査読登録サービスPublons、査読に関する現状調査報告書を公開

2018年9月7日、査読登録サービスPublonsが、査読に関する現状を調査した報告書“2018 Global State of peer review”を公開しました。

調査では査読に関して学術コミュニティ内で直面している主要な課題を調査するとともに、米国・ドイツ・イタリア・スペイン・フランス・オランダ・スウェーデン・カナダ・英国・日本といった先進国と、中国・ブラジル・トルコ・インド・イラン・韓国・マレーシア・ポーランドといった新興国の比較・対照も行なわれています。

調査で得られた知見として、新興国の研究者が査読プロセスで過小評価されている、世界中の研究者により毎年査読に約6,850万時間費やされている、研究者が査読を行うのに平均19.1日必要である、編集者は自身の地理的条件から査読者を選ぶ(先進国の研究者に査読が偏る)、一流のジャーナルほど査読の文字数が多い、一流のジャーナルほど査読が早い、適切な査読者を見つけるのが困難となってきている、中国の査読数は先進国より早く増加しており将来的には先進国と同等になると示唆される、等が指摘されています。

Publons Release Inaugural Global State of Peer Review Report(PR Newswire,2018/9/7)
https://www.prnewswire.com/news-releases/publons-release-inaugural-global-state-of-peer-review-report-300708939.html

Here’s what publishers think is hindering peer review(publons,2018/9/9)
https://publons.com/blog/heres-what-publishers-think-is-challenging-peer-review/

2018 Global State of peer review
https://publons.com/community/gspr

参考:
CA1829 – 査読をめぐる新たな問題 / 佐藤 翔
カレントアウェアネス No.321 2014年9月20日
http://current.ndl.go.jp/ca1829