「ゴールド中心」のオープンアクセス実践(文献紹介)

Journal of the Association for Information Science and Technology誌に掲載予定の論文、”A “Gold-centric” implementation of open access: Hybrid journals, the “Total cost of publication,” and policy development in the UK and beyond”の早期公開版が2017年2月27日から公開されています。著者はシェフィールド大学のStephen Pinfield氏らです。同誌は有料ですが、当該論文はオープンアクセス(OA)で公開されています。

この論文はOA雑誌に論文を掲載する、いわゆるゴールドOAを推奨する政策が取られている英国において、高等教育機関がOA出版に関しどのような状況に直面しているかを報告したものです。24機関から得たデータを分析しています。

分析の結果、いわゆる出版にかかるトータルコスト(Total cost of publication)の87%は購読費用が占めており、論文処理加工料(APC)支出は12%、APCの管理にかかるコストは1%でした。また、2012年から2014年にかけ、APC支出は増加しているものの、購読費用も増加していました。2014年のAPCの平均は1,586ポンドで、ハイブリッドOA(購読誌の中で追加料金を支払って一部の論文のみOAにする手法)の方がOA雑誌よりもAPCが高い傾向がある一方、APCと雑誌の被引用状況に基づく雑誌の質との間には相関が見られた、ともされています。

Pinfield, S., Salter, J. and Bath, P. A. (2017), A “Gold-centric” implementation of open access: Hybrid journals, the “Total cost of publication,” and policy development in the UK and beyond. Journal of the Association for Information Science and Technology. doi:10.1002/asi.23742
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/asi.23742/full

参考:
北米研究図書館協会が報告書シリーズ“SPEC Kit”第353号を公開:「APCの財源」(Funding Article Processing Charges)
Posted 2016年11月2日
http://current.ndl.go.jp/node/32864

米国・カナダの研究大学におけるAPC支払いの状況(文献紹介)
Posted 2016年7月26日
http://current.ndl.go.jp/node/32163

E1606 – 大学/研究機関はOA費用とどう向き合うべきか<報告>
カレントアウェアネス-E No.266 2014.09.11
http://current.ndl.go.jp/e1606

E1579 -日本におけるOAジャーナル投稿とAPC支払いをめぐる調査
カレントアウェアネス-E No.262 2014.07.10
http://current.ndl.go.jp/e1579