Springerが1つの雑誌に掲載された論文107本について、査読不正を理由に撤回

2017年4月20日、Springer社はがん研究分野の雑誌”Tumor Biology”に掲載された論文107本について、査読の過程において不正が行われたと考えるに足る十分な証拠が得られたとして、撤回することを発表しました。論文撤回監視サイトRetraction Watchが詳細を報じています。

Retraction Watchによれば、Springerは今回撤回された論文について、実在する研究者の名前を騙り、偽のメールアドレスを用いて査読を通過していた確かな証拠を得ているとのことです。また、撤回された論文の中には外部の編集サービスを用いているものもあったとのことです。

なお、”Tumor Biology”誌は2016年でSpringerとの契約を終え、現在はSAGEから刊行されています。SAGEの担当者も査読不正については以前から把握しており、査読体制の見直し等を行っているとのことです。

Retraction Note to multiple articles in Tumor Biology(Springer)
http://link.springer.com/article/10.1007/s13277-017-5487-6

A new record: Major publisher retracting more than 100 studies from cancer journal over fake peer reviews(Retraction Watch、2017/4/20付け)
http://retractionwatch.com/2017/04/20/new-record-major-publisher-retracting-100-studies-cancer-journal-fake-peer-reviews/

参考:
CA1829 – 査読をめぐる新たな問題 / 佐藤翔 カレントアウェアネス No.321 2014年9月20日
http://current.ndl.go.jp/ca1829

2014年の10大論文撤回(記事紹介)
Posted 2015年1月13日
http://current.ndl.go.jp/node/27782

Center for Open Science(COS)と論文撤回監視サイトRetraction Watchが論文撤回データベースを作成することに関して技術的に提携
Posted 2015年11月26日
http://current.ndl.go.jp/node/30060