米国国立医学図書館(NLM)による人体に有害な成分を含む図書の電子化作業(記事紹介)

米国国立医学図書館(NLM)の医学史に関する貴重な資料を紹介するブログ“Circulating Now”の2018年5月7日、5月9日、5月11日付けの記事において、NLMが行なった、1874年刊行の図書“Shadows from the Walls of Death: Facts and Inferences Prefacing a Book of Specimens of Arsenical Wall Papers”のデジタル化作業を紹介しています。

4点のみ現存している同書は、ヒ素による顔料の使用中止を普及するために作成されたもので、ヒ素による顔料で着色された壁紙のサンプル84点を含んでいます。

2017年8月11日に行なわれたスキャン作業は、専門家による作業環境調査のもと、防護服・ニトリル製手袋・防塵マスクを装着し、V字形ブックスキャーナーを用いて行われました。いくつかのページでめくるのが困難であったものの、作業自体は容易で、数時間で終了したと紹介されています。

また、作業環境調査の結果として、作業中の手袋の着用と、作業後の機器の徹底的な拭き取りを強く推奨しています。

原資料は、オリジナルではないカバーを取り除き、資料保存及びヒ素に触れないようにすることを目的に不活性のポリエステル製のジャケットに1ページごとに分けて封入した後、元のルーズリーフ形式で再製本される予定とのことです。

“Facts and Inferences”- Digitizing Shadows from the Walls of Death Part 1(Circulating Now,2018/5/7)
https://circulatingnow.nlm.nih.gov/2018/05/07/facts-and-inferences-digitizing-shadows-from-the-walls-of-death-part-1/

“Facts and Inferences”- Digitizing Shadows from the Walls of Death Part 2(Circulating Now,2018/5/7)
https://circulatingnow.nlm.nih.gov/2018/05/09/facts-and-inferences-digitizing-shadows-from-the-walls-of-death-part-2/

“Facts and Inferences”- Digitizing Shadows from the Walls of Death Part 3(Circulating Now,2018/5/11)
https://circulatingnow.nlm.nih.gov/2018/05/11/facts-and-inferences-digitizing-shadows-from-the-walls-of-death-part-3/

Shadows from the walls of death: facts and inferences prefacing a book of specimens of arsenical wall papers(NLM Digital Collections)
https://collections.nlm.nih.gov/catalog/nlm:nlmuid-0234555-bk