
Posted 2019年2月1日
http://current.ndl.go.jp/node/37506

国際図書館連盟(IFLA)、欧州議会での著作権指令改正案可決に対してプレス・リリースを発表
Posted 2018年9月20日
http://current.ndl.go.jp/node/36687