米国図書館協会、地方の公共図書館の現状を分析した報告書を公開

2017年7月31日、米国図書館協会(ALA)の情報技術政策局(OITP)が、ICT技術やその他リソースに関する、米国の地方の公共図書館(以下、図書館)の現状を概観した報告書“Rural Libraries in the United States: Recent Strides, Future Possibilities, and Meeting Community Needs”を公開しました。

ALAとメリーランド大学情報政策アクセス・センターによるデジタル包摂に関する調査と、博物館・図書館サービス機構(IMLS)の公共図書館調査のデータの最新版を総合的に分析して得られた結果をまとめたものです。

報告書では、

・60%の図書館は、その行政システムの一環として単一の場所のみにサービスを提供しており、スケールメリットが阻害されている。

・人口密集地帯から遠く離れた図書館は、ほぼ単一館で、ほとんどの運営評価基準において立ち遅れている。

・図書館のブロードバンドの容量は、米国の家庭での基準より遅く、人口密集地帯から離れた図書館ほどより遅くなっており、1/10の図書館は利用者のニーズを満たせていない。

・公共Wi-Fiへのアクセスの面では、図書館は、より大規模のコミュニティの図書館と比肩しており、住民に対して、基礎的なコンピュータやインターネットのトレーニングを提供している一方で、より専門的な内容のものは提供できていない。

・半数以上の図書館が、住民の就職活動支援を実施しており、モバイル・ワーカーにワーキングスペースを提供する意味では、同業者のそれに匹敵する。

・かなりの割合の図書館が、雇用・企業家精神・教育・コミュニティ参加・健康福祉に関するプログラムを提供している。

・正規職員数の中央値は人口密集地帯から遠く離れた図書館ほど小さくなる。

・過去5年間において、都市部の図書館より改修に関する事例報告が少ない。

New report explores rural library technology access(ALA,2017/7/31)
http://www.districtdispatch.org/2017/07/new-report-explores-rural-library-technology-access/

Rural Libraries in the United States: Recent Strides, Future Possibilities, and Meeting Community Needs(ALA)
http://www.ala.org/advocacy/sites/ala.org.advocacy/files/content/pdfs/Rural%20paper%2007-31-2017.pdf

参考:
E1874 – デジタル包摂社会と公共図書館の課題(米国)<文献紹介>
カレントアウェアネス-E No.317 2016.12.22
http://current.ndl.go.jp/e1874

米国の公共図書館の統計・概況調査の2013年度版のレポートが公開
Posted 2016年3月16日
http://www.districtdispatch.org/2017/07/new-report-explores-rural-library-technology-access/